はじめてのホームルーム

文字数 1,266文字

入学式が終わり、教室にて、最初のホームルームが行われた。
みんなー、入学式おつかれさまー。
校長先生のお話、長くて疲れたよねー。
先生こそ、ネーベンブーラー先生に絡まれて大変だったんじゃないですか?
えへへへー。
(だから何故嬉しそうなんですの!?)
さて、じゃあこれからホームルームを始めます。
まずは出欠をとります。――あれ、この出席簿って変わった順番だね。何順かな?
普通にルーン文字順だと思うけど……?
あっ、そっか。ルーン文字順かぁ。
私、小学校は家庭教師だったし、中学高校は人間界に留学してたから、
こっちの学校って実はよく知らないんだよね。
家庭教師に人間界留学!? 先生ってすごいお嬢様なんだな!
(ぎくっ)
と、とにかく、出席行くよ。
呼ばれたらついでに自己紹介もしてくれるとうれしいな。
じゃあ、出席番号一番、クー・アンディちゃん!
なんかはぐらかされた気がするけど、まあいっか。
はい!
俺はクー・アンディ! アンディ商会の娘で、趣味は親の仕事の手伝い。
将来は家を継ごうと思ってるから、人間界のコトを勉強できる「理科」はすげー楽しみ!
ハルカ先生、よろしくな!
アンディ商会って、人間界のものを魔界に輸入してる会社だよね!
私もときどきお世話になってるんだ。
じゃあ、出席番号二番、ティール・ペルシクムちゃん!
はい。
ティール・ペルシクム。実家はいわゆる没落貴族。
好きなことは召喚舞踊だから……
中等学校からは部活があるし、召喚舞踊部に入ろうかなって思ってるわ。
召喚舞踊かぁ、かっこいいよね!
次、出席番号三番、エレミア・アグスグストスちゃん!
はい。
エレミア・アグスグストスです。
パパは昔、サニー王女のナビ妖精だったみたいだけど……。今は隠居中。
私はまだ好きなこととか将来の夢とか、よくわからないけど……。
よろしくお願いします。
エレミアちゃんのお父さん……実はちょっとした知り合いなんだけど、
もふもふでかわいいよね!
最後、出席番号四番、ルードハーネ・ムーズィカちゃん!
はい。
ルードハーネ・ムーズィカと申します。

ここら一帯の領主の長女で……

将来は……その。クーさんと同じで家を継ごうと思っていますの。

趣味は……ええと。マンドラゴラの栽培を少々。

よろしくお願いしますわ。

あれ……ルードハーネちゃん、なんだか元気ないよ?

大丈夫?

いえ……お気遣いなく……。
そう……ならいいけど。
続いて、連絡事項だけど、明日は「習熟度テスト」ってテストがあるよ。

このクラスはみんな同じ小学校みたいだけど、

違う小学校から来た子は進度にばらつきがあるから、

先生たちがそういう確認をするためのテストだね。

ってことはテストって言っても、成績には関係ないのね。
うん、だからテスト勉強とかはしないでいいけど……。
でも、あまりにできない子に合わせて授業するわけにもいかないから、

本試験と再試験で両方50点未満だった科目は補習授業があるよ。

成績に響かないとはいえそれはイヤだろうから、それなりにはがんばってね。

うぐ……。

とりあえず60点くらいを目指してがんばるわ。

(補習かぁ……。私も気をつけないとなぁ)
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登場人物紹介

御海ハルカ先生 二十二歳
フォンターナ魔法女学院に今年から赴任してきた新人教師。まだ珍しい魔女と人間のハーフ。
担当教科は、人間界を理解するために今年から魔界の教育カリキュラムに組み込まれた「理科」。
明るく前向きで物怖じしない性格で、生徒たちの人気者。正直すぎるのが玉にキズ。
童顔貧乳で、学校にいるとよく生徒と間違われる。

実は魔界女王の姪で、現在王位継承権第三位。
母は女王の双子の妹だったが、「一年間人間界で魔女であることを知られずに魔法の修行をする」という儀式に失敗して、王位を継承できなかった。
なお父はそのときに母の正体を知ってしまった人間。

エレミア・アグスグストス 十二歳
フォンターナ魔法女学院一年月組。ハーフフェアリー。
フェアリーの血が濃く、うさ耳と羽を持ち、小柄。
かつて王宮で若くして執事を務めた優秀なナビ妖精の父を持つが、自分自身の成績は中の下程度。
そのため内心コンプレックスを持っていて、自分に自信がもてず、将来の目標も決まらないでいる。
唯一の得意教科は「魔方陣」、一番の苦手教科は「占術」。

クー・アンディ 十二歳
フォンターナ魔法女学院一年月組。
人間界ブームに乗って一財産築き上げた成金魔法使いの娘であり、他のクラスメイトのような生粋のお嬢様ではない。
そのため少々がさつなところがあり、周りから浮いてしまうこともしばしば。
要領が良いため成績は悪くなく、得意教科は「魔法史」。「薬草学」の実技は少し苦手。

ティール・ペルシクム 十二歳
フォンターナ魔法女学院一年月組。魔法騎士の一族だが、現在は名ばかり。
勉強はイマイチだが、スポーツ万能。得意教科は「魔法体術」で苦手教科は「呪文学」。
将来は召喚舞踊のプロを目指しているが、親の理解が得られず反抗期真っ盛り。
大人に対して不信感が強い。

ルードハーネ・ムーズィカ 十二歳
フォンターナ魔法女学院一年月組。
女学院近辺を治める伯爵家の長女で、月組のお姉さん的存在。
家からの期待が重く、ストレスを貯めこみすぎるきらいがある。
成績は優秀だが、魔法塾に頼っている面があるので、実技がある科目は苦手で、特に「魔法道具作成」が鬼門。得意科目は「魔界政治学」。

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