その1『アルジャーノンに花束を』(ベスト3の1作目)
文字数 2,185文字
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(お薦め度☆☆☆☆☆)
いやいや。これは純然たるSF小説だよ。
アメリカにはヒューゴー賞とネビュラ賞って、伝統的なSFとファンタジーの大賞があるんだ。
アメリカにはヒューゴー賞とネビュラ賞って、伝統的なSFとファンタジーの大賞があるんだ。
1960年に中編小説としてヒューゴー賞の短編小説部門を受賞して、その翌年には日本の『SFマガジン』に掲載されたらしい。ちょうど私が生まれた頃の話だけどね。
その後、長編小説に改訂されて1966年にネビュラ賞を受賞してる。
同じ小説が長編化されて別の賞を受賞した珍しいケースだね。
脳外科手術によって知能を改善する科学の部分がSFとして評価されたって言われている。
でも、それだけじゃないと思うよ。
被験者である主人公が、科学によって得た能力で、それまで見上げていた周りの人間をどんどん俯瞰するようになって、未解決の問題を解き明かしていく。
そうしたセンス・オブ・ワンダーがSFとしての評価になったんじゃないかな?
そう! 私はそれがSF小説には不可欠なものだと思うんだ。
この言葉を有名にした『センス・オブ・ワンダー』という小説はSFじゃないけれど、作者のレイチェル・カーソンによると「神秘や不思議さに目を見はる感性」とある。
SF的に表現すると「未知なる技術や文明との遭遇によって得られる高揚感」とでも言ったら良いかな?
作者のエピソードでこんな話があるんだ。
受賞の場で、どうしてこんな小説が書けたか聞かれた彼は、
「わたしがどうやってこの作品を創ったか、おわかりになったら、このわたしにぜひ教えてください。もう一度やってみたいから」って答えたらしい
受賞の場で、どうしてこんな小説が書けたか聞かれた彼は、
「わたしがどうやってこの作品を創ったか、おわかりになったら、このわたしにぜひ教えてください。もう一度やってみたいから」って答えたらしい
爆笑