Ｆｉｌｍ№６　今日の予定とアウト・オブ・プレディクション

ー6月16日火曜日(2回目)ー


「……。」

扉の奥は光で充ちていた。
その光に目が慣れ始めると、俺は自分の部屋の扉の前にいると気づく。

「そっか。この時間の俺は家にいたのか。」

そして、大きく伸びをする。

「今回はなるべく一人で行動した方がいいかもな。」

これは自身の能力にも関わるかもしれない重要な案件だ。
解決まで最短で済ませて、誰にも(特にフォルティーナに)話さずに済ませてしまおうと心に決めた。

身支度を整える。
学校の制服を着て、朝食を済ませる。
玄関で靴を履き、コートを着る。

そして玄関の扉を開けようとした俺は時計を見て、ふっと気づいた。

「やっべ！」

時すでに遅しだった。
フォルティーナが外から豪快に開けた扉が自分の鼻っ柱を粉砕した。

「ったぁぁああああ！！」

「わー、びっくりした〜。も〜、なにぃ？」

「なにぃ？じゃねぇよ！痛ってぇなぁ！」

そういえばフォルティーナは毎朝のモーニングコールにと、今日はこの時間に来るんだった。
まあ、毎回俺の方は既に起きているんだが。
というか、彼女の方こそ遅刻するので俺が起こしに行くことの方が多い。

「なんで今日は起きてんだよ。」

「ふふーん。カイトより早起きしちゃってさ！」

「してねぇよ。とっくに起きてたっつーの。」

かくして、フォルティーナと共に今回の事件を解決まで導かなくてはならなくなった。

だが、遅かれ早かれ俺は今日、こいつと出会わなければならない。
何故ならば、それが今日の俺の運命だからだ。
先でも言ったが、運命は絶対、起こってしまったことは、いくら過去に戻ってやり直したところで、また別の形でやってくる。
本来ならば過去をやり直せる俺は多少は運命に抗うことが出来る。
しかし、そういう台本逸脱行為(アウト・オブ・プレディクション)は時間軸を少なからず傷つけてしまい、この時間に何らかの影響が出る虞が出てきてしまう。。
だから俺は過去に戻るに当たって必要最低限の台本逸脱行為(アウト・オブ・プレディクション)はしないように心がけている。

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家から出た俺達は依頼人の家へ向かう前に、一応、事務所へ寄ることにした。

「今日出会う予定の奴には一応顔見せしとかなきゃな。」

今日の俺の予定はまず、朝はフォルティーナと共に一度事務所へ寄り、その後学校へ行くこと。
なので俺らは依頼人の家に行くことも忘れず、なるべく台本通りに動くために『事務所ー依頼人の家ー学校』という計画を立てた。
そして、軽めに事務所への顔出しとして、一度、へスティアさんに挨拶をしてから俺達は依頼人の家へ向かった。