02.首無し死体

文字数 3,101文字




 食堂。


 食堂の扉には鍵がかかっていませんでした。

 扉を開けてみると、大きな長いテーブルと椅子がありました。壁には少女たちが描いたであろうキャンプの絵などが飾られています。


 サーミャは長テーブルの真ん中に何やら見慣れないものを見付けました。何だろうと思って近付き、それをハッキリと目にしてしまいました。


 そこにあったのは、首無しの少女の死体でした。死体を中心に血だまりが広がっています。




[サーミャ・ガーファンクル]

うへえっ……ナンテコッタ

あなたは【SAN値チェック】ですね~

成功で 1、失敗で 1d3 です

サーミャ・ガーファンクル【SAN値チェック】⇒ 失敗

サーミャ・ガーファンクル【1d3】⇒ 1

[サーミャ・ガーファンクル]

チョットミナサン来テクダサ~イ




 サーミャは大声で叫びました。


 書斎に入ろうとしていたところサーミャの声が聞こえたので、楼ケ崎は引き返して食堂へと駆け付けました。

 楼ケ崎が食堂に向かったのを見たかほりとななは、男性が二人もいるので大丈夫だろうと引き返さず、そのまま「部屋B」を見ることにしました。




[楼ケ崎 條二]

どうしました?

[サーミャ・ガーファンクル]

女ノ子ノ死体ガアルヨ~!




 楼ケ崎も長テーブルの上に横たわった首無し少女の死体を目にしてしまいました。




はい、ジョージさんも【SAN値チェック】です
楼ケ崎 條二【SAN値チェック】⇒ 成功




 サーミャはまさか自分の娘ではないか確認しようとします。

 しかし、この死体は頭部がなく、ガールスカウト共通のパジャマを着ており、また、サーミャの娘は日本人とのハーフであり肌の色が日本人と見分けが付かないため、判別することはできませんでした。

 サーミャはその場に娘の持ち物が無いか探してみますが、何も見付けることはできませんでした。




[サーミャ・ガーファンクル]

他ノ二人ニモ伝エタホウガイイデショーカ

[楼ケ崎 條二]

この少女は殺されたんですかね




 楼ケ崎は凶器が無いか探してみますが、辺りにはそのようなものは無いようです。

 また、死体を引き摺った跡はなく、血だまりが広がっているだけです。




[サーミャ・ガーファンクル]

本当ニコレガ死体ナラ危ナイデスヨネ

殺シタ人ガイル

[楼ケ崎 條二]

ここで何かが起きた可能性が高いですね

[サーミャ・ガーファンクル]

スグ集マル、マス?

[楼ケ崎 條二]

一旦集まりましょうか

[サーミャ・ガーファンクル]

二人ノトコロニ行キマショウ







 ななとかほりは部屋Bに到着しました。


 コンコン。


 かほりは部屋のドアをノックしましたが、反応はありませんでした。




[山ノ下 かほり]

誰もいないんですかね?

[坂上 なな]

開けてみましょう

[山ノ下 かほり]

そうですね




 ドアを開けてみると、室内は手前と奥に二つのベッドとベッドランプ、引き出し付きの小さな机が二つ、共用のクローゼットが一つありました。部屋の家具は古いもののようです。







 ガリガリッ、ガリガリッ。


 部屋の中に入ると、クローゼットの中から何かを引っ掻く音が聞こえます。




[坂上 なな]

えっ、クローゼットから?

もしかして誰か閉じ込められてるんじゃ……

[山ノ下 かほり]

でもネズミとかかも

人間らしい反応が返ってくるかな




 かほりはクローゼットをノックすると、引っ掻く音はやみました。




[坂上 なな]

誰か入ってるんですか?




 ななが話しかけてもクローゼットからは何も返事はありません。




[坂上 なな]

うーん

[山ノ下 かほり]

開けてあげたほうがいいですよね




 かほりはクローゼットのドアをゆっくりと開けます。

 すると、中から何かが転げ落ちてきました。


 かほりが驚いて飛び退くと、クローゼットのドアがすべて開き、首無し死体がゴロリと転げました。そしてクローゼットの中には、さらにもう一つ首無し死体がありました。




合計2体の首無し死体を目撃してしまったあなたたちは【SAN値チェック】です

成功で 1、失敗で 1d3 です

山ノ下 かほり【SAN値チェック】⇒ 失敗

坂上 なな【SAN値チェック】⇒ 成功

山ノ下 かほり【1d3】⇒ 1

[山ノ下 かほり]

キャァァアアアアアーー!!

[坂上 なな]

キャァァアアアアアーー!!




 ななとかほりは絶叫を上げました。




[サーミャ・ガーファンクル]

モシヤ……

[楼ケ崎 條二]

まさか二人も




 食堂にいた楼ケ崎とサーミャにも、ななとかほりの悲鳴が聞こえ、二人は部屋Bへと駆け付けました。




[サーミャ・ガーファンクル]

ヤハリカ

[楼ケ崎 條二]

これは、何か恐ろしいことが起きているみたいですね

[坂上 なな]

110番、110番……

[山ノ下 かほり]

何でおじさん二人はそんなに冷静なんですか?

もしかして見たことあるんですか?

[楼ケ崎 條二]

実はサーミャさんがさっき食堂で

[山ノ下 かほり]

見たんですか?

[サーミャ・ガーファンクル]

アリマシタ




 ななは警察に電話しましたが、いくらコールしても電話は一向に繋がりません。




[坂上 なな]

警察に繋がらないんですけど

[山ノ下 かほり]

ええ!? 何で? そんなわけが……




 かほりもスマートフォンを取り出して警察に電話してみますが、やはり誰も出ません。




[山ノ下 かほり]

おかしいですよね

さっきもゆかりに電話通じなかったし

[サーミャ・ガーファンクル]

トリアエズ、コノ建物カラ出タホウガヨクナイデスカ?

[坂上 なな]

でも妹を探さないと

[山ノ下 かほり]

そうですよ、妹に危険が

[サーミャ・ガーファンクル]

マズ連絡シナイト

[山ノ下 かほり]

妹を探すほうが先ですよ、守らないと!

[楼ケ崎 條二]

とりあえず生存者がいないか探しましょう

[坂上 なな]

(まさかこれが妹なんじゃ……)




 ななは首無し死体をよく見てみますが、同じパジャマを着ており、頭部がないため妹であるかどうか判別することはできませんでした。


 かほりが妹の持ち物が無いか机に近付いてみると、手前の机の上に一冊の本が置いてありました。

 本を手に取りタイトルを読んでみると『真紅伝説』とありました。読んでみると次のような内容でした。



『真紅伝説』

 人の死体を集めて愛でる婦人の物語。

 物語の最後に、婦人は老いさらばえて死ぬことになるが、魔術によって若い女に乗り移って新たな生を得る。




[山ノ下 かほり]

こんな本がありました




 かほりに本を手渡され、ななも中身に目を通してみました。




[坂上 なな]

この状況でこれがあるのは不気味ですね

[山ノ下 かほり]

この子たちが読んでたんですかね

[坂上 なな]

こんな本読ませますかね




 かほりが隣の机に目をやると、そこには何も置かれていませんでした。

 机の引き出しを開けると、ガールスカウトで支給されたであろう新品のノートや備品などしかなく、特にめぼしいものはありませんでした。


 ななはベッドを見てみますが、使用された形跡はあるものの、特に何も見付けられませんでした。ベッドの下を覗いてみても、清掃されているなという印象を受けるだけで何もありませんでした。




[山ノ下 かほり]

(妹の手がかりは何もない

これは妹じゃない)




 ななとかほりは妹を探すために部屋から出ました。サーミャは犯人がいるのではないかと周りを警戒しつつ二人に続きます。




[楼ケ崎 條二]

お二人を頼みます




 楼ケ崎は書斎へと歩いて行きました。




[サーミャ・ガーファンクル]

一緒ニイタホウガイインジャナイデスカ?

[山ノ下 かほり]

妹探すほうが先でしょっ

[サーミャ・ガーファンクル]

大丈夫デスカ? アブナイ、犯人イルヨ

[山ノ下 かほり]

(弱腰だな)




 楼ケ崎書斎へ入ってゆき、ななは「部屋D」へ、かほりは「部屋C」へ、サーミャは玄関のほうへ向かいました。




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登場人物紹介

楼ケ崎 條二(ろうがさき じょうじ)

日本に住んでるとある有名な外国人の執事。(お金持ち)

護衛のため、格闘術も多少備えている。大の掃除好き。

ひらめきがヤバイ。

娘:楼ケ崎 響子

サーミャ・ガーファンクル

「露西亜寿司」の店員で、ロシア系の黒人。いつもはチラシ配りと呼びこみを行っている。

身長2メートルの強面なので、噂では「ロシア軍人だった」「ロシアンマフィアだった」等、様々なものが飛び交っている。

娘:ソーフィヤ・ガーファンクル(愛称:ソーニャ)

山ノ下 かほり(やまのした かおり)

農家に嫁ぎ、農作業を手伝いながら収穫物を個人のネットショップで販売したりしている。

応急手当と拳が得意。

今回のメンバーのなかでは一番年下。

妹:山ノ下 ゆかり

坂上 なな(さかがみ なな)

妹が小さいころに両親が事故で無くなり、妹を親代わりになって育てているのでかなり溺愛している。

子供が好きなのでスクールカウンセラーとして働いている。

妹:坂上 しおり



素材提供元:クトゥルフ神話TRPGの素材おきば

⇒ http://blog.livedoor.jp/hanepoti-trpg/archives/31887578.html

しゃりんさん(キーパー)

初心者ぞろいのプレイヤーたちを真理へと導こうとする天の声。

ダイス

運命を左右する無慈悲な無機物。

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