春の章ー2

文字数 1,118文字

千紗と香月の通う高校の生徒会室。

香月は2年生ながら生徒会長、千紗は副会長である。

んで、どうよ、揚羽さんとの同棲生活。

同棲生活って…。

まあ、そう今までと変わりまへんよ、篠崎生徒会長

そっかー。…ヘタレなんだね、紗千。

っていうか二人っきりなんだからいつもの呼び方でいいのに。

いやいや、貴方は生徒会長、うちは副会長どす。誰がいつこの部屋に来るか分かりまへんし。

…まあ、後少ししたら帰宅時間どすし誰か来るってことはそうそうあらへん思うが。

だっしょー?生徒会長と副会長とはいえ同学年なんだし、敬語使われるのくすぐったいなー。

後、誰か来ても明日に回すしー。っていうか千紗さん、私より全然年上なんだしさー。年上からあんまり敬語使われるのもなー。

明日に回すのんはどうなんやろう。火急の用事かもしれへんどすし。

……まあ、それやったらこないな急にはきいひん、か。っていうか年上って、香月、普段はそう言わへんちゃう。

そうだっけ?…なぁに、普段から使ってほしいの?


親しき仲にも礼儀あり、って言うしなあ。

…いやまあ、うちには使えへんっていうのもよう分かるんやけど。香月、揚羽はんには使うてんもんね。

まあ、揚羽さんは私が物心ついた頃からあの姿だったからなあ。自然と「大人」っていうカテゴリーに当てはめてたから敬語で話すのが当たり前だと思ってたし。

…つって、千紗にも私が高校入るまでは敬語だった気がするんだが。

そうだっけ?
忘れてんな。ほんの一年と半年ぐらい前までの話だぞ。

中学生まではあんま親しくない同級生には敬語だったしな。

それ、うち達幼名馴染みやったのにそないに親しゅうあらへんってなるんじゃ…?
少し寂しそうにそういって笑った千紗。

それを見て、ぶんぶんと手を振りながら香月はいう。

ああいや、違う。違うんだ。

揚羽さんとか千紗に使う敬語とそれ以外の人達に使う敬語では意味合いが違うというか、だな。

…ふふっ
…ん?
突然笑いだした千紗に不思議な事が起きたのを目にしたような顔をする香月
ふふふっふふふっ…
ま、まさか…演技か?

その通り。

まったく、何時からの付き合いや思てんのどす。おんなじ敬語でも意味合いがちゃうことぐらいわかるで

くっ。

ちーさー

席を立ち、千紗の近くへいく香月。

きゃーと、身を避ける仕草をする千紗。

お前というやつはー。

今日という今日は、許さんからなー

それ何回も聞いてんー
きゃいきゃい、と二人で体を絡ませながらはしゃぐ。

そんな事をしていると、完全下校のチャイムが鳴り。

ん、ああ…もうこんな時間か。


30分ぐらいなんてあっちゅうあいさやなあー。

…帰ろっか。

だな。帰るか。
そう言って、帰りの支度を早々と済ませて、生徒会室の戸締まりをし生徒会室を出る香月と千紗でありました。
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登場人物紹介

藤林紗千。京都出身の関東住み。

狐の女の子。歳は216歳。女子高生。京都弁でしゃべる。香月が幼い頃こっちに引っ越してきた。

自分の家からも通えるが、揚羽の家に転がり込んで私服で通える高校にかよっている。


揚羽のことが好き。

楠木揚羽。広島出身の関東住み。

狸の女性。歳は257歳。

和服で雑貨屋を営んでいる。広島弁でしゃべる。


紗千のことは妹ぐらいには思っている。

篠崎香月

千紗、揚羽と幼馴染で現在、千紗と同じ高校に通う17歳。

高校は私服でもいいが制服があるのでそれを着ている。



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