濡れ衣

文字数 978文字

 ひとつづつ整理していこう。

 まずは、生徒会長。以前、生徒会にさそわれ、断った経緯がある。同じクラスというだけで、これといった関わりも無い。目立たない守がさそわれたのは、先生受けがいいからだ。教師たちは、守に会長になってもらいたかったようだ。しかし、目立ちたくない守が立候補するはずも無い。すると、クラスで予備選と称して、自薦他薦で代表決めをするといいだした。学級委員の推薦で守と彼の一騎打ち。つきあうつもりなど毛頭なかったが、片思いでいることで楽しかった、その学級委員の推薦を守としても断りきれなかった。が、なんとか代表は避けたい。でも、教師からの評価を下げるのもいやだ。そこで考えたのが、票が入らない演説をすること。
 普通は、生徒の有利になる公約を掲げる。しかし、守は美化委員という立場をつかって、学校の美化に主眼を置いた公約を掲げた。教師には当然受けるが、生徒には反発される。
 そのため、獲得一票という惨敗で、誰もが納得せざるを得ない結果となった。その一票が誰のかはいまだにわからない。もしかしたら、守の真意に気付いた者がいたのかもしれない。

 IT企業の息子。こいつに技術があるとは思えない。ただ、誰かがこの息子を利用していることは考えられる。

 議員の娘。こいつは、うすうす、守が学級委員に好意を抱いていることに感づいていたようだ。守は片思いを楽しんでいただけだが、それが気に入らなかったのだろうか。

 最後が、学校に非常勤で来るパソコン講師。素性はわからなかったが、技術もある。守に異様に絡んでくる。授業のときも、わざとバグを忍ばせたり、直接メールを守にだけ送ってくる。ただ、怨まれる覚えもない。

 そんな中、学校の職員室があらされる事件が起こった。テスト用紙が盗まれた。真っ先に疑われたのは引きこもりのくせに成績のいいAI。学校に滅多に来ないので、反論もできない。職員室の監視カメラは外部から止められていた。そんなスキルのある人間は少ない。AIが疑われると、守が実行犯として疑われかねない。
 ちなみに、監視カメラを要望したのは議員で、息子が通っているということで父親のIT企業が導入した。しかし、職員室の内情を知っているのはパソコン講師だ。生徒会はカメラ導入に猛反対した。そのため、実際には屋外と職員室のみ稼動させていた。
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登場人物紹介

稲田法喜

米の自由化を推進する農政大臣

棚田守(たなだまもる)

悪徳政治家を相手に戦う中学生盗賊:外米四世(ガイマイヨセイ)

予告状を出すのが彼のスタイル

黒岩燕真

外米の相棒:クロエンマ

行方不明の外米の父親に代わって現四世の世話をする執事

城田万次

通称:シロマジン

元刑事の探偵でガイマイを捕まえることが生きがい

棚田謙蔵(たなだけんぞう)

元、外米四世

ある事件以来、行方不明

謎の殺人予告者

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