お客さん、いらっしゃ~~いのコーナー
文字数 6,188文字
デッドリーエンジェルの歌声は我々にはそれはもう、天にも昇るような美声に聞こえるのですが、人間には死者の怨嗟の声に聞こえるようです。中にはその声に引きずり込まれて死に至る者までいるそうですよ。彼らの声を元にして作られた魔術が深淵の声、というものらしいです。
(マオウの対面に魔法陣が出現し、キラキラと輝く光を放ちながら人影が出現する)
そうそう。前の作品でもそのパターンのラスボスは居たんだけど、このお方は存在感が段違いだったね。変身しないにも関わらず、そのインパクトは絶大なものを誇っていたんだよ。シリーズを代表するボスとして今もなお名前が上がると言う、それはもう凄いお方なんですよ。
そういえば今まで気づかなかったフリしてたんですが、相馬さんの隣にいらっしゃるスケルトンはどなたなんでしょうかね。人間の骨じゃなくて明らかに魔物っぽいのはわかるんだけど。今日は相馬さんしか呼ぶつもりは無かったんだけど、一緒に召喚されてきたんだけど。
あえてラモスが大々的に地上を侵攻、支配しようとしていると喧伝する事により、人間の目をそちらに向かせるのが目的だ。そうすることで私の存在を人が感じる事がなくなり、裏からの支配がよりスムーズに行くというわけだよ。
ははあ、なるほど。確かによく考えられている。
僕はつい面倒で、表の世界にはラモスさん的なボスは置いてないんですよね。
自然にボスになった魔物が自分から指示を聞きに来たりとかそういうのはありましたけど。
僕はつい面倒で、表の世界にはラモスさん的なボスは置いてないんですよね。
自然にボスになった魔物が自分から指示を聞きに来たりとかそういうのはありましたけど。
骨ちょっとうるさいヨ!? 僕まで口調移っちゃったじゃねーか。
といっても、僕はそこまで地上を支配する事に魅力を感じてないんですよね。
今の勢力を維持して、時々くる連中を追い返せればそれでいいんです。
平和を愛する魔王ですから。
といっても、僕はそこまで地上を支配する事に魅力を感じてないんですよね。
今の勢力を維持して、時々くる連中を追い返せればそれでいいんです。
平和を愛する魔王ですから。
なんと。一体何のために大魔王をやっているのかそれではわからぬではないか。大魔王の責務とは人間を生の苦痛から解放し、全てが平らになった死の世界へ、静かなる深淵の縁へと誘う事ではないのか。生は醜く、死こそが美しい。そうは思わぬのか?
僕は生も死も等価値と考えていますのでね。生命があってこその死。死んでこそ、新たに生まれる生命の息吹があるんです。循環が無ければこの世は続きません。僕らが生きる裏世界とて厳しいながらもこの循環が保たれているのです。
ユミルと申します。私はどちらかと言えば、人間は殲滅し地上に魔族の楽園を築きたいと考える、魔族としては一般的な考えを持っています。しかし、私はそれ以上にマオウ様に絶対的な忠誠を誓っています。故に、自らの考えよりもマオウ様の考えに沿い、マオウ様の指示に従う事を優先します。
相馬さまの経歴を続けて紹介しますが、俗に言われる{下の世界}とやらを闇に包んで支配下に置いた後に、ラモスさんがやられた所で{上の世界}に宣戦布告。そこから総攻撃を仕掛けようとしていた模様ですが、後の伝説の勇者と呼ばれるパーティが城に侵攻してきて、激しい戦いの結果敗北して深淵の闇に沈んでいったと……
余も計略を尽くして向かって来る勇者たちと相対したのだがな。残念ながら勇者たちが神の下から持ち出してきた、太陽の輝きの宝珠によって余を守っていた闇の衣を剥がされてしもうてな。その後どうなったかは語り尽されておるゆえ、省かせてもらおう。マオウ殿も自らも守るバリアを破られたりしないよう、敵が何か厄介なものを持っていたら対策を考えた方が良いぞ。うむ。
いやあもう。当時はマシンスペックが低いのとソフトウェアの容量が少ないのもあってどうやって表現しようか、何を削ろうかというのが常にギリギリのせめぎあいだったと聞いております。おかげで勇者の父親は荒くれものの容姿を使いまわされたし。
実際勇者にやられたのだから仕方ないですネ。私なんか死んだ後、更にゾンビとして復活させられて城の警備の為に働かされてましたけどネー。死後も働かなきゃならないとかとんだブラック職場ですよネー。いや闇職場ですかネ?
大魔王とは何か、何を成すべきであるのか。我らは闇の中に生まれ、光を退ける物である。先ほどから散々言っているが、闇こそ至高であり、全てを闇の中に包み込む事が目的である。我ら魔の者が生きる上で闇は必要だ。もっとも、我らは闇より生まれし眷属だからこそ、こう考えるのかもしれぬがの。
混沌か、それも悪くない。ともあれ、余はこの世界に意識を持った時から、それが余の使命だと思っていた。この世に闇あれ。そして人間どもに死を。そうすることによって全てが平らな、穏やかで止まった世界が訪れるだろうと。全てが静止した、何の音もしないような世界こそが余の望む世界であると。
いや、だから僕は混沌から生まれたって言ってるじゃないですか。
混沌の本質は燃え盛る炎ですよ。宇宙は全て熱を持った火の玉から始まったとかいう説があるじゃないですか。氷の魔術も使えなくはないですが、どちらかと言えばそっちの方が得意なんです、と言うだけですよ。
混沌の本質は燃え盛る炎ですよ。宇宙は全て熱を持った火の玉から始まったとかいう説があるじゃないですか。氷の魔術も使えなくはないですが、どちらかと言えばそっちの方が得意なんです、と言うだけですよ。
(物凄い鈍い音とともにブース内に震動と衝撃が響き渡る)