無題

文字数 236文字

朝に起き
その日をこなし
夜に寝て
また起きて
その日をこなし
夜に寝て
そして、たった一つの大切なもののために
それ以外の全てを台無しにしなくなったことに
ある日ふと気付いてしまった

泡のような日々が
次第に質量を持つようになってからは
やや鈍重になり
安定感が増してきて
ひどく雨が降り続いた時にだけ
夕闇の紫色とか
夜の帳に隠した夢とかが
首もとにまとわりつくようになった

いい気なもんだ
私は多分裏切り者だ
誰もそれを咎めることはないが
少しずつ希薄になってきたあの川辺の記憶だけが
夜毎それを軽蔑している
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