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文字数 392文字



昔のアルバムはもう何年も
クローゼットの中で埃かぶってる
笑ってる写真も多かったけど
瞳は何処か悲しげで
いつしか表紙を開けるのすら躊躇われ
思い出しすらしなくなった
タバコやお酒に逃げたかったけど
そんなに強くなくて
代わりに車飛ばして気がつけば
東京まで来ていた
薄黒い空に突き刺さる
先の見えないビルたちは
誰の何を支えてるのだろうかと
たくさんの人が行き交うど真ん中で
あの時の僕は何を見たのだろう
思い描く未来の先に光が溢れてる人は
どれだけいるのだろうか
背負う重さに押しつぶされないようにただ
踏ん張るだけの僕の足は
何を感じて踏み出したのだろう
かざした手の隙間から浴びる日差しだけが
前に進むための道標
あの時の僕が見た何かに今の僕は近づいてますか
それともこんなちっぽけなやつになったと
嘲り笑い倒しますか
でも僕はあの時の僕に感謝するよ
生きることを選んでくれて
苦しさから逃げることもなく
歩き続けてくれてありがとう
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