第88話  みんないいひと  2

文字数 3,061文字

 家に帰るとお兄ちゃんはまだ帰っていなかった。

 

 僕は華凛になって、まずは聖奈お姉ちゃんに電話をする。

 用件はもちろん、綾ちゃんともっと遊びたいってことを伝えた。

なるほどね。大体分かったわ。

うん。あのままじゃ綾ちゃんが可哀想で……

今日の御飯も行けなくて、つらそうだった。


聖奈お姉ちゃん。何か良い方法ないかな。

う~ん。でもこれは難しいわね。

小学校6年生だし、夜中遅くまでいなかったら親は心配するだろうし……


私が直に親御さんの所へ行ってもいいけど、下手に私が出るのもまずい。

その話が坂田さんから楓蓮へと伝わる可能性も考えないと。


ここは……

私に任せなさい。今日の御飯は綾ちゃんも行けるようにしてあげるから。
ほんと?

やった! 綾ちゃん絶対喜ぶよ! 


ありがとう聖奈お姉ちゃん!

 よかった。聖奈お姉ちゃんならいつもなんとかしてくれる!

 

 電話を切ると、僕は遊びに行く準備をしていた。

だけど、お世話になりっぱなしで……

お兄ちゃんの言う通りだ。

 そんな時、玄関から「ただいま」と声が聞こえてきた。

 お兄ちゃんとももまろが帰って来たみたいなので、急いで玄関へと向かう。

到着だわんっ! わんわんお~~!

おかえりお兄ちゃん! 

あのね、華凛で遊びにいっていい?

え? 華凛で?
お前。まさか、あの男の子達と遊ぶ気なのか?

ううん。違うよ。ちょっと公園に行ってみたい。

華凛は華凛で、お友達が欲しいなって。


前よりもずっと……喋れるようになったから。

そ、そうか……それならいいんだが。

じゃあ俺も楓蓮でももまろの散歩でもしよう。

お兄ちゃんも付いて来る。

それなら……綾ちゃんと偶然を装って……

それに今日はバイトがあるから、五時半までだぞ。
うん! わかった!

華凛一人で出歩くのは危ない。

どうしても竜王兄妹がちらつくからな。

綾ちゃんに事前に連絡しておこう。


 ※


 すぐにお姉ちゃんは準備を終わらせた。

 ももまろも何処か出かけるのを分かってるみたいでめちゃ嬉しそうだった。


 

もも。行こうっ!
はふはふ。
ま~ろわん。今日は公園へ行くのだお~ん
わんっ!

 四時半。お姉ちゃんとももまろで公園へ向かった。

 

 僕はいつもよりも嬉しかった。

 だって。僕の友達。綾ちゃんがいると思ったらとても楽しみなんだ。


 僕の友達。華凛のことも知ってる友達なのだから。

 俺は離れてた方がいいか?

 ももまろの散歩しておくぞ。

あっ……あの子。

あれは……坂田さんの妹さん?

これはチャンスだ。

坂田さんの妹さんなら俺も喋り掛ける事もできるし、仲を取り持つことも出来る。


それに……女の子だ。華凛にうってつけじゃねーか

あれ? おねーちゃん?
丁度挨拶も兼ねて……あの子に喋り掛けるのはどうだ?
お姉ちゃん……

 お姉ちゃんはスタスタと公園に入ると、笑顔で綾ちゃんを呼んでいた。

 ちょっとビックリしてる綾ちゃんに、僕もどうしようか悩んじゃう。


 だってお姉ちゃんがこんな積極的に綾ちゃんに喋り掛けるなんて。


 予定が狂っちゃったよ!


どうも。綾ちゃん! ももまろの散歩中です。

は、はいっ! こんにちは。

も、ももちゃんもまろちゃんも、と、とっても懐いちゃって……

いえいえ~綾ちゃんにもめちゃ懐いてるもんねっ!

すっごい尻尾ブンブンしてるし、可愛いっ!

このお姉さんが……

朝、わんちゃん達を連れてくる……お兄ちゃんなんだ……


信じられない。

こんなの絶対わかんないよ!

ねぇ綾ちゃん。この子、私の妹なんです。

もし良かったら、お友達になって欲しいなって思って。

 お姉ちゃん……

 お姉ちゃんの方からそう言ってくれるなんて。

は、はい。あの……よ、よろしくね。

 あ、そっか。

 ここは初めてっぽくしなきゃ!

ぼ、ぼ、私。白峰華凛って言います。よろしくっ
セーフだ華凛。もう少しで僕って言いそうになったな?

華凛はこの時間、たま~にいるから……遊んであげてね。


じゃあ私はももまろと一緒に公園一周してくる。

俺はいないほうがよさそうだ。

後はお前次第。頑張れ!

 そう言ってお姉ちゃんはももまろと一緒に離れていく。

 僕と綾ちゃんはその後ろ姿をず~っと見てた。


 暫くして綾ちゃんがクスっと笑うと、僕も同じように笑っちゃった。

やった。これで……華凛ちゃんと自由に遊べるね。
うんうん! ここから仲良くなっていくのをお姉ちゃんに分かってもらうんだ。

 虎にぃが言ってた「徐々に仲良くやってく作戦」は、とっても有効だ。

 皆が知ってる仲良しの友達になればいいんだよ!

 僕は散歩してるお姉ちゃんを見ながら、綾ちゃんと手を繋いでいた。

でも……やっぱりお姉ちゃんに……

綾ちゃんのお姉ちゃんにも、全てを喋れるようにしないと。

うん……そうだね。


 ※



 僕と綾ちゃんは公園のベンチに座って喋っていた。

 時たまお姉ちゃんが近寄ってくるけど、気にせず綾ちゃんと喋る。


 内緒のコソコソ話だけは、周囲の子には聞こえないようにするんだ。

だけど、あの人が……朝に見かけるお兄ちゃんなんて信じらない。

すごい綺麗な人だし……


私のお姉ちゃんが言うのも分かった気がするよ。

僕と二人きりの時は、男の子の喋り方なんだよ。ふふっ。


何だか不思議……

今、横にいるのが凛くんって言うのも、凄く不思議なの。

僕達はず~っと、こんな身体で暮らしてきたから、あまりよく分からないけど

ねぇ綾ちゃん。僕ね……

あの時、僕は大変な事になっちゃったけど、


だけど、綾ちゃんとこうやって……喋る事が出来て嬉しいんだ。

華凛ちゃん……

学校でも言ったけど、友達なんて出来なかった。

だから綾ちゃん……


僕は綾ちゃんとずっと友達でいたい。

あ、男の子や女の子になっちゃうけど、それでも……ずっと友達になって欲しい

もちろんだよ。華凛ちゃん。

秘密は絶対守るから。心配しないでね。

ありがとう……僕、凄く嬉しい。

同じ年のお友達。欲しかったんだ。ずっと……

 泣いちゃいそうだけど、泣いちゃうと、お姉ちゃんが来るかもしれないから我慢した。

 次のお話は、今日。これからのこと。


 聖奈お姉ちゃんが綾ちゃんも連れて行ってくれる。そう言うと綾ちゃんはとても喜んでいた。


でも私。五時半には帰らないと、門限が決まってるから……

だけど聖奈お姉ちゃんは「任せなさい」って言ってたんだ。

一体どんな方法で……

 お話をしていると、遠くから「坂田」と聞こえてきた。

 僕達がそっちの方向へ顔を向けると……

赤木。魚住。名谷……


 どうしよう……男の子と遊ぶのはお姉ちゃんに止められてるんだ。
 僕は綾ちゃんと喋っているフリをしていると、魚住がこっちにやってきた。

【魚住】

あ~坂田。その子と友達なの?

 綾ちゃんが一瞬こちらを向いた。もしかして僕を心配してくれているのかな。


うん! 綾ちゃんとお友達だよ。

【魚住】

そうなんだ。

ねぇ。良かったらまたドッジしない? 遊ぼうよ!

 赤木達も遠くからこっちを見てる。

 それよりも……



 お姉ちゃんがももまろを引き連れて戻ってきちゃった!

魚住。華凛ちゃんと遊んだ事あるの?

【魚住】

うん! めっちゃ楽しかったぜ! あ、しかもおねーちゃんもいるし!


おねーさーん! 

こんにちは。今日はわんちゃんと散歩です。

 ど、どどどどうしよう!

 綾ちゃんにも説明しなきゃだし、お姉ちゃんがどう言うかも分かんないし……



 そんな時、目の前にいるお姉ちゃんからラインが来てた。

しょーがねーな。好きなだけ遊べばいい。

だけど、五時半までだぞ。


おねえちゃん!

うん! やる~~!

綾ちゃんも一緒にやろうよ!

 お姉ちゃんに言われたことを忘れたわけじゃない。


 だけど僕は……もっと、もっともっと! 楽しく遊びたいんだ!

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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