眠り
文字数 312文字
その年の終わりに、十曲をひとまとめにしたアルバムを自主制作した。むろん、制作費用は、ファンのひとたちからもらった投げ銭だ。
しかし、良かれとしてやったことが、ファンのあいだで賛否両論になった。
「万が一、CDが発売されることがあれば、それはぼくが死んだときだと思って欲しい」
生前、〈ハーメルン〉はそんなことを口走ったことがあったという。
「出所はわからないけど、もしそれが本当だとしたら、これでようやく〈ハーメルン〉は静かに眠ることができたというわけか」
形になって間もないアルバムを感慨深く眺めながら、独り言をささやいた。
灰皿にタバコを押し付けたとき、北の空から一筋の星が流れたのを俺は見逃さなかった。
しかし、良かれとしてやったことが、ファンのあいだで賛否両論になった。
「万が一、CDが発売されることがあれば、それはぼくが死んだときだと思って欲しい」
生前、〈ハーメルン〉はそんなことを口走ったことがあったという。
「出所はわからないけど、もしそれが本当だとしたら、これでようやく〈ハーメルン〉は静かに眠ることができたというわけか」
形になって間もないアルバムを感慨深く眺めながら、独り言をささやいた。
灰皿にタバコを押し付けたとき、北の空から一筋の星が流れたのを俺は見逃さなかった。