プロット

文字数 1,099文字

起)それは偶然の出来事だった。
“第3位の魔女”が空を飛んでいる時、ある豪邸の車庫の中に綺麗な蛇の尻尾が落ちているのを見つけた。第3位の魔女は豪邸の呼び鈴を鳴らし召使いに言った。
「もし、春は過ぎてしまったので、北ではなく西の知らせを持ってきた」
召使いは慌てて主人に知らせに言った。なぜならそれは魔女からの不幸の知らせだからである。

承)第3位の魔女は豪邸に泊まることになった。
その家は周辺では有名な魔法使いの一族。魔力はあるが攻撃するといった力は身につけておらず、村の自然物の干渉や魔力武器作りを稼業としている。
前当主は突然死してしまったため、その妻が当主として第3位の魔女の前に現れる。女当主はあの第3位の魔女を前にしても堂々と振舞っていた。「たとえあなたの知らせでも私は恐れません」
客室に通された第3位の魔女は女当主の息子に出会う。美大夫の後継者だが体が弱く、長くない命だった。
第3位の魔女はその青年が自分の魔力を他の兄弟に与えるため、実母である女当主に禁断の奉仕していることに気づく。第三位魔女は青年に「お前のその強い力は母に流れていない。ただ母と戯れただけにすぎない」とはっきり伝える。青年は母との過ちの交わりに悔いる。

転)生きることに絶望した青年は第3位の魔女に願う。「この身を捧げるので、今までの僕を捨てたい」魔女はニヤリと笑った。「思惑通り」と呟きながら。
第3位の魔女は青年をトビに変えて自分の使い魔にした。こうして魔女と青年は風に吹かれるまま豪邸を立ち去った。
しかし、トビに変えたはずが何度も青年の元の姿に戻ってしまう。またその青年の母親や周辺の人間が突然死したことを第3位の魔女は知る。

結)第3位の魔女は何が起きているのか占いをした。すると青年の魔力が以前よりも強まっていることを感じた。
青年の一族についても占った。息子の一族は魔力を代々から受け継いでいる。しかしその魔力は引き継がれるのではなく、生命力とともに奪われる。その奪われる時は欲が生まれた時。息子の母親も美しい息子に欲が生まれ、当主であった夫の力を奪った。そして自分を捨てたいという青年の欲が母どころか多くの人の生命を奪った。
今までにない力を奪った息子には、たとえ第3位の魔女の力であろうと使役できない。頭を抱える魔女。もし青年に欲が生まれれば自分も死ぬことになる。魔女が死ねば青年も死ぬことになるが、それは第3位の魔女の本望ではない。
第3位の魔女は決断し青年に言った。
「お前は我の弟子にし魔法使いになれ。ただし全ての欲を捨てることが条件だ」
青年は力強くうなづいた。
後に彼は魔女も恐れる“無欲の魔法使い”として名を馳せた。
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