形見
文字数 422文字
カナタは母の残した乾パンと干し肉を時折かじり、飢えをしのぐと、ひたすら時が来るのを待った。父の形見となった懐中時計には、父の名とともに、ナイフで彫った母と自分の名があった。父と母は互いにどう思っていたのだろう。ゼノはどう思って二人に夫婦を演じさせたのだろうか。まだ、子供のカナタには大人の愛はわからない。しかし、互いに自分の命以上に相手を大事に思っていたことはなんとなくわかっていた。
獣はユナを追っていた。山の急な斜面の高い木立に阻まれ、大きな体の獣は下りることが出来なかった。『器』探しに方々旅をした経験が役に立った。半日ほど逃げ回ると、
「テヘナ、戻りなさい。」
ユナはテヘナから降りた。そして、一人細い山道に入った。
テヘナは別の道を走った。獣は馬には興味が無かった。カナタの憎しみを完成させるにはユナが必要だったからだ。テヘナはカナタの待つ洞窟へ戻り、カナタを乗せると神小島へ向かった。
気付いた獣はユナの前から消えた。
獣はユナを追っていた。山の急な斜面の高い木立に阻まれ、大きな体の獣は下りることが出来なかった。『器』探しに方々旅をした経験が役に立った。半日ほど逃げ回ると、
「テヘナ、戻りなさい。」
ユナはテヘナから降りた。そして、一人細い山道に入った。
テヘナは別の道を走った。獣は馬には興味が無かった。カナタの憎しみを完成させるにはユナが必要だったからだ。テヘナはカナタの待つ洞窟へ戻り、カナタを乗せると神小島へ向かった。
気付いた獣はユナの前から消えた。