文字数 1,188文字

スクールバスをおりたら
パン屋のおねえさんが お店の前で ひと休みしてるところだった。
「あら ベイビーちゃん おかえり。
最近 オッドに 会いにこないね。
オッド 退屈しちゃって 冒険に出ちゃったよ」
オッドはね おねえさんがかってる クロネコくんなんだ。
オッドとはね 赤ちゃんのころから なかよしなの。
ワタシが生まれた つぎの日 お店の前に 小っちゃなネコが捨てられていたの。
その赤ちゃんネコが オッドなんだよ。
おねえさんがパン屋さんで ホントによかったって ママはいうの。
「パン屋さんの朝は早いでしょ?
オッドを置いていった人も 1秒でも早く気づいてほしかったのかもしれないわね」
オッドはダンボールの中で 息をしてるのか わからないほど だったんだって。
ぐったり 冷たくなってたんだって。
だから おねえさんは あわててもうふにくるんで 温めたの。
ハンカチにミルクをしめらせたけど なめてもくれなくて すっごく心配したんだって。
朝日がのぼって 小さくニャってないたとき よかったって泣いちゃったんだって。
元気に ミルクをの飲むようになって やっと目があいて 
あら この子 ほかのネコとちがうのねって 気がついたんだって。
オッドはね みぎの目は 金色だけど
ひだりの目は 銀色なんだよ。
ふたつのお星さまみたいに きれいなんだよ。

「きょうくらいには 帰ってくると 思うけどなぁ……。
ベイビーちゃん お店ばんをしながら 待ってみる?」
オッドは ときどき いなくなる。
1週間くらいの 時もあるし 
1か月も 帰らないことだって あるんだ。
耳の先っちょやしっぽに けがをして 帰ってきたこともあったんだよ。
ねぇ オッド おねがい。ケンカなんか しないでね。
でも おねえさんは あんまり 心配じゃないみたい。
「オッドはね ちょっとしたキズなんて 自分でなめて 直しちゃうんだよ」

「きっと だいじょうぶよ そのうち 帰ってくるからね。
オッドには オッドのやりたいことが あるのよ」
でもね ワタシは やっぱり心配しちゃう。
「ベイビーちゃんは やさしいね。
オッドのこと 心配してくれて ありがとね。
そうそう あんずのパンを 焼いたから お礼に召しあがれ。
はい 温かいミルクも どうぞ」
やったー ラッキー!
ワタシ おねえさんのパン だい だい だい好き!
いっただきまーす!
サクサクで モチモチで とろーりで ちょっとすっぱくて うーんとあまくて……。
なによりも ビコウをくすぐる バターのホウジュンな香り……。
セッ セッ セッボーン!
オッドのことを忘れちゃう おいしさよ。
ママもね おねえさんのパンは 世界でいちばんよって いってる。
上等なバターをたっぷり使って ていねいにこねて ていねいに焼いてるのよって。
でもね ママ おねえさんがこだわってるのは 麦と酵母なんだよ。
大学で 研究してたくらいなんだから。



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