第9話 1月31日 週末

文字数 1,310文字

いやぁ~
昨日は仕事さぼったし酒抜いたし、
今日は快晴だし金曜だし!

おっしゃ!
飲みにぃ…いけねぇええええええええ!!!!

かかか…かぁ~、金がねぇ…。

先述した通り、
英会話教室の体験レッスンで気をよくし、
晩酌のつもりでガールズバーに行き、

あああああああああああああああああああああ!!!!
どんだけ散財してんだよ莫迦!

おい!シラフであの行動はもう病気だぞ?
頼むよ俺ぇえ!
マジ俺頼むよぉおお!!!

ふぅ…
金曜の夜って言えばさぁ、
一週間の終わりじゃん?

そこまで美人でなくともさぁ、
優しくて素敵な彼女とディナーを楽しんだりさぁ、
友人知人らと一週間の疲れを労いあったりしてさぁ…

って何で俺独りで缶詰食ってんだよ!
しかも家で!
どんな38歳なんだよ!!!!

ああああああああああああああああああ!!!!!

…淋しい。
…ああ、ごめんなさい、全て自分の責任です。

しかしなぁ、犯罪者ってこんな感覚なのかなぁ、とも
不謹慎だが感じてしまう。

解っちゃいるけどやめられない。
歯止めがきかない。

ってふざけんな!
俺は逮捕歴はおろか補導歴もねぇ!
犯罪者と一緒にすんな!

…はぁ。
でも、法に触れていないってだけで、
自分自身をコントロール出来ていないことには変わりなく…

…ははは、
何か、生きてて恥ずかしいな…。

何て言うかぁあああああああああ!!!!

法律の抜け道かいくぐって好き放題やってる金持ち!
人の心を虫けらのように扱う輩ども!
自己顕示欲と自己愛でしか生きていねぇカスども!
これらに比べりゃあまだまだマシじゃねぇか!

…っておい、お前それ、胸張って言えるか?
色んな人に、胸張って、言えるか?

…ごめんなさい、言えません。

38歳にもなって、女の子と遊び過ぎて金が無いなんて、
恥ずかしくって言えません。
挙句、飲み過ぎて寝坊して、仕事をサボったなんて、
恥ずかしくて、言えま…

って半分自分自身でも面白がってんじゃねぇよ!

うん、まあ、確かにここまでくると笑けてくるし、
生きていること自体は楽しくて、
毎日ふとしたことで幸せを感じたりもするものな。

お湯が出る、とか、灯りがつく、とか。
何だかんだ飯は食えているしな。
(おつとめ品や缶詰ばかりだけどね!)

ただ、俺は愛情乞食的な性癖があるのだろう。

自身でかなぐり捨てておいて、
ぽっかり空いた何かを埋めようとして。

でも絶対にそれは塞がらない。

面白い。
酒も女性も何もかも、
海水のように飲むほどに渇きが増す。

でも、いいんだ。
これが俺の人生。
俺で選んだ人生なんだ。

…んなわけあるか!
絶対ぇにこんなの嫌だし認めねぇ!
「仕様がない」とか諦観して、
「どうせ」とか自己愛ひけらかして
生きていたくなんてねぇ!

毎日大吉!
毎日幸せ!
そう!生きているだけ幸せなのだああああああああ!!!!

…とはいえ、金がない。

はぁ、どうすんだ、俺。

…まあ、くよくよ考えたって何もはじまんねぇな。
うん、今日も百均のオイルサーディンは美味い!

みなさん、良い週末を!
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