お母さん! エルフの王女は残酷です!

文字数 3,464文字

 人間の耳や目から得る情報はとても曖昧で、不確かなものだと目が見えなくて子供を養っている白髪の戦士が言っていた気がする。
 俺の聞き間違い。
 再び、質問をしようと身構えるが、立て続けに少女は気怠そうな態度で。

「早く殺してー」

 と近くにいた兵士達に命令。
 兵士達は躊躇する事なく、腰に差したサーベルを俺の首に当てる。

「ええ!? ちょまっ!!!! なにこれ!? マジなやつじゃない!?」

 慌てる俺に対して、まるで、くだらない映画を見ている観客のように少女は鼻で笑った。

「あはは。そうだよー。怖い?」

「勘弁して下さい!!! うあああ!!! 何でもするから!!!」

「ん~? 何でも? じゃあ、死んでー」

 左団扇(ひだりうちわ)で悠々としている少女はどうやら本気の様子。
 こんな美人に殺されるのはドMな俺にとって理想的ではあるが、まだ、死にたくはない!
 生への執着を見せる俺を哀れに思ったのか、どこからか可哀想な子羊を擁護する声が聞こえた。

「あの... ...。シルフ様。これは些か乱暴では?」

「へ? ああ! そうだよ! これは横暴だ!」

 誰かが権力者の行き過ぎた行動に苦言を呈す。
 これに便乗するように、俺は声を振り絞った。
 この声を上げてくれた恩人の顔を拝見してから死ぬなら死にたい。
 男性の声だったから兵士の人か?
 右を見るがそのような素振りをしている人はいない。
 そういえば、近くから聞こえた気がする。
 では、今、正にサーベルを振り上げ、首を狙う兵士か?

「ふしゅ~」

 上を見上げると鎧の隙間から見えるギラギラした眼光で恐らくこいつは幼少の頃よりスプラッターとしての英才教育を受けた人種で俺の事を丸太としか思っていない。
 
 どうやら、こいつでもないようだ。
 あれ? 
 いない?
 ふと、壇上を見上げると探し人は意外な所にいた。

「まだ、敵と判明した訳ではありません。こやつはこの国にとって有益な情報を持っているかもしれませんよ」

「有益? 外部から来る人間は病気のようなものよ。この国にとって害悪でしかないわ!」

「鎖国をしてから百年。シルフ様は先代の王様の意志を引き継いで良くやってらっしゃる。しかし、これはあまりにも暴力的ですぞ... ...」

 あの子。
シルフって言うのか... ...。
 いやいや! 
名前なんて今はどうでもいい!
 それより、あの馬! 
 喋ってる!?

 口周りに涎を付けながら、ダンディな低い声で流暢にシルフと会話を行う白馬。
 この世界では馬と話すのが金持ちとしての一種のステータスなのかもしれない。
 
「お前!」

 いきなり、声を荒げて俺の方を見やる馬。
 まさか、馬にまでこんな高圧的な態度を取られるとは... ...。
 まあ、流石に馬に罵られたからといって興奮はしない。

「単刀直入に問おう! 貴様は何をしにこの地に来た!? 貴様は敵か!?」

「... ...」

 この回答で運命が決まる。
 中途半端な返しは自身にそのままブーメランのように返って来るだろう。
 俺はどちらかと言えば口は上手い方。
 この状況を切り抜けるために嘘を言わなくては... ...。

「結論から申し上げますと私はあなた方の敵ではありません」

 ざわつく兵士達。
 
「私はアンブルレイサス国第七皇子の花島と申します。鷹狩りに夢中になって、気付いたらこの地に迷いこんでしまった... ...。気が動転してしまい、失礼な態度を取ってしまい申し訳なかった」

 我ながら滑稽なべんちゃらを思い付く。
 この手の漫画やアニメなどは腐るほど見てきた。
 目の前にいる貴族のような人間共は”他国の皇子”というワードにめっぽう弱い。
 一国の皇子を傷物にしたら、戦争に発展し兼ねないからだ。
 ハハハ!
 笑いが止まらない。
 俺は確かな手応えを感じていたのだが、シルフから足元から鳥が立つような言葉が返って来る。

「お前のような汚い身なりをした者が皇子な訳ないだろう。見え透いた嘘をつくなよ(わっぱ)

「へ?」

 ですよね。
 俺は盲目か!? 
自分の身なりも忘れていた。
 ポロシャツにジーンズにスニーカー。
 英国の王子の休日という言い訳をしても聞き入れてはくれまい。
 俺を擁護してくれた馬も「こりゃ、いかんわ」と言いながら俺から目を背ける。
 まさか、犬についでの人類の友と言われる馬にまで見捨てられてしまうとは... ...。

「この期に及んで私に嘘をつくならもっと滑稽な嘘をつけば良かったのに。そうすれば、私が笑っている間は生きながらえる事が出来たのにね」

「え~。じゃあ、俺、違う世界から来たんだけど... ...」

「アッハッハッハ! おもしろ~い! はい。じゃあ、死んで」

 笑いのツボは浅いが、氷点下のように一気に冷める。
 もう、無理かな... ...。
 満足とは言い難い人生が終わる音が頭上からする。
 このまま、すごすご殺されていいのか______いや、良くない!

 俺は性格が良くない。
 というか、性根が腐っている。
 最後にあいつの鼻っ柱をへし折ってやる!!!!

「おい! お前! 可愛いからって調子に乗ってんじゃねえぞ! このアバズレ! ボケ! カス! この野グソ野郎!」

 我ながら、最大級にカッコ悪い悪足搔きをする。
 むしろ、カッコ悪過ぎて逆にカッコイイとも感じてしまう。
 いや、もう、どう思われてもいい。
 どうせ、死ぬのだから。
 俺は死を受け入れ、目を閉じる。
 しかし、一向に俺の首と胴が離れることがない。
 そして、目を開けると目の前にはペロペロしたくなるような生足。
 
「だ・れ・が・野グソ野郎ですって!?」

 生足を舐めるように見上げると顔を真っ赤にしたシルフの姿。
恥ずかしさと怒りが混在しているような表情をしている。

「ああ!? お前に決まっているだろう! お前のような清楚系女子が野グソしているに決まっている!」

 長年愛用してきたキメ台詞のように根拠のない事を羅列し、赤面する少女に断言。
 
「野グソってあんたが一番野グソしてそうよ! この変態!」

「ああ! 俺は自他共に認める変態だ! お前が野グソしている光景を想像しながらカレーを食う事だってやぶさかでないね! ああ! 愉悦! 愉悦!」

「気持ち悪い! ゴミ! 変態! この鼻でか!」

 俺にとってはご褒美である暴言を湯水のごとく浴びせるシルフ。
 彼女は変態という生き物の生態をよく知らないようだ。

「どうせ、お前の母ちゃんも野グソ野郎なんだろ!」

「はっ?」

 一瞬、シルフの表情が強張り、赤面した顔が元に戻っていく。
 人には決して言ってはいけないワードというのが存在するが、どうやら地雷を踏んでしまったらしい。

「私はともかく、お母様を愚弄したわね... ...」

「そうだよ! お前の母ちゃん、公園で犬のクソを片付けるふりして自分のしたクソを片づけてたぞ!」

「... ...」

 1000℃以上に熱された鉄の塊が水につけられたかのように一気に冷める熱。
 俺を蔑む目には冷たさを感じる。
 だが、その視線はバナナチョコレートパフェのような甘美な代物。
 子供と変態には甘い物を与えてはいけない。という格言を体現するかのように俺は更に甘いものを欲す。

「『お前の母ちゃん! でべそ!』ってお前の母ちゃんが由来の言葉だからな! でべそで野グソ野郎ってどうしようもねえな! ガハハハッ!」

「... ...」

 どうしようもないのはお前だ。
 と周りから釘をさされそう。

 だんまりを続けるシルフは一呼吸を置き。

「こいつ、ここで死ぬのではあまりに軽い。ゴーレムの森に連れて行きなさい」

「______!? ご・ごれーむの森ですか!?」(一同)

 声を合わせるかのように周りにいた兵士やメイド、馬も驚きの声を上げる。
 中には恐怖からか、泣き出す者もいた。
 ゴーレムの森... ...。
 なんか、RPGゲームの一番最初の方の面みたいな名前だ。
 まあ、そうか。
 ここで、殺される事はないんだ... ...。

 何故か、俺はそこでホッとして、今まで溜まっていた疲れもあってか、気を失ってしまった。
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登場人物紹介

【主人公】
「名前」花島つとむ 「略称」花島
「年齢」27 「星座」おうし座
「性別」男
「種族」ヒト科ヒト属E.sapiens
「身長」175cm
「体重」85kg
「出身」日本
「髪の色・髪型・目の色」黒・短髪・黒
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」右
「声質」高い
「手術経験・虫歯」高校生の時に蓄膿症の手術、部活動での左腕骨折・なし
「現在患っている病」なし
「鼻や目の形」鼻:大きく団子っ鼻 目:二重
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」寸胴型・年齢の割には腹が出ており、見た目は30代半ば
「前科」高校生の際に自転車泥棒
「賞・資格」漢検3級・普通自動車免許・宅地建物取引士・保育士
「学歴」高卒
「幼児青年期の精神的体験」生まれてすぐに父親が失踪し、母親が女手一つで育て上げる
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・好きになった人が好き・お互いがある程度の年齢に達したらするようなもの。
「尊敬する人」中学の時に部活で世話になった先輩・スティーブンスピルバーグ
「恨んでいる人」父親
「将来の夢」特になし
「恐怖」大柄な態度を取る人と大きな声
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:物事に対して常に否定的・初対面の人とすぐに打ち解ける事が出来る 口癖:「まあ... ...」
「人間関係・態度」良好。誰に対しても分け隔てなく接する
「トラブル関係」特になし
****性格****
「明るい方か」明るい
「ユーモア・暴力性」あり・あり
「活動・社交家か」YES
「知的か」知的ではないが物覚えは良い
「清潔か」NO
「表現力」適度
「弱点・悩み」頼まれごとを断れない
「異常性格・性癖」美少女に罵られたり、暴力を振られると性的興奮を覚えるが不細工にやられると嫌悪感を剝き出しにする
「変わっている所」異世界に来たというのに馴染むのが早い
****趣味****
「音楽」洋楽とJ-ROCKしか聞かない。最近までHIP-HOPは敵だと認識していた
               中でもチバユウスケを至高のお方と崇めている
「新聞」読まない
「娯楽」アニメ鑑賞と罠作り
「雑誌」読まない
「映画」グリーンマイル・東京物語
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:緑・青・オレンジ 嫌い:こげ茶・赤
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:肉類 嫌い:魚類
「好きな香り・嫌いな香り」好き:杉や檜・女の子のシャンプー 嫌い:香水全般
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵UNIQLO
「土地」日本
「ひいきの店またはメーカー」UNIQLO
「愛用品」Gパン
****習慣****
「こだわっている所」特になし
「意味のない所」特になし
「好きな言葉」虎穴に入らずんば虎子を得ず
「首飾り」なし
「ピアス」付けてはいないが『大丈夫おじさん』から貰った物がある
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」なし
「占い」信じる
「言葉なまり」なし
「野性的勘」なし
「職業」不動産屋
「ペット・植物」猫好き・植物は栽培していない
「特技・技」自身に対して使われた能力を取得可


【ヒロイン】
「名前」シルフ 「略称」シルフ・王
「年齢」17 「星座」おうし座
「性別」女
「種族」ヒト科ヒト属E.sapiens
「身長」170cm
「体重」50kg
「出身」ホワイトシーフ王国
「髪の色・髪型・目の色」金・ストレートロング・水色
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」左
「声質」低い
「手術経験・虫歯」12歳の時に瀕死の状態となるが一命を取り留める
「現在患っている病」精神疾患
「鼻や目の形」鼻:小さい 目:二重で切れ目
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」八頭身・大きい、見た目は20代半ば
「前科」なし
「賞・資格」なし
「学歴」幼少期は学校に通わずに専任の講師がいた
「幼児青年期の精神的体験」10歳の時に父と母が死亡し、10歳にしてホワイトシーフ王国の王となる
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・父親のような年上の人に甘えたい・なし
「尊敬する人」父親・母親・セバス
「恨んでいる人」父親・母親
「将来の夢」特になし
「恐怖」身近な人の死
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:物事に対して常に否定的・傲慢 口癖:「だから何?」「~でもないのだけれど」
「人間関係・態度」親しい友人などがいない・初対面の人に対しては攻撃的
「トラブル関係」特になし
****性格****
「明るい方か」いいえ
「ユーモア・暴力性」なし・あり
「活動・社交家か」活動:YES 社交家:NO
「知的か」自宅にある書物の内容は大体頭に入っている
「清潔か」かなり
「表現力」適度
「弱点・悩み」直ぐに人を罵倒したがる
「異常性格・性癖」いつも苛立っている・美少女に性的興奮を覚える
「変わっている所」王として人前に出る時は性格を偽っている。大きく魅せている
****趣味****
「音楽」ヴァイオリンを弾ける
「新聞」
「娯楽」なし
「雑誌」
「映画」
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:白 嫌い:黒
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:野菜・魚類 嫌い:肉類
「好きな香り・嫌いな香り」好き:花 嫌い:臭い香り全般
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵ドレスを着用。ただ、本人は大人っぽい服装よりも子供っぽい服装を好んでいる
「土地」ホワイトシーフ王国
「ひいきの店またはメーカー」なし。シルフの服は城のメイド長の手作り
「愛用品」なし
****習慣****
「こだわっている所」王としての品位
「意味のない所」なし
「好きな言葉」
「首飾り」あり
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」なし
「占い」信じない
「イメージカラー」白
「言葉なまり」なし
「野性的勘」あり
「職業」ホワイトシーフ王国当主
「ペット・植物」小さくて可愛いものは全般的に好き
「特技・技」治癒魔法・防御系魔法


【キャラクター①】
「名前」シュタイナー・レイン 「略称」ゴーレム幼女
「年齢」??? 「星座」カニ座
「性別」女
「種族」???
「身長」130cm
「体重」30kg
「出身」聖リトラレル王国
「髪の色・髪型・目の色」金・ストレートロング・金色
「視力・色力」1.5 問題なし
「メガネの着用」なし
「利き腕」左
「声質」高い
「手術経験・虫歯」あり
「現在患っている病」精神疾患
「鼻や目の形」鼻:小さい 目:大きい
「身体的特徴・乳房・足・ほくろ」幼児体型・小さい・見た目は9歳児
「前科」なし
「賞・資格」なし
「学歴」貧乏だったので学校には通わずに教会で読み書きを教わる
「幼児青年期の精神的体験」10歳で既に国で一番強いと言われている魔導士よりも魔力が大きく、神童と呼ばれる。貴族ではない平民の子だった為に存在はひた隠しにされていた
「恋人・恋愛観・結婚観」なし・なし・なし
「尊敬する人」ヴァ二アル・クック
「恨んでいる人」幼少期に関わった人物全員
「将来の夢」特になし
「恐怖」孤独
「性格の特徴・口癖・くせ」性格:わがまま・傲慢 口癖:「みそ」
「人間関係・態度」花島以外に対しては優しい
「トラブル関係」数百年前にあった大戦で数千人の人と2つの国を滅ぼし、魔導士界隈では【最悪】と呼ばれている
****性格****
「明るい方か」YES
「ユーモア・暴力性」あり・あり
「活動・社交家か」活動:YES 社交家:NO
「知的か」NO
「清潔か」それなり
「表現力」適度
「弱点・悩み」なし
「異常性格・性癖」変なものを可愛いと感じる
「変わっている所」
****趣味****
「音楽」なし
「新聞」
「娯楽」なし
「雑誌」
「映画」
「創作」しない
「好きな色・嫌いな色」好き:白 嫌い:白以外
「好きな食べ物・嫌いな食べ物」好き:肉類 嫌い:なし
「好きな香り・嫌いな香り」好き:なし 嫌い:体臭
****衣食住****
「インテリア・ファッション」大抵ドレスを着用で服にこだわりはない
「土地」
「ひいきの店またはメーカー」なし
「愛用品」ちぃちゃんの普段着(特一級魔具)
****習慣****
「こだわっている所」依頼された事はキチンとこなす
「意味のない所」なし
「好きな言葉」働かざる者食うべからず
「首飾り」なし
「指輪」なし
「タバコ」吸わない
「麻薬」吸わない
****その他****
「酒類」飲めない
「超能力」あり
「霊感」あり
「占い」信じない
「イメージカラー」白・黄色
「言葉なまり」~みそ
「野性的勘」あり
「職業」なし
「ペット・植物」ネコっぽい生き物は大体好き、それ以外は食糧として見る
「特技・技」魔法全般・石化能力

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