第110話  私は女。男じゃないわよ 2

エピソード文字数 2,764文字

あなたなんかイチコロよっ! 死ねばいいわっ! 死になさいっ!

 白竹ママがバスタオルを投げ捨てた。その瞬間、顔を横に逸らす。

 こんなもん直視しちゃだめだろ!

 

うぉっ! ちょ!
母さん! 何してるんだよ!

これは……紛う事なき魔乳!

幾年月が経とうとも……その力は今だ衰えることを知らず健在とは……ぐはっ!

ふふっ。平ちゃんは相変らず変態街道まっしぐらね。

これでも食らいなさいっ!

あがががっ! ぬはっ! こ、これは、むほっ! ま、まにゅ、もふっ!
 一体何が起こっているのか分からないが、平八さんの意味不明な叫び声が聞こえてくる。
ちょっと母さん。何してんのっ!

おっぱいでビンタしてるに決まってるじゃない。

こうなれば平ちゃんはただの、盛りのついた雑魚に成り下がるわっ。

 さっきからペチペチ聞こえてくるのは、その音かよ。

 ってか平八さんだったら、おっぱいでビンタされれば逆に喜びそうなものだが。

 実際平八さんの声が「あうっ」とか「おうふっ」とか、少し喜んでいるようにも聞こえてきた
変わってないわね。どうせあんた。まだ童貞でしょ?

むほっ。ど、どうて。あうっ。い、今では、恥じておりませ、うほっ。

逆にっ、童貞であること、むおっ。むむむむっはっ! 誇らしく……ばうんっ

何言ってるかわかんねーけど、何かしら熱意は感じてくるぞ。

そろそろ死になさいっ! 逝ってしまうのよっ平ちゃん!

たらららったら、ちょいあーさーー!

 白竹ママの掛け声と共に、ばしゃーんと水しぶきの音がすると、平八さんは仰向けになり湯船に漂っていた。 白目になっている平八さんは、鼻血を出しながら湯船に沈んでゆく。


 やべー。あのままじゃ溺死すんぞ。

 そう思った俺は慌てて平八さんを回収したが……

お~ほ~ほ~ほ~~~!


みなさい! 平ちゃんの情けない姿をっ!

意識が無いのにも関わらず、下半身はビンビンに反応してるわよっ!

 確かに平八さんは「そんな」状態だった。

 こりゃひでぇ……そう思ったが、心なしかその表情が幸せそうにも見える。

いい? あなたたちも覚えておくのよ。

平ちゃんはおっぱいを見せれば動きが鈍くなるわっ。


後は煮るなり焼くなり好きにすればいいのよっ!

 胸でビンタなんて、絶対やりたくない。
ってか。へ、平八さん弱すぎるでしょ。
だけど、普通にケンカしたら、一番強いかもしれないわよ
 へぇ~~と言うしかなかった。

 いくら強いっていっても、その弱点致命的だって。



 ※


 

さぁ。そろそろ帰ろうかな。蓮君。美優と魔優をよろしくお願いします。


こんな出会いになっちゃったけど……これからは仲良くしてあげて下さい

は、はい……

 せっかく真剣な話してんのに、前に向けない。

 全裸のママが視界に入るだけで、まともに話が出来ない自信がある。

 魔樹。ついでだから。教えてあげる。

 どーせ蓮君はね……女性の身体に弱いわっ。今でも直視できなくらいダメダメなんだから。



 昔の麗斗と一緒。鼻血ブーよっ!

いやいや。俺は男ですから! そんなの反則でしょ!

魔優になればイチコロよっ! やっておしまい! やるのよ魔優っ!

そして上に乗ってドッキングすればいいのよっ!

ちょっと! な、何言い出すのよもうっ!

何言ってるの魔樹!

あなた達はこれから永遠のパートナーになるのよっ! 分かってるの?


蓮くんと仲良く御付き合い。いえ。お突き合いねっ! お突き合いするのよっ!


もっと。こうっ! こんな風に!

 ちょ! まっ!

 一瞬だけ白竹ママに張り付かれたが、慌てて浴槽へダイブした。

私が許可するわっ! 許可してあげるわよっ!

蓮くんも、異性に対する欲望を、美優と魔優にぶち撒けるのよっ!

なに言ってるのこの人

あっ。だけどちゃんと避妊はしなさい。ママとの約束よ

高校生でお腹が大きくなったら大変だわっ。

まぁでも。その間は私が代わりに学校へ行ってもよろしくてよぉ~~~!

 一人でずっと喋ってる。何だかとんでもない事を。

 その時魔樹と目が合ったが、お互いが同じタイミングでうな垂れるのであった。

はぁん! この前まで少女だった私の娘に……子供が出来るなんて。

ああっ。どうしましょう。全然準備していなかったわっ。


あなた達の結婚式の準備もしないといけないしっ……子供の名前も決めないとだわっ! 

ああんっ。私ったらうっかりさんだわ。うっかりし過ぎよっ!

じゃあね。ママは先に帰ってるわ。すぐに準備しないと!


後は……若い者同士で語り合いなさい。喋り合いなさい!

そして……入れ替わり体質同士、まぐわいなさいっ!

うぉい!

 最後にとんでもない事言いやがって! 俺は勢いで前を向いたが、既に白竹ママは居なかった。


 ってか。ママはどうやって家に帰るつもりなのだろうか。

 という訳で取り残された俺と魔樹は、喋らない訳にはいかず、

すげー母さんだな。エネルギッシュすぎんだろ
苦労してるんだ。母さんにはね。いつも無茶苦茶なんだよ

 魔樹と同じように盛大な溜息を吐く。 と、同時に笑いあった。

 とっても乾いた笑いだった。


 そして、二人同時に溜息をぶっこいていた。

ねぇ蓮君……君は本当に男の子なんだね
まぁな。そうやって育てられてきたし、俺自身もそう思ってる
じゃあ本当に女の子の身体は直視出来ないの?
無理だって。お前のかーちゃん見れなかっただろ? あんなの無理ゲーに決まってるじゃないか
じゃあ僕が男の身体を恥ずかしがるように、君も女の身体を見ると恥ずかしいんだ
何だよその言い方は。で? 何でニヤケてるんだよ
ちょっとお返ししようと思って
は?
そろそろ時間なんだよ
 すると魔樹は湯船の中で目を閉じやがった。
アホかお前は! 入れ替わるんじゃねぇだろうな!

 見れるわけがない! 


 こいつの女の姿は……美優ちゃんそのものなのだ! 

 あのピンクのロングヘアの……超絶美少女なんだって!

ってかお前っ! 恥ずかしくないのかよっ!

俺は男だぞ! 分かってんの?

 風呂から出よう。やばい。やばすぎる!

 ぜってー見れない。マジで直視できねぇから!

や、やめろってお前! きたねぇぞ!

 入れ替わっている間に逃げるんだ。

 そう思い、湯船から出ようとすると、後ろから手を掴まれてしまった。

待て。魔樹。しゃ、洒落にならん後ろに振り向けねぇだろ!
ちなみに僕の女の子の時の名前は……魔優(まゆう)だよ。よろしくね

魔優? あれ? それって……

ってかそんな自己紹介いらん。それよりもその手を離そうか

くっくっくっくっ!

まてよお前。ってか男の子に無防備に裸を見せるもんじゃない!

ママが悲しむだろ!

君だって女の子でもあるじゃないか?

何を今更恥ずかしがってるの?

 くそっ。こいつ! 俺が言った事をパクりやがって!

 これじゃ、さっきの立場と逆転してやがる!

あはっ……蓮くんって……


面白いねっ!

まずい。このままじゃこいつに……好き放題弄られちまう!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色