第24話 王宮での朝食
文字数 1,566文字
知らない天井だ。
正確にはベッドの天蓋なのだけど。いや、本当にここはどこなの?
昨日は、賢者の間にいつの間にか出来ていた和室に泊まったはずなのに。
「お目覚めになりましたでしょうか。アシュフィールド様」
侍女が目覚めの紅茶と一緒に軽食を運んできている。
昨夜、ラーメンを食べたお腹は全く空いてなくて、紅茶だけ頂いた。
王宮のゲストルームだわ。王宮侍女の制服を着ているし。
私はクリスが選んだドレスを着せてもらい、朝食をとるため部屋に急いだ。
食事の間は、普段あまり使われていないはずなのだけど、侍女から「みなさまがお待ちです」と言われてしまっては、行かないわけにはいけない。
「おはようございます。遅くなって申し訳ございません」
殿下たちが、すでに着席していたのでつい謝ってしまったのだけど。
朝食の時間は、午前10時。今ちょうどのハズだ。さすが乙女ゲームの中だけあって、時間概念が同じなのは助かった。
「いや。時間通りだ」
クラレンスがそう言った。クリスとダグラスも普通にしているけど。
ここは王妃の生活居住区。だから本来は、ダグラスはいないはずなのだけど、心配して来ているのだろうか。
私は席に着いて料理を少なめに出してもらうように頼んだ。
なんだか、みんな黙々と食べてる。
本当は歓談して頂くものなのだろうけど。昨夜の事が無くても、このメンバーでにこやかに歓談というのも想像が出来ない。
クラレンスは殴られたところがまだ赤く少し腫れていて時々痛そうにしている。
「昨夜、あれだけ大騒ぎして、結局リリーを探しに行かなかったんだ」
朝食を食べ終わって、食後の紅茶を飲んでいる時にクリスが言う。
「もう、捜索隊が出ただろう? 昨夜の内に探しに行けたらと思っただけさ。迷惑かけて悪かった」
クラレンスは、素直に私たちに謝っていた。
「まぁ、捜索隊に捕まっても、そうでなくても結果はあまり変わらないだろうけどね」
クリスはため息交じりに言う。
「どういうことだ」
ダグラスが訊いてきた。
「普通に考えて、貴族の令嬢が使用人が付いてたとしても、庶民として生きていけると思う? プライドばかり高くて、自分では何もできないんだよ」
「これから学べばいいのではないのですか?」
私は思わず言っていた。
「それができるのなら。君から何か言われてくらいで、クラレンスに言い付けて、庇ってもらったりしないだろう?」
私に諭すようにクリスは言う。そして、クラレンスの方を向いた。
「だいたい、先に見付けてどうするつもりだったんだよ。国王に直訴するつもりでいた? 処刑したことにして、隠してくださいとでも」
「贖罪……かな。ただ申し訳なくて、後の事は考えていなかった。申しわけないという気持ちだけで……。なんでかな、リリーの事になると理性が働かない」
それだけ、リリーの事を大切に想っていたという事かな?
そうだよねぇ。今までキャロルはクラレンスに優しくなかっただろうし。
他の女性を好きになっても仕方が無いのかもしれない。
本当にどうにかならないのかなぁ。
例えば、そう。彼女が転生者とかだったら、貴族の中では生きていけなくても庶民の暮らしは出来そうなんだけど。こっちの世界の事をわかっている使用人が一緒ならなおのこと。
そう思ってクリスの方をチラッと見たら、顔を逸らされてしまった。
何か知ってる?
朝食後、私は自宅に戻る馬車の方に行かずに、クリスの後を追いかけた。
足が速い。普通に歩いているのに男の人ってこんなに速いの?
私が追いかけているの知ってるくせに、速度を緩めてくれない。
その内に、足がドレスに絡まって、私は転倒しそうになった。
誰かが私を支えてくれている。
痛い。なんか足首ひねったみたい。
足の方を見たら、私の後方にヒールの高い靴が転がっていた。
正確にはベッドの天蓋なのだけど。いや、本当にここはどこなの?
昨日は、賢者の間にいつの間にか出来ていた和室に泊まったはずなのに。
「お目覚めになりましたでしょうか。アシュフィールド様」
侍女が目覚めの紅茶と一緒に軽食を運んできている。
昨夜、ラーメンを食べたお腹は全く空いてなくて、紅茶だけ頂いた。
王宮のゲストルームだわ。王宮侍女の制服を着ているし。
私はクリスが選んだドレスを着せてもらい、朝食をとるため部屋に急いだ。
食事の間は、普段あまり使われていないはずなのだけど、侍女から「みなさまがお待ちです」と言われてしまっては、行かないわけにはいけない。
「おはようございます。遅くなって申し訳ございません」
殿下たちが、すでに着席していたのでつい謝ってしまったのだけど。
朝食の時間は、午前10時。今ちょうどのハズだ。さすが乙女ゲームの中だけあって、時間概念が同じなのは助かった。
「いや。時間通りだ」
クラレンスがそう言った。クリスとダグラスも普通にしているけど。
ここは王妃の生活居住区。だから本来は、ダグラスはいないはずなのだけど、心配して来ているのだろうか。
私は席に着いて料理を少なめに出してもらうように頼んだ。
なんだか、みんな黙々と食べてる。
本当は歓談して頂くものなのだろうけど。昨夜の事が無くても、このメンバーでにこやかに歓談というのも想像が出来ない。
クラレンスは殴られたところがまだ赤く少し腫れていて時々痛そうにしている。
「昨夜、あれだけ大騒ぎして、結局リリーを探しに行かなかったんだ」
朝食を食べ終わって、食後の紅茶を飲んでいる時にクリスが言う。
「もう、捜索隊が出ただろう? 昨夜の内に探しに行けたらと思っただけさ。迷惑かけて悪かった」
クラレンスは、素直に私たちに謝っていた。
「まぁ、捜索隊に捕まっても、そうでなくても結果はあまり変わらないだろうけどね」
クリスはため息交じりに言う。
「どういうことだ」
ダグラスが訊いてきた。
「普通に考えて、貴族の令嬢が使用人が付いてたとしても、庶民として生きていけると思う? プライドばかり高くて、自分では何もできないんだよ」
「これから学べばいいのではないのですか?」
私は思わず言っていた。
「それができるのなら。君から何か言われてくらいで、クラレンスに言い付けて、庇ってもらったりしないだろう?」
私に諭すようにクリスは言う。そして、クラレンスの方を向いた。
「だいたい、先に見付けてどうするつもりだったんだよ。国王に直訴するつもりでいた? 処刑したことにして、隠してくださいとでも」
「贖罪……かな。ただ申し訳なくて、後の事は考えていなかった。申しわけないという気持ちだけで……。なんでかな、リリーの事になると理性が働かない」
それだけ、リリーの事を大切に想っていたという事かな?
そうだよねぇ。今までキャロルはクラレンスに優しくなかっただろうし。
他の女性を好きになっても仕方が無いのかもしれない。
本当にどうにかならないのかなぁ。
例えば、そう。彼女が転生者とかだったら、貴族の中では生きていけなくても庶民の暮らしは出来そうなんだけど。こっちの世界の事をわかっている使用人が一緒ならなおのこと。
そう思ってクリスの方をチラッと見たら、顔を逸らされてしまった。
何か知ってる?
朝食後、私は自宅に戻る馬車の方に行かずに、クリスの後を追いかけた。
足が速い。普通に歩いているのに男の人ってこんなに速いの?
私が追いかけているの知ってるくせに、速度を緩めてくれない。
その内に、足がドレスに絡まって、私は転倒しそうになった。
誰かが私を支えてくれている。
痛い。なんか足首ひねったみたい。
足の方を見たら、私の後方にヒールの高い靴が転がっていた。