①「催眠ごっこ」と受ける印象が違う点としては、「具体性が伝わってこない」でしょうか。
どういうものか、もっと言えば誰向け(何が好きな人向けの話なのか)がわかりづらくなっているかとは思いました。
具体的に言いますと、以下冒頭4文。
ちょっとエッチでハイセンスな大人のセクシー・ショートショート11篇。
おとぎ話、ラブコメ、サスペンス、ライトノベル、ラブレターなど。「性と愛」を巡る様々な題材に、笑って、泣いて、
感動して、ほのぼのとして……鏡のように読者の心を映し出す、不思議で愛しい珠玉の短編集。
――これらの作品はあなたの想像力を以て完成される。
ここから読者に伝わってくる具体的な情報は、
「セクシー」「短編集」
だけです。他の語句がなくても、読者が受ける印象はほぼ変わりません。
厳しいことを直球で言いますが、この説明文は何も言っていないのに等しい単語(「ハイセンス・想像力」)や、同義の語句(「ショートショート・短編集」「ちょっとエッチ・セクシー」)などで埋められています。
説明文は商品の貴重なアピールスペースなので、勿体無い使い方だと感じました。
一方の催眠ごっこは、そのへんが良く出来ていたのではないか……という仮説です。
②また、オムニバス形式の短編集というコンセプトが弱いとは思います。
電子書籍購入においてはクレジットカード決済で手軽なので、同一価格帯(まあ千円以下ぐらい)であれば値段や文量で購入を決定する人はまずいないと思います。
よって企画としてオムニバス形式短編集を出すのだとしても、(文量が少なくなってもいいので、)一つのジャンルに沿った短編集という形が良いのではないでしょうか。
重要なのは「これを読むことで、どのような快感情(エロにかぎらず)をもたらすのか」という点だとは思います。
現代の娯楽においては、お金よりも時間をどう奪い合うかですので、「時間を使いたいと思うぐらい個人に刺さるもの」が重要ですし、また電子書籍という膨大且つ宣伝力が低い市場で戦うならなおさら、「特定ジャンルを求める飢えた読者が、どうしても欲しくて探し出すもの」が必要だとは思います。
検索ワード的な話にもなりますが、そのように「具体的な何かを求める、誰かのための作品」というコンセプトが必要になるのではないでしょうか。