第14話 婚活女性の闇
文字数 2,022文字
目が覚めると、カンナは自分の部屋のベッドに寝かされていた事に気づいた。
「変な夢見たわ」
フカフカな掛け布団をはぎ、上半身だけ起こした。確か昨日、書斎なで行き魔導書を調べていたが、それ以降の記憶が無い。
レンが自分に告白し、セクハラみたいな事をやってきたような夢を見ていたが、よく覚えていない。
夢の中でレンにキスをされたような気もしたが、紙と触れ合っているような感触がした。そういえば子供の頃、紙の漫画上のイケメンにチューをするという変態極まりない事をしていたが、あの時の感触とそっくりだった。
やはりこの世界は少女漫画風のようだ。この世界の人物とキスすると、紙の感触がするのかもしれない。
急に自分がこに世界にいるのが、惨めになってきた。子供の頃の変態行為も思い出してしまい居た堪れない。
やっぱり一刻も早く元いた世界に帰る事が先決のようだ。カンナはベッドから起き上がり、身支度を整えた。クローゼットに中の一番動きやすいワンピースに着替え、ブーツをはいた。
部屋にある洗面台で顔を洗うと、カンナという令嬢の姿に改めてギョッとしてしまうが、この顔に慣れるわけにはいかない。
身支度を終えると気分もスッキリしてきた。窓の外の朝日も心なしか爽やかに見えた。
元いた世界では、朝はバタバタ慌てていた。父は毎日ご飯を用意してくれていた。そんな事を思い出してしまうと、やっぱり一刻も早く元いた世界に帰りたくなった。
この部屋は元々はメリアが使っていたものだ。何かこの部屋にもヒントがあるかもしれない。
メリアには悪いと思ったが、この状況だったら仕方ない。もう部屋やワンピース、ブーツも借りているし、乗りかかった船だ。今更降りる事が出来ないようだった。
この部屋にある机の引き出しを見てみた。日記や手紙類があると良いのだが、小さな引き出しの中には何も出てこない。一番大きな引き出しのなかには、鍵付きの箱が出てきた。
明らかに怪しい箱だった。鍵は見つからないが、この手の箱はヘアピンなどでも開けられそうだ。
洗面台からヘアピンを探し、鍵をいじくって開けてみた。
「やった!」
中には財宝などは入っていなかったが、メリアの日記帳が出てきた。
「メリアさん、ごめん! 神様ごめんなさい。この日記を見る事を許してください」
カンナは人知れず頭をさげ、日記帳のページうぃ開いた。
そこにはカンナの予想を超えるものが書かれていた。メリアは公爵令嬢だが、この世界の美醜レベルでは中の下。結婚相手もうまく決まらず、鬱々した日々が綴られていた。まるで元いた世界の婚活女性のSNSを見てしまったような嫌な気分になる。婚活は意外と大変らしく、鬱になる人も少なくないらしい。
父の教会の元にも、最後は神様しか頼れないと婚活女性が来たりしているらしい。ご利益的ではあるが、変なスピリチュアル方面に行くよりは教会に駆け込むのは運がいい。その女性は教会に通いはじめて結婚が決まったそうだ。不妊でもあったが無事赤ちゃんも産まれたらしい。
婚活がうまく行かないメリアは、こういった幸運には恵まれなかったらしい。そもそもこの世界には教会や神様はいない。結局、家に潜り込んでいたレンという魔術師に頼み、変な儀式をして結婚相手を見つけようとしていたようだ。
やっぱりレンは魔術師だったらしい。日記によると、レンは公爵の敵側から送り込まれた魔術師らしい。ドロドロした人間関係が見え隠れし、読んでいるだけでも胃が痛くなってくる。
ただ、メリアには良心があったらしい。人間の生贄は用意出来ず、森に住むキツネで代用。すると上手く儀式も成功せず、日本人女性の記憶がある悪霊をくっつけてしまったらしい。
この事でレンと揉めに揉め、結局メリアは家出してしまう。
こんな事は漫画では書かれていなかった。漫画で描かれていたのは、上澄みだけだったと思い、やっぱり夢のように都合のいい世界は無いと感じる。
日記は続きがありそうだったが、ページが不自然に破られていた。
「やっぱりメリアさんは、再び生贄をする可能性はあるわね……」
日記を読み、メリアの前世の謎やレンの正体ははっきりとわかり、スッキリした。
カンナが元に戻れる方法は全くわからないが、とりあえずメリアの様子を見に行くべきだと思った。
漫画通りであればトリップという村でカフェを開いて隣国の騎士に溺愛されているはずだった。
メリアに前世の記憶があるカラクリも全部わかってしまったし、レンも魔術師。全く憧れなど持てなくなっていた。
「やっぱり元いた世界の方がいいかも」
そんな事なで呟いてしまうぐらいだった。お腹が減った。父の作った料理が恋しい。
ヘレンが持ってきた朝食は蒸したイモと塩だけだった。さすが料理文化が発達していない国だ。素材を生かしたこんな料理が一番マシという事なのだろう。
「不味くはないけど、美味しくもないわ」
そんな感想しか出てこない食事だった。
「変な夢見たわ」
フカフカな掛け布団をはぎ、上半身だけ起こした。確か昨日、書斎なで行き魔導書を調べていたが、それ以降の記憶が無い。
レンが自分に告白し、セクハラみたいな事をやってきたような夢を見ていたが、よく覚えていない。
夢の中でレンにキスをされたような気もしたが、紙と触れ合っているような感触がした。そういえば子供の頃、紙の漫画上のイケメンにチューをするという変態極まりない事をしていたが、あの時の感触とそっくりだった。
やはりこの世界は少女漫画風のようだ。この世界の人物とキスすると、紙の感触がするのかもしれない。
急に自分がこに世界にいるのが、惨めになってきた。子供の頃の変態行為も思い出してしまい居た堪れない。
やっぱり一刻も早く元いた世界に帰る事が先決のようだ。カンナはベッドから起き上がり、身支度を整えた。クローゼットに中の一番動きやすいワンピースに着替え、ブーツをはいた。
部屋にある洗面台で顔を洗うと、カンナという令嬢の姿に改めてギョッとしてしまうが、この顔に慣れるわけにはいかない。
身支度を終えると気分もスッキリしてきた。窓の外の朝日も心なしか爽やかに見えた。
元いた世界では、朝はバタバタ慌てていた。父は毎日ご飯を用意してくれていた。そんな事を思い出してしまうと、やっぱり一刻も早く元いた世界に帰りたくなった。
この部屋は元々はメリアが使っていたものだ。何かこの部屋にもヒントがあるかもしれない。
メリアには悪いと思ったが、この状況だったら仕方ない。もう部屋やワンピース、ブーツも借りているし、乗りかかった船だ。今更降りる事が出来ないようだった。
この部屋にある机の引き出しを見てみた。日記や手紙類があると良いのだが、小さな引き出しの中には何も出てこない。一番大きな引き出しのなかには、鍵付きの箱が出てきた。
明らかに怪しい箱だった。鍵は見つからないが、この手の箱はヘアピンなどでも開けられそうだ。
洗面台からヘアピンを探し、鍵をいじくって開けてみた。
「やった!」
中には財宝などは入っていなかったが、メリアの日記帳が出てきた。
「メリアさん、ごめん! 神様ごめんなさい。この日記を見る事を許してください」
カンナは人知れず頭をさげ、日記帳のページうぃ開いた。
そこにはカンナの予想を超えるものが書かれていた。メリアは公爵令嬢だが、この世界の美醜レベルでは中の下。結婚相手もうまく決まらず、鬱々した日々が綴られていた。まるで元いた世界の婚活女性のSNSを見てしまったような嫌な気分になる。婚活は意外と大変らしく、鬱になる人も少なくないらしい。
父の教会の元にも、最後は神様しか頼れないと婚活女性が来たりしているらしい。ご利益的ではあるが、変なスピリチュアル方面に行くよりは教会に駆け込むのは運がいい。その女性は教会に通いはじめて結婚が決まったそうだ。不妊でもあったが無事赤ちゃんも産まれたらしい。
婚活がうまく行かないメリアは、こういった幸運には恵まれなかったらしい。そもそもこの世界には教会や神様はいない。結局、家に潜り込んでいたレンという魔術師に頼み、変な儀式をして結婚相手を見つけようとしていたようだ。
やっぱりレンは魔術師だったらしい。日記によると、レンは公爵の敵側から送り込まれた魔術師らしい。ドロドロした人間関係が見え隠れし、読んでいるだけでも胃が痛くなってくる。
ただ、メリアには良心があったらしい。人間の生贄は用意出来ず、森に住むキツネで代用。すると上手く儀式も成功せず、日本人女性の記憶がある悪霊をくっつけてしまったらしい。
この事でレンと揉めに揉め、結局メリアは家出してしまう。
こんな事は漫画では書かれていなかった。漫画で描かれていたのは、上澄みだけだったと思い、やっぱり夢のように都合のいい世界は無いと感じる。
日記は続きがありそうだったが、ページが不自然に破られていた。
「やっぱりメリアさんは、再び生贄をする可能性はあるわね……」
日記を読み、メリアの前世の謎やレンの正体ははっきりとわかり、スッキリした。
カンナが元に戻れる方法は全くわからないが、とりあえずメリアの様子を見に行くべきだと思った。
漫画通りであればトリップという村でカフェを開いて隣国の騎士に溺愛されているはずだった。
メリアに前世の記憶があるカラクリも全部わかってしまったし、レンも魔術師。全く憧れなど持てなくなっていた。
「やっぱり元いた世界の方がいいかも」
そんな事なで呟いてしまうぐらいだった。お腹が減った。父の作った料理が恋しい。
ヘレンが持ってきた朝食は蒸したイモと塩だけだった。さすが料理文化が発達していない国だ。素材を生かしたこんな料理が一番マシという事なのだろう。
「不味くはないけど、美味しくもないわ」
そんな感想しか出てこない食事だった。
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