第12話 宮本浩次~ROMANCEから昭和歌謡曲を語る3~

文字数 2,080文字

 みなさんこんにちは。こちらは宮本浩次・エレカシさんと同学年の私が、50過ぎるまで、【君の名は】のごとくエレカシの楽曲に出会うことが出来ず、ようやく2020年に沼った経緯を書いてきているのですが、第10話からアルバム【ROMANCE】から昭和歌謡曲を語る番外編をお送りしています。あの頃、私も子供でした。

●化粧/中島みゆき(1978年/作詞・作曲 中島みゆき)
 宮本浩次さん(以下宮次)当時12歳。
 私が子供の頃はメディアに登場することがなかった中島みゆきさん。実際この楽曲を歌っているところを見たことがなく。中島みゆきさんは蜃気楼みたいなもの。本当に存在しているの? とまで思っていました。

 桜田淳子さん、研ナオコさん、柏原芳恵さん、工藤静香さんなど歌謡界の大御所にたくさん楽曲を提供していて、どれも印象に残っているのですごい人であることはもちろん理解していましたが、まったく姿を現さないので雲の上の人でした。

 二十歳くらいのとき、中島さんのファンと知り合い、「【化粧】を歌うときみゆきは号泣するのよ!」と熱弁され、そこで音源を聞いた覚えがあります。
【歌っているときとトークのときのギャップ】も知りました。中島さんが「ぎゃはははは」と笑う声を聴いたときは「これ、本当に道に倒れて誰かの名を呼び続けている人なの!?」と外れた顎が地面に落ちそうになったものです。

 私にとって中島みゆきさんは昔も今も謎多き女性です。女心の深いところをグッサリついてくると思いきや【時代】や【糸】みたいな心臓が沸騰するような曲も出してくるし【空と君とのあいだに】【宙船】みたいな本音しかないカッコよさもあり。それはいつの時代になっても色あせない。本物のアーティストとはこういう人のことをいうのだろうと思うのです。

●ロマンス/岩崎宏美(1975年/作詞 阿久悠・作曲 筒美京平)
 宮次9歳。岩崎宏美さんの2枚目のシングルになります。

 岩崎宏美さんがこの楽曲をもって「あなたお願いよ」と歌いだしたとき。9歳の私は眼球がどこかに飛んで行ってしまうのではないかという衝撃に襲われました。

【キューティクル!】

 歌がうまいのはわかっています。出だしから攻めてきている、というとこも子供心にも十分伝わりました。
 しかし、それ以上の衝撃だったのが岩崎さんの美しい髪の毛だったのです。
「あなたお願いよ席を立たないで」と手を前に突き出したとき。「あなたが好きなんです」と振りをつけるとき。シルクのカーテンのようなキューティクルが揺れる。さらっさらの美しいストレートヘアーが乙女心の代弁者のようにサラサラ揺れる。

 当時、あの美しい髪に憧れた女子はどれだけいただろうか。どうすれば髪の毛というものはあそこまで艶がでるのだろうか。
 私にとってのロマンスはさらっさらの髪の毛です。

 20代のときコンサートの楽屋スタッフのバイトをしたことがあり、生で、至近距離で、コンサート前、楽屋で付き人さんとくつろぐ岩崎宏美さんを眼に焼き付けたことがあるのですが、その時のまぶしさと言ったら眼球が行方不明になってしまうんじゃないだろうかというものでした。美しさがやばかった。スターのオーラをまともに受けた衝撃は今でも忘れられません。
 揺れるキューティクル、ほんとに素敵。

●赤いスイートピー/松田聖子(1982年/作詞 松本隆・作曲 呉田軽穂)
 宮次16歳。聖子ちゃん人気は大気圏を突破していた。
 高校生の頃、パーマが許される公立高校に通っていたので女子はみんな聖子ちゃんカットをしていました。かくゆう私もといいたいところだが、髪質のおかげでまったくパーマがかからずで、諦めておりました。

 男子の間では聖子ちゃん派と明菜ちゃん派で喧々諤々。
 私はどっちが好きとかいう意識は持ち合わせてはいませんでしたが、カラオケでは聖子ちゃんより中森明菜さんの歌のほうがパンチがあるので歌うかなと思います。

 それは置いておいて。【赤いスイートピー】も乙女の純情です。ユーミンさんと松本隆さんのタッグでお送りするキュンキュンな少女漫画の世界。【あなた】と通じるものがあると思えます。「春色の汽車に乗って、時計をチラッとみるたび泣きそうな気分になる、心の岸辺に咲いた赤いスイートピー」同じ青春も走りたくなるというものです。
 20代のとき、友だちの結婚式でクラスメイトと歌った思い出もあります。赤いスイートピーは当時定番ソングになっていました。

 気づくのですが、松田聖子さんは2020年時点58歳。シンガーとしてはベテラン中のベテランであるにも関わらず【聖子ちゃん】と呼んでしまう。いくつになっても【ちゃん】がしっくりくる人は松田聖子しかいないのではないだろうか。
 今ではセルフプロデュースもこなしていて、アーティストの域に入っているというのに、その印象は【永遠のアイドル】。いまでも惜しげもなくレースやフリルが着られるという一生涯アイドルだ。
 いつの時代になっても色あせない。本物のアイドルとはこういう人のことをいうのだろうと思うのです。

~続く~
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