二年B組!ふぇろもん先せーい!

文字数 1,269文字

「それで?」
「それで、とは?」
「だから、お前とダリア?さんの、かんけーだよ!」
まさかもう卒業したのか!と、葉一がわめく。
   
ダリア騒動から数日。
葉一は、毎日、様子をきいてくるようになった。
俺は次の英語の授業のノートを開きながら、なんでもないことのように言った。
「ダリアなら、いま、俺の横で寝てるよ・・」
ボカン!
分厚い、英語辞書が、俺の頭に炸裂した。
「あ、ゴメーン!なんか、不純異性交遊な発言がきこえたから、手がすべっちゃったぁ★」
「さ、さくらったら、さすがに過激だと思う・・・」
さくらとゆりさんも聞き耳をたててたようだ・・・
「お前なぁ!冗談もわからないのかよ!」
「よしゅあが、下品な冗談とばすからでしょー?
大体、いくところないからって、家に泊めつづける、よしゅあがおかしい!」  「だ、ダリアさん、は、よしゅあ君のことが好きなの・・?」
「まじか!よしゅあ、まじで秒読みなの?ぐらじぇーしょん、なの?」
なにがだ。
「まぁ、家の二階は二部屋空いてたし、ダリアも最初は礼拝堂でネマス!とか
いってたけど、そんなわけにもいかないだろ・・・」
「なるほどねー、それで一緒に寝ています、と。」
「それは冗談だよ!ダリアは親父とお袋の寝室をつかってるよ!」
「へー・・・ところで、ナチュラルに『ダリア』呼びになったのはいつから?」
へ?
あ、なんかさくらとゆりさんの空気が怖い・・・?
     
♪キーンコーン
 
ちょうどいいタイミングで、チャイムが鳴った。
英語の授業は、この学校で一番の人気教師がおこなっているので
みんなそそくさと席につく。

ガラっ、っと入ってきたのは
お色気たっぷり、大人の魅力満載の英語教師・『ふぇろもん先生』だ。
本名は違うんだけど、ほとんどの生徒は『ふぇろもん先生』と呼ぶ。
ストレートのロングヘアーに切れ長の瞳。
ぼんきゅっぼん、のスタイルをスーツにつつみ、
「今の発音は、アール、じゃなくて、ェール、舌を、少し、上あごにむけて、、」
の口の動きがエロっぽくて、女子でもくらくらするらしい。
「じゃぁ、次の単語を、、佐藤君、発音してみて。」  
当てられて、どきまぎして立つ。
・・俺、実は英語苦手なんだよ・・・・
「・・・アール」
「うーん、いまの発音だと、Lじゃなくて、R、にきこえちゃうから、
 ほら、よぉーく、先生の、口元をみて、、ハイ、先生のあとについて・・・」
「ェール」
「アール。」
「ェール」
「っぇーる・・」
たしかに、先生の口元をじっと見て発音していると、ドキドキするような・・!
(というか、みんなの前で一人、発音なおされるだけでドキドキだけどな・・)
ふぇろもん先生が人気なのは、文法だけじゃなくてきちんと生徒一人ひとりの発音までちゃんときいて、正しい発音を教えてくれるからでもある。
若いし、明るいし。
「よしゅあ、本当に英語苦手なんだな・・ダリアさんに教えてもらったら?」
前の席の葉一がコソっと言ってきた。
・・・大きなお世話だ。
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