十章 【魔法オシャレ学】星崎・今岡コラボパート
文字数 2,033文字
まったくもって意味不明ですわね。なにをするのでしょう……
僕のパーティー会場はここかな?
魔法オシャレ学……
剣士のオレにはあまり必要ない気がするんだけど、受けなきゃいけないのかな?
むしろ召喚獣のあんたが、なんで律儀にいるのか、
そっちのほうが疑問なんだけどね……。
僕の名はウィル=ラガマフィン。
魔法オシャレ学の担当者だ。さて、君たちの質問に答えよう。
剣士や召喚獣に受ける意味がある授業なのか……答えはイエスだ!
冒険者といえども、見栄えは大事だ。誰でも可愛く、あるいはかっこよくなるための魔法を学ぶ場。それが魔法オシャレ学となる。
女の子がかっこよく、男の子が可愛くなることも可能だし、剣や盾をオシャレにコーデすることもできる
(あれ? まじめに授業していますわね……。
もしかして、この人はかなりまともな先生ですの?)
さて、そこのおかしな……失礼。奇怪な言語で喋る召喚獣。
まずはお手本がわりに、君をコーディネートしよう
ウィルが指を鳴らすと、ゴンの身体が鉄の鎧に包まれる。
全体はチョコレートをイメージしたブラウンで、ところどころに生クリームを思わせる白いフリルのついた鎧だった。
ご丁寧に、頭の上にもチョコレートカラーの大きなリボンがつけられている。
斬りもそか……。
女子首(おなごくび)ば、武士の恥じゃっどん、
ここまで虚仮(こけ)にされては、
おいも黙ってはおられんでごわす……。
この僕とやろうというのかい? 面白い
セバス、レモンティーを
さて、召喚獣くん。どんな勝負をお望みかな?
戦に理屈はいりもはん。
ただ屠る。
そいだけにごわす!
落ち着いて。
ただそれ脱げばいいだけじゃないかっ!
なにもそこまで怒ることないじゃない!
薩摩兵士(さつまへご)が物笑いばさいて、
黙っちょれるわけがなかと!
いったいこれはなんの騒ぎか!
実は~(説明中)
しかし、その下に隠された素顔はカレンの名にふさわしく、可憐――。
二面性のある女性は美しい。
どうです? もしよければ、今夜僕と秘密のお茶会でも(カレンの手をとって、手の甲にキスをする)
ふむふむ、お姉ちゃんはウィル先生とそういう関係、と……。
メモしとかなきゃ。
そこっ、メモをするな!
私にそういう趣味はない!!
だいたいレオナルドやミライはともかく、
そこな召喚獣、貴様の使う剣術は
示現流ではなかったか!
たしか示現流は初太刀のみにすべての力を込めて
相手が死ぬか己が死ぬかの二択を迫る剣術と聞く。
違うかっ!
いや、まっこともって、そん通りでごわす。
初太刀が外れれば、さぱっと死ぬ。
冥府の先駆けもまた武士の誉(ほまれ)ぞ!
僕は下ネタとか、使い勝手の悪い技とか、そういう僕の美学に反するものが苦手なんだ……。
このままでは僕は、身体中から美しく薔薇を生やし、花たちと共に永眠してしまう……
というわけで、この勝負はお預けだな。
それでいいな!
いいや!
おいはまだ収まりつきもはん!
いざ、尋常に勝負ばすっとじゃ!
スーさん……。
ここいらで手を打っておきなって。
万が一やられでもしたら損だし、
勝っても無傷で済まなきゃ、
当分女湯とかのぞきにいけないよ。
しょうがなか……。
先生(せんせ)やレオがそいまで言うなら
おいも手をひきもそ!
今さらりと問題発言が聞こえたような気がするのですが……
つまんないの……
今日のところは、これで早退させていただく……
それは、問題の多い(?)召喚獣を持ったナオミを可哀想に思ってのため息でもあった。そしてその数秒後、自分の召喚獣も厄介者であることを思い出し、もう一度深い息を吐くのだった。