その11
文字数 934文字
外は相変わらず激しい雨が降っていた。
僕は市街地を離れ今夜泊まるモーテルを捜しながら、雨で見にくくなったフロントガラスに顔を近づけてゆっくりと走った。
そうした中、突然のようにユキが雨音にかき消されるような声で、
「信じられへん話なんやけど、ワタシなぁ、おとうちゃんにいたずらされてたんよ」
と言った。
僕は一瞬驚きに声が出なかった。
「中学校の頃から、おとうちゃんがワタシのフトンに入ってきて、体触るんよ……。ちょっとだけやからいいやろうゆうてなぁ……。はじめびっくりして、心臓止まるか思うたけど」
僕は時々電話に出ては、頼りないような声でユキの不在を告げる父親の声を思い出した。
ユキから、父親はデパートに勤めており、富山から単身大阪にやってきてI市に家を建て住んでいることや、大阪生まれの母親は専業主婦で父親より恐いということや、兄弟は妹が一人いて現在短大生であることなどを聞かされていた。
「けんど、お父さんって、実のお父さんなんやろぅ?」
僕は近親相姦の話を実際に聞かされて、本当にこういうことがあるという事実に今更のように驚いた。
「実の父親や、ホントウにホントウの父親や。だいっきらいやけど……」
ここまでいうと、ユキは涙ぐんでしまい、言葉を詰まらせた。
「ホントウに、何度殺したろう思うたかしれへんよ……」
ユキはそう言うと泣き崩れた。
僕は人家の少なくなった道を、ほとんど止まるようなスピードで走っていた。
その後しばらく走って、郊外のモーテルに入った。
部屋に入ってからもユキは肩を震わせしばらく泣いていた。
僕は何故ユキが一番隠しておきたいことを話したのか疑問だった。
ファミレスで過去の男達のことを話したことを後悔したが、話してしまった以上全て隠さず話して、赤裸々な自分を見せたうえ僕の気持ちを確かめたいと思ったのか?
僕はユキの小刻みに震える小さな肩をどうすることも出来ずにしばらく見ていた。
ユキの小柄で華奢な後姿が、少女のように見えた。愛しくなりそっと後から抱きしめた。
その夜、僕はユキを何度も何度も繰り返し抱いた。
「ワタシなぁ、自分のことめちゃめちゃにしたいんや」
と言って、ユキは僕の求めに応じ、体をくねらせながら獣のような声でよがった。
僕は市街地を離れ今夜泊まるモーテルを捜しながら、雨で見にくくなったフロントガラスに顔を近づけてゆっくりと走った。
そうした中、突然のようにユキが雨音にかき消されるような声で、
「信じられへん話なんやけど、ワタシなぁ、おとうちゃんにいたずらされてたんよ」
と言った。
僕は一瞬驚きに声が出なかった。
「中学校の頃から、おとうちゃんがワタシのフトンに入ってきて、体触るんよ……。ちょっとだけやからいいやろうゆうてなぁ……。はじめびっくりして、心臓止まるか思うたけど」
僕は時々電話に出ては、頼りないような声でユキの不在を告げる父親の声を思い出した。
ユキから、父親はデパートに勤めており、富山から単身大阪にやってきてI市に家を建て住んでいることや、大阪生まれの母親は専業主婦で父親より恐いということや、兄弟は妹が一人いて現在短大生であることなどを聞かされていた。
「けんど、お父さんって、実のお父さんなんやろぅ?」
僕は近親相姦の話を実際に聞かされて、本当にこういうことがあるという事実に今更のように驚いた。
「実の父親や、ホントウにホントウの父親や。だいっきらいやけど……」
ここまでいうと、ユキは涙ぐんでしまい、言葉を詰まらせた。
「ホントウに、何度殺したろう思うたかしれへんよ……」
ユキはそう言うと泣き崩れた。
僕は人家の少なくなった道を、ほとんど止まるようなスピードで走っていた。
その後しばらく走って、郊外のモーテルに入った。
部屋に入ってからもユキは肩を震わせしばらく泣いていた。
僕は何故ユキが一番隠しておきたいことを話したのか疑問だった。
ファミレスで過去の男達のことを話したことを後悔したが、話してしまった以上全て隠さず話して、赤裸々な自分を見せたうえ僕の気持ちを確かめたいと思ったのか?
僕はユキの小刻みに震える小さな肩をどうすることも出来ずにしばらく見ていた。
ユキの小柄で華奢な後姿が、少女のように見えた。愛しくなりそっと後から抱きしめた。
その夜、僕はユキを何度も何度も繰り返し抱いた。
「ワタシなぁ、自分のことめちゃめちゃにしたいんや」
と言って、ユキは僕の求めに応じ、体をくねらせながら獣のような声でよがった。
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