プロット

文字数 2,629文字

【起】
◆主人公・莉愛は中学2年生。家はお寺でお坊さんのお爺ちゃんと入り婿のお父さんとの三人暮らし。
寺の一人娘だったお母さんは莉愛が小さい頃に亡くなり、莉愛はお母さんの代わりに食事や洗濯で忙しい毎日。
同級生達はフツーの家でフツーに育っているのにと、フツーに憧れ自分の境遇に不満を感じている莉愛。
しかも莉愛には誰にも言えない秘密があった。
実は莉愛の家は隠れキリシタンの家系……今でも寺ではこっそり大日如来をデウス様として信仰しているのだ。

◆ある日お父さんが倒れ、救急車に乗せられていった。
お父さんの一命を取り留めたい莉愛は隠れキリシタン達の神様であるデウス様に祈った。
「神様、仏様、デウス様!」
まばゆい光と共に現れたのはデウスはデウスでも「アスモデウス」……すなわち悪魔だった。
曼荼羅と思っていたものは悪魔召喚のための魔方陣だったらしい。
魔界の貴族であるアスモデウスは莉愛に一目惚れ。
望みを叶える代わりに花嫁になれと対価を要求。
お父さんを助けたい莉愛は渋々契約に応じる。
アスモデウスは死神に命じお父さんの命を連れて行くのをやめさせるが、莉愛は18歳になるまで結婚は待てとストップをかける。
「お前が18歳になるまで婚約者殿の家で世話になることにしよう」とアスモデウスは言い、婚約の印に手の甲に口付けるのだった。

【承】
◆お父さんが入院中で不在の莉愛の家にアスモデウスは転がり込む。
お爺ちゃんには親戚の子が居候することになったと魔法で思い込ませたのだが、倒れたお父さんの分も寺の仕事で忙しいお爺ちゃんは同居を歓迎する。
しかもアスモデウスは莉愛の中学にも転校生として通うことに。
外見は莉愛に合わせて少年になったが誰しもが振り返る魔性の美貌は相変わらず。
スポーツも勉強もできる万能ぶりで学校中の女子からモテたが、彼は婚約者の莉愛しか目入らない。
クラスメイトがどういう関係かと問い詰めると、莉愛は親戚と答えようとするがその前にアスモデウスに先に「嫁」と言われてしまう。
フツーでいたいという莉愛の願いはますます遠ざかることに。

◆しかし、俺様気質で人目を気にしない溺愛ぶりに困ったところもあるアスモデウスだが、一緒に暮らすうちに莉愛は彼の存在をありがたく思うようになっていた。
魔法を使うものの家事を手伝い、莉愛の労を労ってくれる彼の優しさ。
それから困ったことが起きると庇ってくれる頼もしさ。
またアスモデウスはデートしようと莉愛を息抜きに遊びに連れ出す。
自分がそれまで母親不在の分、本当は遊びたいし甘えたいのに一人で無理して気張っていたことに気付く莉愛。

アスモデウスの献身は全て莉愛に好かれたいがための打算だったが、独善的だった彼の中に他人への気遣いが芽生えていた。
愛とは押しつけるものではなく思いやる心。
デートの最中、莉愛が感謝の言葉を述べるのを聞いたとき、魔王になって皆から傅かれたいと思っていたが、本当に欲しかったのは嘘も打算もない真心で愛してくれる存在であったのだと気付く。

◆アスモデウスの話題でクラスの女子とも接点が増え、魔法により家事が軽減されたことでみんなと一緒に遊びにいくことも出来るようになった。
「莉愛ちゃんって特別かと思ってたけど、案外普通の子なんだね」とクラスメイトから言われ、先入観を払拭することで求めていたフツーも手に入れられそう。
デート以来、人前で恥ずかしいのは相変わらずなものの、アスモデウスとの仲も良好だ。

しかし一方で新たな問題も。
一つはアスモデウスの花嫁になったら魔界に行きお父さんとお爺ちゃんと別れなければならないであろうこと。
もう一つはアスモデウスのような美少年に自分は吊り不合わないのではないかとコンプレックスを煽られたこと。
全てはアスモデウスとの同居が始まった頃から接触してくるようになった謎の美青年の仕業……。
アスモデウスと対立する魔界の貴族のアスタロトが莉愛にアスモデウスとの契約を破棄するよう揺さぶりをかけたせいだった。
そうとも知らず莉愛に嫌われたと思い込むアスモデウスは苛つき、二人の仲はふたたびぎくしゃくし始める。

【転】
◆莉愛が人間に化けたアスタロトといるのを見たアスモデウスは、最近の莉愛の態度が全てアスタロトの計略によるものだったと気付いた。
アスタロトはアスモデウスのものは横取りしたいし、アスモデウスのやる事は邪魔したい。
その対抗心は歪んだ愛情からくるものだった。
アスモデウスとアスタロトが莉愛を巡り交戦すると寺は被害を受ける。
かつては寺じゃなければフツーの家の子だったのにと考えていた莉愛だったが、父や祖父、先祖が守ってきた寺、隠れキリシタンたちの心の拠り所だった寺を失いたくないと改めて大切さに気付く。
寺を守ろうとアスタロトの攻撃を受けた莉愛をアスモデウスが庇い瀕死の状態。
つい先日までアスモデウスに頼んで魔法で解決してもらっていた莉愛だが、こうなってはデウスを頼れない。
自分がアスモデウスを救うんだと神に祈った。
「神様、仏様、デウス様!」
莉愛が祈ると体に刻印が浮かび、契約者である莉愛の生命力がデウスに流し込まれる。
復活したアスモデウスはアスタロトとの一騎打ちに打ち勝つ。
アスタロトは「また来るからな!」と捨て台詞を吐いて魔界へと退散した。

【結】
◆「お前のおかげで助かったぜ、やっぱり俺の嫁はお前しかいない」と言うアスモデウス。
莉愛もアスモデウスがいてくれて感謝していることを伝える。
他人に甘え、頼ることが出来る安堵感。
誰かに愛され必用とされることの喜び。
自分にとって守りたいものは何か。
そのために困難に立ち向かう勇気。
「でも神頼みしたっていいんだぜ、ただしデウス様限定な!」

◆それからも莉愛とアスモデウスの同居は続く。
学校でも所構わずの溺愛ぶり相変わらずで恥ずかしいままだ。
いちゃつくのは家の中だけにして欲しいと言うと、「人目は気にしないんじゃなかったのかよ」とツッコミが。
「見た目は気にしないの間違い」だと反論を返す莉愛。
そこへアスタロトが人間に化けて転校してくる。
自分の美貌にも屈せず抵抗してくる芯の強い莉愛に惚れたとのこと。
「契約結婚より自由恋愛がいいよね」と。
学校中が新たなイケメン登場と求愛に大騒ぎ。
アスモデウスのとき同様にクラスの女子達に弁解する莉愛に、アスモデウスが「俺達相思相愛だから」と火に油を注ぐのだった。

続編
・アスタロトも含めた三角関係っぽいノリ
・別の悪魔が現れる
・莉愛の死んだ母親に秘密あり
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