第六夜:トビラノムコウ
文字数 1,092文字
こんな悪夢をみた。
私は暗闇の中に立っていた。目の前には扉がある。黒くて大きな鉄の扉だ。私は中に入ろうと手を伸ばすけれど、開けようとする直前にためらってしまう。中に入れば、もう二度とこちらには戻ってこられないような気がするのだ。私が迷っている間に何人もの人が扉を開けて、中に入る。私も意を決して扉を開けた。
扉の向こう側も、暗闇だった。それも、私が元いた場所よりもずっと濃い。
私の周りには誰もいなかった。何人もの人がこちらにいるはずなのに、皆どこへ行ったのだろう。後ろを振り返ると、入ってきた扉には鍵がかかっていた。もう向こうには戻れない。
「何してるの?こっちだよ。」
突然、頭上から声がした。見上げると、多くの人が宙に浮いていた。
「この先に光があるの。早くおいでよ。」
呆然としていると、また声がした。その声を聞いた瞬間、私は自分が今立っている暗闇に恐怖を覚えた。
コワイ・・・コワイ・・・コワイ・・・
早く、逃げ出さなければ。私は地面をけった。周りの人と同じように宙に浮けると思ったのに、何も起こらない。私は地面をけった。何度も何度も。それでも宙に浮くことはできない。自分が暗闇にいる恐怖と宙に浮けない焦りが大きくなる。
「はぁ‥キミはこっち側の人間じゃないんだね。」
パニックに陥りそうになった時、また頭上から声が聞こえた。初めの優しい声ではなく、あきれるような哀れむようなそんな声。こっち側の人間?一体何のことだろうか。
助けを求めて上を見上げると、宙に浮かぶ人たちがこちらを見下ろしていた。バカにするような視線、哀れみの視線、あきれるような視線。多くの負の感情が、私に降り注ぐ。
どうしてこんな所に来てしまったのだろうか。私は扉を開けたことを後悔し始めた。地面のける。何も起こらない。
「無理無理。キミはこっちに来られないよ。」
あきれるような声がする。
それでも私は、地面をけり続けた。そして。どのくらいの時間がたっただろうか。私の体は宙に浮いた。どんどん上にあがってゆく。このままいけば光までとどきそうだ。
やった。よかった。と安心しかけたとき、空中で体が止まった。金縛りにあったようにその場から動けない。どうしてだろう。やっとここまで来たのに。
「あはははは。やっぱりキミには無理だ。宙には浮かんだみたいだけれど、光には届かないみたいだね。」
勝ち誇ったような声がした。今までよりも、ずっとはっきりと。
下を見ると、ぞっとするほど濃い暗闇が広がっていた。まるで私が落ちるのを待ってるかのように、静かに深く広がっていた。
私は暗闇の中に立っていた。目の前には扉がある。黒くて大きな鉄の扉だ。私は中に入ろうと手を伸ばすけれど、開けようとする直前にためらってしまう。中に入れば、もう二度とこちらには戻ってこられないような気がするのだ。私が迷っている間に何人もの人が扉を開けて、中に入る。私も意を決して扉を開けた。
扉の向こう側も、暗闇だった。それも、私が元いた場所よりもずっと濃い。
私の周りには誰もいなかった。何人もの人がこちらにいるはずなのに、皆どこへ行ったのだろう。後ろを振り返ると、入ってきた扉には鍵がかかっていた。もう向こうには戻れない。
「何してるの?こっちだよ。」
突然、頭上から声がした。見上げると、多くの人が宙に浮いていた。
「この先に光があるの。早くおいでよ。」
呆然としていると、また声がした。その声を聞いた瞬間、私は自分が今立っている暗闇に恐怖を覚えた。
コワイ・・・コワイ・・・コワイ・・・
早く、逃げ出さなければ。私は地面をけった。周りの人と同じように宙に浮けると思ったのに、何も起こらない。私は地面をけった。何度も何度も。それでも宙に浮くことはできない。自分が暗闇にいる恐怖と宙に浮けない焦りが大きくなる。
「はぁ‥キミはこっち側の人間じゃないんだね。」
パニックに陥りそうになった時、また頭上から声が聞こえた。初めの優しい声ではなく、あきれるような哀れむようなそんな声。こっち側の人間?一体何のことだろうか。
助けを求めて上を見上げると、宙に浮かぶ人たちがこちらを見下ろしていた。バカにするような視線、哀れみの視線、あきれるような視線。多くの負の感情が、私に降り注ぐ。
どうしてこんな所に来てしまったのだろうか。私は扉を開けたことを後悔し始めた。地面のける。何も起こらない。
「無理無理。キミはこっちに来られないよ。」
あきれるような声がする。
それでも私は、地面をけり続けた。そして。どのくらいの時間がたっただろうか。私の体は宙に浮いた。どんどん上にあがってゆく。このままいけば光までとどきそうだ。
やった。よかった。と安心しかけたとき、空中で体が止まった。金縛りにあったようにその場から動けない。どうしてだろう。やっとここまで来たのに。
「あはははは。やっぱりキミには無理だ。宙には浮かんだみたいだけれど、光には届かないみたいだね。」
勝ち誇ったような声がした。今までよりも、ずっとはっきりと。
下を見ると、ぞっとするほど濃い暗闇が広がっていた。まるで私が落ちるのを待ってるかのように、静かに深く広がっていた。