前夜
文字数 478文字
誇り高く掲げるようにして数時間前に配られた作戦資料の表紙を眺める。数十秒間その姿勢をキープしていた。表紙をなめ回すように見ているだとか、そういう目は感じない。ひたすら無意味にピントを合わせていた。
1枚開きかけて間無しに並ぶ文字の羅列に心が折れてテキトーに流し読みしていたが、ふと見えた図に手を止める。今回の作戦決行場所である、日本の国館のマップだった。次はそのマップを数分見続けていた。今度はきちんと隅から隅まで脳にインプットするように見ていく。
どれほど作戦の内容が頭に入っているのかは分からないが、1から5までもは入っていないだろう。