X - Vanising Vision そして私はメタラーになった
文字数 1,825文字
私がX JAPAN、いや、Xに出会ったのは中学生になる前の事。くそを極めたごみの様な中学三年間、唯一のまともな思い出が、X JAPANが復活した事かもしれない。リアルタイムにそれを見られた事が、同じ時間に大好きなバンドが活動してくれる事が、嬉しかった。
嬉しかった。
過去形なのは、それが、悲しい思い出にもなったから。
私にベースという楽器がかっこいいという事を教えてくれたTAIJIが、あまりにも不可解な形でこの世を去ってしまった、それもまた、リアルタイムに見る事になってしまったのだから。
今になって、それについてあれこれ書き記そうと思った理由は、実にお笑いだ。
替え歌だ。とんでもなくおかしな替え歌で『紅』を聴いたのだ。
それをきっかけに、十年ぶりくらいにXのアルバムを最初から最後まで聴いた。
そうこうしていると、今になって突然『Silent Jealousy』のPVが公式に公開された。
今となっては信じ難い事だろうが、私が中学生の頃のインターネット環境は凄まじい物で、ダイヤルアップ接続のADSLというとんでもない状況だった。おそらく、今のスマートフォンよりもひどいだろう。
とは言え、当時はホームページを見るには困らなかったし、オフラインで駆動するソリティアをしながらフラッシュゲームを読み込みもしたし、それで耐えられた。しかし、Youtubeだけは異次元だった。
それこそ、ファンがアップロードしていた『Silent Jealousy』のPVは約七分。それを見ようと思ったなら、読み込みには一時間ほど必要で、ページを移動してしまったら最後、元の木阿弥だった。
そんなこんなで、ふと気になって調べたのが、例によってTAIJIの事だった。
どこかの芸能ジャーナリストが不可解に思い、長らく追いかけていた様な記憶があった。
……彼の不可解な最期に、彼の人生に、悲しみが堪えられなくて、音楽を聴くだけ空しかった時間は随分長かった。
真相は分からないままだったが、残された方々の執念は外務省に問題を認識させるところに至り、区切りが付けられた事を、今更ながら知った。
彼が最期を遂げたサイパンという場所の医療が危機的らしいという事と、海外で起こった事件や事故に対し、政府は恐ろしく無力だという事。彼の死によって、多くの脆弱性が暴かれていた。
……状況を思えば、不十分な医療と司法が綯交ぜになり、病死も事故死も有耶無耶になっていたのだろう。何処までも、何処まで行っても不運である。言うなれば、彼に与えられたのは、唯一無二の才能だけ。それは後世に残されるに相応しい物だったが、彼自身がそれを伝える事を神様は許してくれていなかったのだろう。
そんな事を思う一方で、ふと思ったのが、ヘヴィメタルという音楽を日本に叩き付けたXというバンドは、ヴィジュアル系という日本産ヘアメタル的ロックを爆発的に広めたバンドでもある。それなら、何処でヴィジュアル系を愛する人と、ヘヴィメタルを愛する人の差が生まれたのだろうか、という事。
私はヘヴィメタルが好きで、残念ながらヴィジュアル系にはあまり興味が無い。
もちろん、私にだって彼等の容姿に惹かれていた時期は有った。だが、結局はヘヴィメタル大好きなメタラーと化した。
……よく考えてみたら、私にとってX JAPAN、いや、Xで一番好きなアルバムは、Vanishing Visionではないかと、これまた今更ながら考えたのである。
一応全部のアルバムを聴いたし、どれも思い出がたくさん詰まっている。しかし、一番好きなのは、あの勢い任せのファースト・アルバムなのだ。まるでおもちゃ箱の様に多彩なBlue Blood、二十五年経っても色褪せないJealousy、今のX JAPANというかYOSHIKIの音楽性のターニングポイントの様なDahilia、どれもそれぞれに、その瞬間の最高傑作であり、あの瞬間にしか生まれえなかった名曲の宝庫だ。
しかし、アルバムとして再生したら止めたくないアルバムの筆頭はVanishing Visionである。
メタラーやってるから良く聞こえるのか、あのアルバムが好きだからメタラーだったのか、今となっては卵と鶏の追いかけっこになってしまうが、Xの他にポップスもロックも聴いた結果がメタラーである辺り、そういう事なのかもしれない。
嬉しかった。
過去形なのは、それが、悲しい思い出にもなったから。
私にベースという楽器がかっこいいという事を教えてくれたTAIJIが、あまりにも不可解な形でこの世を去ってしまった、それもまた、リアルタイムに見る事になってしまったのだから。
今になって、それについてあれこれ書き記そうと思った理由は、実にお笑いだ。
替え歌だ。とんでもなくおかしな替え歌で『紅』を聴いたのだ。
それをきっかけに、十年ぶりくらいにXのアルバムを最初から最後まで聴いた。
そうこうしていると、今になって突然『Silent Jealousy』のPVが公式に公開された。
今となっては信じ難い事だろうが、私が中学生の頃のインターネット環境は凄まじい物で、ダイヤルアップ接続のADSLというとんでもない状況だった。おそらく、今のスマートフォンよりもひどいだろう。
とは言え、当時はホームページを見るには困らなかったし、オフラインで駆動するソリティアをしながらフラッシュゲームを読み込みもしたし、それで耐えられた。しかし、Youtubeだけは異次元だった。
それこそ、ファンがアップロードしていた『Silent Jealousy』のPVは約七分。それを見ようと思ったなら、読み込みには一時間ほど必要で、ページを移動してしまったら最後、元の木阿弥だった。
そんなこんなで、ふと気になって調べたのが、例によってTAIJIの事だった。
どこかの芸能ジャーナリストが不可解に思い、長らく追いかけていた様な記憶があった。
……彼の不可解な最期に、彼の人生に、悲しみが堪えられなくて、音楽を聴くだけ空しかった時間は随分長かった。
真相は分からないままだったが、残された方々の執念は外務省に問題を認識させるところに至り、区切りが付けられた事を、今更ながら知った。
彼が最期を遂げたサイパンという場所の医療が危機的らしいという事と、海外で起こった事件や事故に対し、政府は恐ろしく無力だという事。彼の死によって、多くの脆弱性が暴かれていた。
……状況を思えば、不十分な医療と司法が綯交ぜになり、病死も事故死も有耶無耶になっていたのだろう。何処までも、何処まで行っても不運である。言うなれば、彼に与えられたのは、唯一無二の才能だけ。それは後世に残されるに相応しい物だったが、彼自身がそれを伝える事を神様は許してくれていなかったのだろう。
そんな事を思う一方で、ふと思ったのが、ヘヴィメタルという音楽を日本に叩き付けたXというバンドは、ヴィジュアル系という日本産ヘアメタル的ロックを爆発的に広めたバンドでもある。それなら、何処でヴィジュアル系を愛する人と、ヘヴィメタルを愛する人の差が生まれたのだろうか、という事。
私はヘヴィメタルが好きで、残念ながらヴィジュアル系にはあまり興味が無い。
もちろん、私にだって彼等の容姿に惹かれていた時期は有った。だが、結局はヘヴィメタル大好きなメタラーと化した。
……よく考えてみたら、私にとってX JAPAN、いや、Xで一番好きなアルバムは、Vanishing Visionではないかと、これまた今更ながら考えたのである。
一応全部のアルバムを聴いたし、どれも思い出がたくさん詰まっている。しかし、一番好きなのは、あの勢い任せのファースト・アルバムなのだ。まるでおもちゃ箱の様に多彩なBlue Blood、二十五年経っても色褪せないJealousy、今のX JAPANというかYOSHIKIの音楽性のターニングポイントの様なDahilia、どれもそれぞれに、その瞬間の最高傑作であり、あの瞬間にしか生まれえなかった名曲の宝庫だ。
しかし、アルバムとして再生したら止めたくないアルバムの筆頭はVanishing Visionである。
メタラーやってるから良く聞こえるのか、あのアルバムが好きだからメタラーだったのか、今となっては卵と鶏の追いかけっこになってしまうが、Xの他にポップスもロックも聴いた結果がメタラーである辺り、そういう事なのかもしれない。