(二)-6

文字数 327文字

「でも清水沢さんの彼氏、いい人そうなのに、浮気するんですね」
 しかし、この話はそこで終わった。ちょうど給仕さんが次の料理を持ってきたからだ。焼きたてでまだ湯気が立ち上っている新鮮卵でつくっただし巻き玉子だった。
 給仕さんの去り際に、華苗は「黒霧島」の、瑞穂も「鍋島」のおかわりを注文した。
 彼に裏切られた形になった私は、そのショックのおかげでせっかくの料理の味がよくわからなかった。しかも、話もすぐに終わってしまい、モヤモヤの暗雲はそのまま心の中にこびりついたままになってしまった。
 瑞穂と華苗は、すっかり酔っ払っていい気分になったようだった。おかげさまで二人からは帰り際に「徹さんなら大丈夫ですよ」「男は他にもいるって!」と励まされてしまった。

(続く)
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