【戯曲】闇の左手(ル=グウィン原作/オリジナル訳に基づく二人芝居)
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文字数 286文字
太陽は小さく冷たく、明るい空にかかっていた。途中、一人で木の幹にもたれて、パンの実のサンドイッチと水筒の熱いお茶で昼食をとった。オーシュという、香ばしくてほのかに甘酸っぱい穀物茶だ。
雪の凹凸[おうとつ]が投げかける影が長くなり始めた頃、道はゆるやかな上り坂になった。苦手なスキーに悪戦苦闘しつつ、ついに僕は丘の上に立った。ここを下り、最後の林を抜ければ、シノス川のはずだ。
だが、突然、小さな人影が、矢のように僕のほうへ飛んでくるのが見えた。
エストラヴェンのスキーは文字どおり風を切って、僕のそばにぴたりと止まった。
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ゲンリー・アイ地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。
セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン