第20話 終わった恋
文字数 834文字
だから……かな。
俺は迷わずに、返せた。
あの時は、なにも言えなかった返答を――
最後の言葉。
涙を溜め、必死で作った模造の笑顔。
的外れな返答。
よそよそしい言葉と態度は、彼女を傷つけるだけだった。
それでも、今は笑ってくれている。
そして、笑って見ていられた。
ヘルプを終えて、喫茶室に姿を現した俺への第一声。
ジジはわざわざ立ち上がり、勢いよく頭を下げやがった。
間違っていないはずなのに、何故か責められた。
付き合いきれず、俺はケーキをむさぼる。
アキトたちは皆、俺のメニューを食べていた。
そして、俺は涼子先輩が作った普通のケーキセットを選んだ。
俺は柄にもなく頷いていた。
それでも、誰一人として質問してこなかった。
いくらでも茶化せただろうに――
らしくもなく、俺たちは穏やかなお茶会を楽しんだ。