「振り向かないで、レイチェル!」プロット

文字数 1,096文字

起)姫名湾を一望できる丘の上に立つ姫名市立姫名東中学校に通う佐貫玲良、通称レイチェルには秘密がある。中学校の裏にある大池神社にお参りをしたことで、中学校の卒業生達が学校に残した負の感情から生まれる『ナゴリ』が見える能力を手にしてしまい、以来『ナゴリ』から同級生達を守る『ミチビキ』として動いていた。しかし、『ナゴリ』を直接解決する手段を持たないレイチェルは、間接的に同級生達を『ナゴリ』から遠ざけて『ナゴリ』と対話することしかできず、他人を優先する性格のレイチェルは周囲から煙たがれ、途方に暮れていた。そんな折、『ナゴリ』を直接消滅させる能力を持つクラスメイトで人気者の滝ヶ原駿司に秘密がバレてしまう。
承)同じく大池神社にお参りをしたことで能力を得た駿司だが、卒業生達から生まれた『ナゴリ』を無感情に消滅させるやり方にレイチェルは反発していた。駿司もまた、ただの夢の残骸でしかない『ナゴリ』を同じ人間のように扱うレイチェルのやり方には不満を抱いていた。そのため、2人は中学校生徒を守りつつ『ナゴリ』を消滅させようと競うようになり、いつしかレイチェルと駿司は付き合っているのではないかという噂まで広がってしまう。そんな中、レイチェルの親友の笹舟みさきに、一際大きな『ナゴリ』が憑りつこうとしていた。
転)笹船みさきは、姫名市の大きな建設会社社長の子供。両親から、将来会社を継がせようと小さい頃から猛勉強をさせられていた。けれど、みさき自身はパティシエになりたい夢を持っていたが、親からのプレッシャーに夢をあきらめかけていた。そんな心の隙をつくように『ナゴリ』が憑りつき、「親が決めた道以外に生きられない」と強迫観念にかられ、他の人を見下すような言動をとってしまう。このままではみさきの人生が滅茶苦茶になってしまうと思ったレイチェルは、能力で『ナゴリ』に語り掛けようとするも話が通じない。けれど、みさきに憑りつく『ナゴリ』が深い後悔から生まれたものだとレイチェルは直感で感じ、駿司が無理矢理『ナゴリ』を消滅させようとするのを力づくで止める。
結)みさきに憑りついていた『ナゴリ』の正体は、中学校の卒業生で、かつて別の夢をもって勉強していたが夢が破れて失意のまま卒業したみさきの親から生まれた後悔だった。レイチェルの対話と駿司の能力で、『ナゴリ』は感謝しながら消滅した。いままでの非道を謝りながら、両親に将来の夢を伝える決心をするみさきを、レイチェルと駿司は応援する。実は、ひたむきなみさきのことが、駿司は好きだったのだ。そんな告白を聞きながら、レイチェルは過去の後悔をしない日々を送ることを胸に誓う。
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