まかない美味しい

文字数 402文字

 志望動機のまかない。面接では綺麗事を述べようが目当てはまかない。四時間の勤務毎に一杯の牛丼。提供しているのと同じ牛丼がまかない。牛丼は決して高いメニューではないが、一人暮らしの学生にとってはご馳走な牛丼。そうでなくとも、牛肉はご馳走。そうでなくとも肉はご馳走。なんせ、「マッ○のビーフパティがご馳走」な子供時代を過ごした身。バイトの度にお肉を食べられるなんて夢の様でした。
 まかないは忙しい時間には無理だけれど、店が空いて来たら、新入りから順に振る舞われました。十五分の休憩中かっこむ牛丼。先輩に作って貰って食べる牛丼はとても美味しく、朝昼の質素なご飯では摂れなかった栄養も満たされた気分でした。
 その頃の朝ご飯、納豆ご飯と野菜ジュースでしたからね。昼は具無しおにぎりだけで。
 そんな訳で、あっさりとまかないに胃袋を捕まれ、土日だけ入る予定が、あれよあれよと言う間に週五で入る羽目になったのです。
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