第10話 アキの風邪騒動3
文字数 1,155文字
ナツとフユが、断末魔の叫び声をあげる少し前のことです。
アキが寝室を抜け出した後、暫くしてハルがお粥の入った鍋と茶碗を持って入ってきました。
「ご主人、お粥をお持ち……し……」
「こんこん、こんこん……あ、ハルさ……、ハル、ありがとぉ」
先にアキになりすましているのはナツですが、残念ながら、獣の髭が生えています。
「……、ナツとフユはどちらに?」
「えっとねぇ、えっとぉ……『かわや』かな?」
「お二人ともですか?」
「はい!じゃなかった、うん。フユがね、ひとりでいくのが こわいって いうから……イタッ!」
「どうしました?」
「いやぁ、なんでもないよぉ」
「そうですか。ところで、ずいぶんと布団が丸まってますが……」
「あ、これ?これねぇ、えっとねぇ……えっと……」
「あれ?咳がいつの間にかおさまりましたね。お粥はもう入りませんね?」
「こんこん!こんこん!あれぇ?こんこん とまらないよぉ。これは おかゆ たべないと なおらないなぁ」
「それはいけません。早速お粥を……あ、私としたことがうっかりしておりました。毒味を忘れておりましたゆえ、しばしお待ちを」
ハルは、茶碗にお粥をたっぷりと入れると、それをナツの目の前で食べ始めました。
「どぉハル?おいしい?」
「えぇ、とても美味しゅうございます」
「じゃあ……」
「ですが、まだ毒味は終わっておりません」
ハルは、鍋ごとお粥を食べ始めました。
見事な食いっぷりは、見惚れてしまうほどです。
「あの……」
「ん?どうしました?」
「わたしの ぶんは?」
「そんなの、あるわけないじゃないですか、ナツ」
ナツはビックリしてその場で飛び上がりました。ナツが飛び上がった拍子に掛布団が持ち上がり、隠れていたフユの姿が露わになってしまいました。
「ば、ばれた……なんで?」
「あーぁ……」
「お前たち、一体何をやってるのです?お前たちの食い意地は、どこまで張ってるのですか!」
ハルは二人の頭を叩き、一喝しました。二人のアキは、正直に話しました。
「だって、おかゆ たべたかったんです。ごしゅじん、いいことを おしえてくれました。それで わたしたちは ごしゅじんに なりました」
「なんで ばれたのかな?ナツ、じょうずに ばけました」
二人は顔を見合わせて、首を傾げました。
ハルは二人の話を聞いているうちに、みるみると形相が変わっていき、髪の毛が浮き上がって、それはそれはメデューサのようです。
そして、雷が落ちました。
「ぉおむぁぃえたぁちぃぃぃーー!」
「ひゃっ!」
「ひゃっ!」
「もう許しませんっ!二人とも、お尻ぺんぺんですっ!来なさいっ!座れないほどに激しく叩いて差し上げますっ!」
ハルは、うごめく髪の毛を長く伸ばし、二人を縛りあげました。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
アキが寝室を抜け出した後、暫くしてハルがお粥の入った鍋と茶碗を持って入ってきました。
「ご主人、お粥をお持ち……し……」
「こんこん、こんこん……あ、ハルさ……、ハル、ありがとぉ」
先にアキになりすましているのはナツですが、残念ながら、獣の髭が生えています。
「……、ナツとフユはどちらに?」
「えっとねぇ、えっとぉ……『かわや』かな?」
「お二人ともですか?」
「はい!じゃなかった、うん。フユがね、ひとりでいくのが こわいって いうから……イタッ!」
「どうしました?」
「いやぁ、なんでもないよぉ」
「そうですか。ところで、ずいぶんと布団が丸まってますが……」
「あ、これ?これねぇ、えっとねぇ……えっと……」
「あれ?咳がいつの間にかおさまりましたね。お粥はもう入りませんね?」
「こんこん!こんこん!あれぇ?こんこん とまらないよぉ。これは おかゆ たべないと なおらないなぁ」
「それはいけません。早速お粥を……あ、私としたことがうっかりしておりました。毒味を忘れておりましたゆえ、しばしお待ちを」
ハルは、茶碗にお粥をたっぷりと入れると、それをナツの目の前で食べ始めました。
「どぉハル?おいしい?」
「えぇ、とても美味しゅうございます」
「じゃあ……」
「ですが、まだ毒味は終わっておりません」
ハルは、鍋ごとお粥を食べ始めました。
見事な食いっぷりは、見惚れてしまうほどです。
「あの……」
「ん?どうしました?」
「わたしの ぶんは?」
「そんなの、あるわけないじゃないですか、ナツ」
ナツはビックリしてその場で飛び上がりました。ナツが飛び上がった拍子に掛布団が持ち上がり、隠れていたフユの姿が露わになってしまいました。
「ば、ばれた……なんで?」
「あーぁ……」
「お前たち、一体何をやってるのです?お前たちの食い意地は、どこまで張ってるのですか!」
ハルは二人の頭を叩き、一喝しました。二人のアキは、正直に話しました。
「だって、おかゆ たべたかったんです。ごしゅじん、いいことを おしえてくれました。それで わたしたちは ごしゅじんに なりました」
「なんで ばれたのかな?ナツ、じょうずに ばけました」
二人は顔を見合わせて、首を傾げました。
ハルは二人の話を聞いているうちに、みるみると形相が変わっていき、髪の毛が浮き上がって、それはそれはメデューサのようです。
そして、雷が落ちました。
「ぉおむぁぃえたぁちぃぃぃーー!」
「ひゃっ!」
「ひゃっ!」
「もう許しませんっ!二人とも、お尻ぺんぺんですっ!来なさいっ!座れないほどに激しく叩いて差し上げますっ!」
ハルは、うごめく髪の毛を長く伸ばし、二人を縛りあげました。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁーー!」