第6話 弾いてみたかった 続き

文字数 2,459文字

 バッハの『無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の第5曲『シャコンヌ』は、ヴァイオリン独奏でどこまで音楽を作れるかという限界に挑戦した曲で、難技巧を駆使して、ヴァイオリンソロによって壮大な世界が描かれている。

 現代のヴァイオリニストにとっても「レパートリーに欠かせないバッハ作品」

 このオリジナル曲が完成されたのは1720年ごろ。

 まだバロック時代のことで、ピアノという楽器は発明こそされていたものの、改良されてはおらず、ほとんどチェンバロに近い弱々しい音しか出ない楽器だった。

 バッハは試弾したことはあるものの、ピアノ独奏のために、なにか作ろうという気はあまり起こさなかったようだ。

ヴァイオリン原曲で


五嶋みどりがバッハゆかりの地で奏でる
無伴奏ヴァイオリンパルティータ

ドイツのケーテン城での演奏

 時代ははるかに下って、19世紀も終わりにさしかかった1894年ごろ、イタリア生まれのピアニストにして作曲家、指揮者でもあったフェルッチョ・ブゾーニが、19世紀を席巻した楽器であるピアノ独奏のために、この『シャコンヌ』を編曲した。

 ブゾーニは大胆にも、バッハのオリジナルに和音を付け加える、という大胆な「加筆」を行っている。

 自らがスーパーピアニストであり、作曲家であり、バッハの楽譜の研究家でもあったブゾーニの編曲は的確で、これはひょっとして元からピアノの曲だったのではないか!

 または、バッハ自身がピアノ版を書き残していたのではないか!

と思えるぐらいの出来栄えになっている。

 バッハのシャコンヌそれ自体が人気曲目だから、ピアニストはブゾーニ本人も含めて、こぞってこの曲を取り上げ、現代でも重要なレパートリーとなっている。

 ただし、天才バッハが技巧を凝らしたヴァイオリンの曲が原曲で、それをスーパーピアニスト、ブゾーニが編曲したので、ピアノにとっても大変な難曲に仕上がっている。

 それがまた、ピアニストの挑戦意欲を掻き立てるのかもしれない。

 ともあれ、2人の天才が作曲・編曲したことが実を結び、ピアノ編曲版も、原曲のヴァイオリン独奏版も、現在でも両方とも頻繁に演奏されている。

 編曲は通常、「楽器の都合」で仕方なく編曲する、ということも多いのだが、この曲は

、もとからピアノ曲だったではと言えるほど、完成度が高いからなのかもしれない。

https://www.j-cast.com/trend/2018/06/21331887.html?p=all

もともとヴァイオリンの『シャコンヌ』は大好きで、ピアノ版を聴いたら弾きたくて弾きたくて。

もっと優しい楽譜を見つけて、練習して練習して……楽譜が破けた。

老人ホームでの85歳のおばあさんの超絶ピアノ演奏に驚き!ゆっくり演奏すると思いきや
第10回日本音楽コンクールで1位になられた、れっきとしたピアニストの藤村るり子さん、とのこと。

メンデルスゾーンの《無言歌集》が俳句とか短歌の世界を思わせるとすれば、シューベルト の即興曲は長唄とか、ソネット(14行の抒情詩)を思い出させる。

 シューベルトは 晩年になって、8曲の即興曲を書いたが、いずれも1827年、死の前年の作といわれている。

 この、ほの暗い抒情の世界は、やがて生まれてくるブラームスの到達するであろう孤高の晩年の予感でもある。

出典:諸井誠 著 「ピアノ名曲名盤100」P82より引用

 ピアノを演奏する際は、10本の指がさまざまな動きをしてピアノの鍵盤を鳴らす。

 また、強弱をつけたり、難しいフレーズを弾きこなしたりする場合には、指で鍵盤へのタッチを変化させて表現する。

 さらに、左右の手は異なる動きをし、ときには左右の手を交差させて演奏することもあり、動きはさらに複雑化する。

 ピアノは指を最大限に使用して演奏するため、脳の言語などを司る「側頭葉」という部分が働き、活性化し、脳細胞が刺激される。


 ピアノの演奏には全身の筋肉を使う。

 高音域や低音域の鍵盤を奏でるための首や腕はもちろんのこと、ペダルをおさえるため足の力も大切。

 さらには、頭や上半身は軸をぶらさないように腹筋や背筋、体幹を使ってしっかりと支える……まさに全身運動といっても過言ではない。

https://www.phonim.com/post/5-merits-of-piano-lesson-for-senior

この曲も大好きなアダージョ。ゆっくりなのはまた難しい。
マーラー:交響曲第5番より第4楽章 Adagietto(ピアノ編曲版)

 ルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作映画『ベニスに死す』のテーマ曲として一躍有名になった『アダージェット』。 

 でもこの曲、もちろん映画音楽ではなくれっきとしたクラシック音楽の作品です。

 書いたのは、19世紀から20世紀にかけてウィーンで活躍した作曲家マーラー。

『アダージェット』は、マーラーの交響曲第5番の第4楽章にあたる曲なのです。

「死の嘆き」や「生の勝利」といった重いテーマを感じさせる交響曲第5番の中で、第4楽章『アダージェット』が描くのは「愛の世界」。

 この『アダージェット』は、マーラーが出会うなり恋に落ち、結婚した“運命の女性”アルマへのラブレターとも言われています。

 というのも、交響曲第5番の当初の構想には無かったこの曲はアルマと出会った頃に書かれ、交響曲全体の構成を大きく変えてでも「愛の楽章」を挿入したかったと考えられるからです。

 また、マーラーと深く交流し、マーラーから篤い信頼を得ていた世界的な指揮者のメンゲルベルクは、自身が使ったアダージェットの楽譜に「このアダージェットはマーラーがアルマに宛てた愛の証である」と書き込んでいます。

https://www.nhk.or.jp/lalala/archive150404.html

  

現場作業員が弾くショパンのノクターンOP9ー2ピアノ初心者1年半

光るナビキーボードで練習したという……

 楽譜は見ないのかしら? 

 相当練習してると思います。すごいです。

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