メイドロイドの誘惑
文字数 3,135文字
東京ビッグサイトのネット映像を観たオタク達が晴明の≪妄想式超光速7Dプリンター≫などによって兵士と化して集結しつつあるようだ。
どういう陰陽術を使っているのか不明だが、グレーゾーンというか、かなりいかがわしい術にちがいない。
上空から次々飛来する小さな虫のような≪ドローン爆弾≫だったが、≪
強化アルミ合金製の身体をカバーできる長方形の盾でお互いを防御しながら、まるで銀色の亀の
時折、淡い金色の光を放つ五芒星が盾の上に現れては不思議なバリアのように作用してるようだった。
晴明の予言通りに、その時、異変が起こる。
地鳴りがしたかと思うと、アキバのアスファルトの地面が崩落し始めた。
≪
神沢優が安東要の側まできて、身体を支えた。
どうやら、地下の暗闇の中に迷宮のように入り組んだ通路が広がっているようであった。
周りの≪
だが、異変はそれだけではなかった。
オタクのひとりが叫んだ。
地下迷宮の闇の中に可愛らしいメイド服の美少女が現れていた。
蛍のように淡い光を放っている。
それは今、アキバのオタクたちの間で人気沸騰の≪メイドロイド
姿は
これを振り回しながら、歌と踊りのパフォーマンスを繰り広げるネットバーチャルアイドルでユーチューブに映像が多数アップされている。
メガネオタクが仲間の油断に疑問の声を上げた。
無駄にメガネをクイッと持ち上げるアクションでインテリジェンスをアピールする。
屈強な筋肉を誇るサバゲーオタクが迷彩服で飛び出す。
ネットオタクは我に返って、すごすごと引き下がった。
何かの催眠術のようなもので、誘い込まれたのかもしれない。
アーチェリーオタクが先制の矢を放つ。
それに合わせて、迷彩服のサバゲーオタク部隊10人が妄想で創った
アーチェリーはともかく、見通しが悪く、近接戦闘が多い地下迷宮では
だが、硝煙が晴れると、当然のように≪メイドロイド≫は無傷で姿を現した。
どうやら、両手のダイコンで全部叩き落とされたらしく、弾丸が地面に散らばっていた。
そのやりとりの間に、ドローンオタクは赤外線スコープを装備したカメラ付きドローンを超低空飛行させてローアングル撮影するという離れ業で、
少し間違えば犯罪者だし、何の効果を狙ってるのかと思ったら、エロゲーオタク界隈の士気がマックスに上がっていた。いや、それも無駄でしかないような気がするが。
突然、≪メイドロイド≫が光速で突進してきた。
日本刀オタクと、ソードオタクと、青竜刀オタクが突撃を剣、刀で抑え、その隙に緊縛オタクが≪メイドロイド≫を捕縛して、SMオタクが鞭で叩いていた。意味がない。
だが、≪メイドロイド≫は身体を腰から高速回転させるというアンドロイド独特の動きで縄を切断したかと思うと、再び、突進を再開した。
相撲オタク、プロレスオタク、レスリングオタクが必死でそれを止めようするが、歯が立たずに盾もろとも身体ごと吹っ飛ばされていた。
安東要の本陣周りに≪メイドロイド≫が単騎で突撃突破を果たそうとした時、ついに輝く銀色の装甲もつ式鬼≪
式鬼≪
パイロットは
彼らは元ゼロ戦乗りで終戦になって死にぞこなって、余生を
オタクたちと比較して練度も実践経験、妄想力も高く、それゆえに晴明から式鬼≪
安倍清明は年寄りが張り切るのは少々不安であったが、いざとなれば、自分の陰陽術にも自信があったし、心配はしていなかった。
如何に神霊となった安倍清明でも、全ての未来がその千里眼に映るとは限らなかった。
未来の可能性は無限に広がっている。
やがて安倍清明はそのことを思い知らされることになるのだった。
(あとがき)
予告タイトルと違ってますが、アキバの地下迷宮での戦いはどうなるのか?
オタクたちの特殊な妄想力を生かせば、案外、凄い戦力になるかもしれません。
今は付け焼刃でいまいち頼りないですが。
次回『地下迷宮の戦い』をお楽しみに!
式鬼≪
http://ncode.syosetu.com/n3966bx/