第20話 朝の白猫

文字数 878文字

 昨日の雨とは打って変わって、清々しい朝。空気が洗われたように澄んで爽快。午前6時。暑くなる前にウォーキングすることにしました。玄関ドアを出て、道路に目をやると……

 いきなり、にらめっこ。その相手は、ご近所の白猫ちゃん。目線を見据え、こちらの動きを警戒している。歩き出したかったが、こんな機会はそうそうない。こちらも負けじと見つめ続けた。

「さぁ、どうする?私はアンタが動くまで、動かないよ (心の声)」 

 1分ほど経ったか、シッポの先端がチョロチョロ動き出した。でも、相変わらず目線はこちら。私も、そぉ〜っと1歩。すかさず猫も前足をの・そ・り。次の瞬間、ピューッとものすごい勢いで去って行った。急いで後ろ姿を追って門扉から出たが、痕跡残さず、消え去った。朝見る白猫は、縁起が良いのか悪いのか。気になるところ。

 私の実家には少し前までインコがいたが、先日帰省した際、老衰で死んだと聞かされた。もともと同居している弟夫婦が飼っていたので、両親はサラリと事務的。だが、ご近所で飼われていた白猫の

ちゃんとなると話は別。ウチのペットだったみたいに愛おしそうに話す。今は成人した子どもたちが幼稚園くらいのときから遊びに来ていたので、死んだと聞いたときは、私も切ない気持ちになった。

 名前の由来は誰もが想像つくところ。ウチの実家の庭に朝からやってきて、窓越しに「来たよ〜」としばらく鳴く。父か母の姿を確認したら、定位置に横たわり、お腹が空くまで居たという。ご飯をねだることはなく、ちゃんと自分の家で食べる。特に父は

ちゃんが来ると、よく撫でてやっていたので、とても(なつ)かれていたようだ。人間の歳なら百歳はいっていただろうという大往生でこの世を去った。死んだときに飼い主さんから「お世話になった」とわざわざ挨拶され、しばらく両親も気落ちしたらしい。

 ご飯やウンチのお世話をすることなく、ただ可愛いがるだけのペット生活なんてあり得ない。いろいろな手間を考えると気おくれするが、連日のようにテレビを賑わす動物たちを観ると、そわそわした気分になる。

 あ〜、動物飼いた〜い‼︎
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