前夜

文字数 478文字

 重力に任せてベッドの縁に腰を下ろす。シーツの間を勢いよく空気が駆け抜けるように音を立てた。

 誇り高く掲げるようにして数時間前に配られた作戦資料の表紙を眺める。数十秒間その姿勢をキープしていた。表紙をなめ回すように見ているだとか、そういう目は感じない。ひたすら無意味にピントを合わせていた。

 1枚開きかけて間無しに並ぶ文字の羅列に心が折れてテキトーに流し読みしていたが、ふと見えた図に手を止める。今回の作戦決行場所である、日本の国館のマップだった。次はそのマップを数分見続けていた。今度はきちんと隅から隅まで脳にインプットするように見ていく。

 そして30分ほど経ったところで、膝裏をベッドの縁にフィットさせながらマットレスに背中を預けた。その状態で腕をまっすぐ伸ばして資料を天に掲げる。しかし逆光なのでただただ文章が並んでいることしか分からない。そもそも読む気が無い。
 いずれ読破することを諦めたのか、腕を左右に放り、シャットダウンした。

 どれほど作戦の内容が頭に入っているのかは分からないが、1から5までもは入っていないだろう。

(新種の脳筋ってやつか…)
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登場人物紹介

ラギー・ミレイズ(中尉/少佐)

 自由な行動をとり、謙虚な性格。

精鋭部隊の隊長であったが、とある作戦で部下を失ってしまったショックなどで自殺をしようとした。しかし直前に回収に来た兵士によって阻止された。ザースは当時の部下の1人。

 彼女がいた、というがまだ誰かわからない。

ザース・ウォンダーザー(中尉)

 頭が良く正義感が強い。基本冷静な判断をするが、無茶をすることもしばしば。

銃の扱いや常識人さに定評がある。

もともとはラギーらと精鋭を組んでいたが、ラギーが記憶を失ってからは同僚として一緒に行動している。

メデゼン・イラスティア(救護班長)

 どの兵士とも仲がよく、親しい。

熟練の観察眼と馴れた手さばきで多くの兵士を救ってきた。面倒見もいいので、兵士たちの良い相談相手にもなっている。優しいが厳しい面もある。

エナ(動力源)

 日本につかわれていたところを連合軍に保護された。

大人しい性格だが、自分の意思は意外にはっきりしている。

日本にくる以前の記憶がおぼろげらしい。

日本軍では海軍の艦の動力源(昔でいう石油などの代わり)として艦に乗せられていた。〈機器に繋ぐことによって〉

ジュンメス・カーター(少尉)

 少し楽観的な思考をもつ。あまり頭脳派でない。

第六感が鋭く、危機的な状況になると消極的になる。

ヨセフ・ガイゼリン(少尉)

 名家ガイゼリンの長男。本人はガイゼリン家を嫌っている。ベーミンにはそれについて性懲りなく何か言われるので毛嫌いしている。

頭が良く、冷静に物事の判断を行う。周りを冷たく突き放すこともあるが、根本は仲間思い。

ベーミン・ウィリアムズ(大尉)

 常に陽気でよく他人をからかう。ガイゼリン家について少し知っていることがあるらしく、ヨセフによく絡む。

平等な立場を好むため、階位を表に出されるのを苦手とする。

デンジャラスじゃない、とMAの作戦をサボることがよくある。元少佐だったがその休みすぎの影響で落とされた。

佐竹(日本軍兵士)

 常に冷静な判断を下し、上司に忠実。

刀と風を使いこなしている。刀術については上司に習った。

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