(二)‐10

文字数 268文字

 通夜はその夜に行われ、告別式は翌朝に行われる予定だった。
 田舎町の、地元の企業に勤める人間が一人死んだだけなので弔問客はそう多くないだろう、近所の人と職場の人くらいだろうと予想していた。実際、今の職場の同僚や部下・後輩の方々が揃って、通夜が始まる前から数台の車に分乗して続々とやってきた。川居信金の頭取である岩野目氏もやってきた。どこの禿げたおっさんだろうかと思っていたが、名刺を出されてびっくりしてしまった。一時期この頭取に近い位置で一緒にしてきたと言う話はチラッと聞いたことがあったので、みえるのはまあ不思議ではなかった。

(続く)
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