第80話 おまけエッセイ 海の都の宿探し2
文字数 610文字
そう。世界に冠たる観光都市ベネチアでは、宿が高い・狭い・古い(ボロい)が常識だったのでした。
勇駿の持ってきてくれたお茶を飲みながら阿梨はぼやきます。
「せっかくだから部屋から大運河の見える宿がいいと思ったんだ」
「うん」
「で、価格を調べてみたら、たったの3泊で4つ星ホテルの大運河ビュールームが20万以上! しかもたかが25㎡の部屋がスイートルームと呼ばれているのだぞっ」
人口が密集する海上都市ベネチアのホテルではツインが15㎡なんてザラ。20㎡あれば堂々と「広々した部屋」と名乗れます。
「しかも部屋にバスタブ付きが少なくてな……」
これは阿梨と一緒ならどこでも幸せという勇駿の、唯一の条件。陸 にいる時くらい、のんびりお風呂に浸かりたいという、彼のささやかな希望です。
しかし海の上いう特殊事情もあり、「部屋にバスタブあり」と検索をかけるとベネチア中の宿の半分くらいが脱落します。
さらに口コミ情報をよく読まないと、バスタブがあってもお湯の出が悪かったりぬるかったりすることが多々あるので要注意。
そして口コミをよーくチェックすると、やたらと出てくる「物音や話し声がつつぬけの薄い壁」と「傾いた床」。何せ建物が十五世紀だの十七世紀だの、おそろしく古い上に地盤が悪いので、仕方ないんですが。
勇駿の持ってきてくれたお茶を飲みながら阿梨はぼやきます。
「せっかくだから部屋から大運河の見える宿がいいと思ったんだ」
「うん」
「で、価格を調べてみたら、たったの3泊で4つ星ホテルの大運河ビュールームが20万以上! しかもたかが25㎡の部屋がスイートルームと呼ばれているのだぞっ」
人口が密集する海上都市ベネチアのホテルではツインが15㎡なんてザラ。20㎡あれば堂々と「広々した部屋」と名乗れます。
「しかも部屋にバスタブ付きが少なくてな……」
これは阿梨と一緒ならどこでも幸せという勇駿の、唯一の条件。
しかし海の上いう特殊事情もあり、「部屋にバスタブあり」と検索をかけるとベネチア中の宿の半分くらいが脱落します。
さらに口コミ情報をよく読まないと、バスタブがあってもお湯の出が悪かったりぬるかったりすることが多々あるので要注意。
そして口コミをよーくチェックすると、やたらと出てくる「物音や話し声がつつぬけの薄い壁」と「傾いた床」。何せ建物が十五世紀だの十七世紀だの、おそろしく古い上に地盤が悪いので、仕方ないんですが。