第9話 ダジャレなテーラー

文字数 682文字

○東京下町、場末のテーラー「巴里ジャン」が、量販店「Akagi」の進出にもめげず健闘している。
リンゴーン♪
(主人)へい、いらっしゃい。社長、久しぶりですね。
(リクルーティング社長)うむ、今度四月入社のフレッシュマンにブリーフィングすることになってね。みっともない格好もできんから、一着作ろうと思ってな。
それなら、フランス製のスーツでパリっと決めてみれば。口上が、ジャンジャン出てくるって評判ですよ。
いいねえ、ワシは元来口下手だからな。そのフランス製でパリっと決めてみよう。一着作ってもらえるかな。
はいっ、まいど〜。
リンゴーン♪
僕は営業マンなんだけど、四月からの新規顧客開拓の為に一着作っておきたいんだけど。
それなら、オーストリア製のスーツがいいね。営業成績がウィーンと上がっていくよ。
ホントに?営業成績がウィーンと上がる?一着もらえますか。
はいっ、まいど〜。
リンゴーン♪
(風俗店社長)今度、四月から新規入店する女性たちと面接しなけりゃならん。羽振りのいい所をみせたいから派手目のやつを頼みたい。
それなら、ニューヨーク製のスーツがいい。入浴するたびカネが湯水のように入るって、風俗店の社長たちには評判がいいから。
個室付きの入浴業だからゲンはいいがな、他店とは差別化がしたいな。
それなら、中東風のド派手なオマーン製のスーツはいかが?千夜一夜の夢が売れますぜって。
うむ、それにしよう。いかにも名器の女性が寄って来そうだ。一着頼もう。
はいっ、まいど〜。
リンゴーン♪
すいまへーん、ボクにも似合うスーツあるでしょうか?
そのままでいいんじゃない?天然のクールビズでスーッとして。
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