詩小説『さんばし』3分の旅立ち。別れを選んだ人へ。

エピソード文字数 497文字

さんばし

桟橋に立つふたり。
風になびく髪、鞄のランプ。

粉雪は海に降り溶ける。
海の上、旗は高々と、掲げられた。

君と僕がわがままに塗り潰した旗さ。
誇らしくも海風に泳いでる。

また会おうと言うけど、
またっていったい、いつなのだろう?
またなんて来ないのを知ってる。

出航を告げる汽笛が
君を焦らせて。

握りしめていた、君の鞄のヒモ。
手から離れてしまう。

船に乗り込む君の後ろ姿を、
ここで見送る。

叶えられない約束はしない方がいいよ。
期待しないといけないから。
それでも約束をするのは諦められないから。

僕等の間には、
途方もない距離がある。

果てしのなく遠い、
海の向こうへ旅に出る。

僕もきっと近づくよ。
呆れるくらいの、
夢みたいな夢に。

ウィスキーの空き瓶に、
短い手紙、丸めて詰めるよ。
海に浮かべたなら流れるよ。
届かないと知っている。

また会おうと言うけど、
またっていったい、いつなのだろう?
またなんて来ないのを知ってる。

桟橋に取り残されて、
船すら見えなくなって、
ほんとに独りぼっちになってしまったと、
独りぼっちで、小さく呟いた。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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