黄金色の奇跡
文字数 7,621文字
何百年も王都を見守り続けた勇者ジークフリート像も、真っ二つに折れ、地面に散らばり、無惨な姿となっていた。
目に映るのは崩れ落ちた瓦礫と焼け野原になった街、そして魔王に立ち向かわんとした人々のなれの果てだ。
彼らは一様に苦悶の表示を浮かべ、冷たい石像と化している。
──ああ……
馴れ親しんだトゥルムシュタットの惨状に、エリザベートは目を覆いたくなった。
あのとき垣間見た、レーベン村の記憶。エリザベートはいま、全く同じ光景を目にしていた。
激しく剣を振るう音が聞こえる。まだ、魔王と戦っている者がいた。
「殿下!」
石になった戦士や側近たちが立ち並ぶ中、ひとり魔王に立ち向かっているのは、カペラ王国の王位継承者──ノエル王子だった。
昔、王子がまだ幼かった頃。
公務で協会を訪れた彼が「魔法使いになりたい」とつぶやいたのを、エリザベートは覚えている。
しかし、彼に魔力が発現することはいつまでもなかった。
やがて大人になった彼は、かつて夢見た力の代わりに、剣術を身につけた。
この国を守りたい、そう願った彼はいま、必死に魔王と戦っているのだ。
「ノエル王子殿下。遅参をお詫びいたします。このエリザベート、殿下の救援に参りました。私が、ともに魔王と戦います」
「エリザベート……! よく来てくれた。だが……」
駆けつけたエリザベートを目にした王子の顔が曇る。
きっと、魔王に憑依されているのがエリザベートの弟子である事実を知っているのだろう。
優しい王子のことだ。弟子を手にかけるかもしれない彼女の心中を
「いいえ──よいのです。私のことはお気になさらないで」
「ふん、たったひとり増えたところで何ができる」
王子と対峙しているものを目の当たりにしたエリザベートは戦慄した。
異形の獣だ。ロダンの面影はまるでない。
かつて協会の仕事で各地をめぐり、数々のモンスターと遭遇してきた彼女だったが、彼は今まで目にしたどの敵よりも強大で、見る者を圧倒するオーラを放出している。
なんとしてもロダンを取り戻したい、そう思っていたはずなのに。この存在感を前にして足がすくむのを止められない。
自分の持つ術が、果たして奴に通用するのだろうか?
「そんなこと、やってみなければわからないだろう。私は諦めない!」
「哀れな。人の子の身で我に勝とうなど、
ボロボロになりながらも、立ち向かおうとする王子を挑発する魔王。姿は似ても似つかないのに、その声は間違いなくロダンのものだ。エリザベートは顔を上げ、そして──
「殿下、私が援護します。さあ」
「魔王、これ以上王都を傷つけさせはしない!」
エリザベートとともに攻撃の構えを見せた王子は、勢いよく魔王に斬りかかった。しかし、逆に受け止められてしまう。
「っ!!」
「さらばだ、王子」
衝撃波が、王子を直撃しようとする。
彼を守ろうととっさにエリザベートがかけた防御魔法は、あっけなく弾き飛ばされた。
「エリザベート……すまない。ここまでのようだ──私は……」
魔王の呪いを間近で受け吹き飛んだ王子は、エリザベートの目の前でピシピシと音を立てて足元から石化していった。
光を宿さなくなったその瞳は、悲しげにエリザベートを見上げたままだ。
「殿下──魔王、よくも……」
守れなかった。冷たく硬くなった王子の身体に触れ、自分には元に戻す術がないことを思い知らされる。
「なんと──これは。ふふふ……ハハハハ……」
「何がおかしい!」
「ロダンの魂が反応している。貴様とは戦いたくないと」
「なっ……」
動揺するエリザベートを嘲笑うかのように、魔王は続ける。
「なるほど、魔女エリザベート……ロダンの師か。残念だが、ロダンはまもなく我に完全に取り込まれようとしている。我を倒すというなら、貴様の愛する弟子をも倒すことになるぞ」
「私は──私は、ロダンごとおまえを討つ覚悟で来た!」
エリザベートの身が、緑色の炎に包まれた。彼女は迷いを振り切るように叫ぶと、手にした杖を天に掲げる。
その声に応え、杖は大きな弓に変化した。魔王を射抜かんと、彼女は鬼気迫る表情で弓を構えた。
「面白い。見せてもらおう、貴様の覚悟とやらを」
始まった、魔王とエリザベートの一騎打ち。
エリザベートの放った矢は、彼女の強い想いを反映するかのように、炎を纏いながら猛スピードで魔王を貫こうとした。
だが、もう少しのところで避けられてしまう。
「魔女よ。その力、気に入った。魔法協会などというつまらぬ組織に収まっているのは実に惜しい。──師弟ともに我の手中に収めるというのも、悪くないな」
「ふざけるな! 私がここでおまえを封印する!」
魔王の所業に怒りを隠しきれないエリザベート。もはや、普段の柔和で優しい彼女の姿はなかった。
激しい攻防を繰り広げるエリザベートと魔王は、崩壊した街の中でほぼ互角に渡り合っていた。
あれは──
戦いが長引いてきた頃、エリザベートははっとした。魔王の背後、遠くに人間の少女の姿を見つけたからだ。
確か──ロダンが旅立つ前。エーテルハートの気配を探して鏡の中で見つけた少女、みのりだ。
カペラ王国の惨状を目の当たりにし、怯えているようだった。
彼女が、なぜここに? 生身の人間が魔王に襲われたら、きっと──守らなければ。
しかし、エリザベートのその一瞬の
とっさに抵抗呪文を唱えようとしたが、もう遅かった。魔王の放った一撃が、エリザベートを貫いた。
「愚か者め。おとなしく我の手先になっておけば、こうはならなかったものを」
魔王の攻撃をまともに受けて石になったエリザベートは、目を見開き、絶望の表情を浮かべている。
冷たくなった彼女を見つめながら、魔王は勝ち誇った笑みを浮かべ──天に向かって
「感謝するぞ、小娘。貴様が登場したおかげで、この女を始末できたのだから──ふん、少々苦戦させられたわ」
「っ──……」
さまよっていたみのりは魔王の咆哮ひとつで引き寄せられ、彼の前に這いつくばっていた。
あんなに美しかったカペラ王国は今、燃え盛る炎と崩壊した建造物、石になった住人たちで、
目の前に、同じく石にされた男女がいる。
みのりは、男性をどこかで見たことがあった。
そうだ、いつかロダンにカペラ王国を見せてもらったときに目にした覚えがある……この国の王子だ。
魔王に斬りかかろうとして返り討ちに遭ったのだろうか。剣を手にしたまま、力なく横たわっている。
そして弓を持った女性の方は、間違えようもない。ロダンの師匠、エリザベートだ。
彼女の苦しげな表情がみのりの胸を刺す。きっと魔王との死闘の結果、こうなってしまったのだ。
──まさかエリザベートさんは、私を守ろうとしたの? 私のせいで……
みのりはなんとか立ち上がる。
目の前の獣──ロダンを魂の器に、復活した魔王を見つめた。
魔王が軽く開けた口の中には鋭い牙が何本もあった。あの牙で噛まれたら、きっとひとたまりもない。
──怯むな、何のためにここに来たんだ。ロダンを取り戻さなきゃ。絶対に。
心の中で必死に自分を鼓舞するみのりだったが、魔王の放つオーラは圧倒的で、足が震えてしまう。
それを見抜いているのか、魔王はみのりを挑発してきた。ロダンの声で。
「ここまでロダンを助けに来たつもりか。その無謀な勇気だけは認めてやろう」
「──⋯⋯」
「だが貴様、震えているではないか。我が恐ろしいのだろう? あの勇者の末裔とはいえ、貴様は何の力もない。ただの人間だ。この魔王チェーザレに敵うわけがない。そうだ、もう我は誰にも負けぬのだ。誰にも」
「え──」
魔王の顔に一瞬悲しみの色が浮かんだような気がしたが、気のせいだったのだろうか。
彼はすぐに先ほどまでの狂気的な笑顔を取り戻した。
「見るがいい。なんと、惨めではないか。我を封印し、カペラ王国の勇者と崇められた、貴様の祖先のザマを」
魔王は、腰のあたりで真っ二つに割れ、砕け散り、無惨な姿になった勇者像を顎で指し示す。
末裔であるみのりもああなる、そう言いたげに。
みのりは勇者像、そして魔王をじっと見つめ、静かに言った。
「怖い──そうだね、あんたみたいな化け物、怖いに決まってる。私に力がないことだってわかってる。……チェーザレ。きっとあんたにも、いろいろあったのかもしれないね。つらくて、悔しくて、誰よりも強くならなきゃって、決意せざるを得なくなるようなことが」
唐突に自分の心中を慮られ、魔王は少したじろいだように見えた。
「世迷言を。貴様に我の何がわかるというのだ」
「うん。わからない。そう感じただけ。だけどどんな理由があろうと、大勢の罪もない人たちを傷つけるなんて、絶対間違ってる。だから、このまま黙って見てるわけにはいかないの!」
みのりは、魔王をまっすぐ見据え、向かっていった。
「──私は、絶対に、ロダンを助ける!!」
「無駄だ」
攻撃を避けきれず、吹き飛ばされた。
思わず目をつぶったみのりだったが、痛みも地面に叩きつけられる感覚もない。
ギリギリのところで身体が少し浮き上がり、みのりはゆっくりと地に足をつけた。──石にはされなかったようだ。
思わず、首にかけたペンダントを見つめる。
──これ、おばあちゃんのお守りの力なの……?
「何だ? この女──なぜ……」
魔王の表情が、一瞬困惑したように見えた。
その瞳が一瞬、見覚えのあるエメラルド色に変化するのをみのりは見逃さなかった。思わず叫ぶ。
「ロダン! ロダン、聞こえる!?」
魔王の禍々しい気が、少し弱まったように感じた。みのりは立ち上がり、魔王に──ロダンに向かっていく。
「ロダン、思い出して! 目を覚まして! もっといろんな世界を一緒に見るんでしょ、私と一緒に! チェーザレに好き勝手させてる場合じゃないよ!」
「ええい、我の邪魔をするな、人間風情が!」
魔王はみのりを攻撃しようと、鋭い爪を振り上げた。
だが、みのりはもはや怯まない。
絶対にロダンを助ける。その強い想いだけが、みのりを突き動かしていた。
「邪魔してるのはそっちでしょ! ロダンはこれから、もっともっと幸せにならなきゃいけないの! ロダンをこれ以上苦しめるなんて、私が許さない!」
「くっ……この──う、オレは──」
みのりにとどめを刺そうとしていた魔王は、次第に苦しみ出す。
魔王とロダンの声が混在している。ロダンの意識が、みのりの呼びかけに応えようとしているのだ。
みのりは懸命に呼びかけ続けた。
「ロダン! ロダン! 戻ってきて! 私はここにいるよ──!」
「う、う……みのり──」
そして、ついに奇跡は起こった。
ロダンは精神的支配から解き放たれ、魔王と分離した。宙に投げ出されたロダンは、みのりに抱き止められる。
「ロダン! よかった──大丈夫!?」
ゆっくり目をあけたロダンは、ボロボロになったみのりの顔を見上げ、申し訳なさそうに目を伏せた。
「ごめん。ごめん。オレの心が弱かったから……あいつにつけ入られたんだ。ここまで、助けに来てくれたんだな」
「ううん──おばあちゃんのおかげなの。私ひとりじゃ、何もできなかった」
ロダンはみのりの首にかかっているペンダントを見つめ、つぶやいた。
「オレが守るって、約束したのにな」
「なに?」
「いや……なんでもない。とりあえずオレ、チェーザレに言いたいことがあるんだ」
ふたりの目線の先には、分離の衝撃で弾き飛ばされ、ようやく立ち上がろうとしている、元の姿に戻った魔王。
みのりやロダンと同じように疲弊した様子の彼を支えているのは──もはや執念だけだった。
「なんで──なんでわかってくれないの。ロダンだって、誰にも負けられないって、力がほしいって思ったんだろ!? やっと……やっと、僕と同じ気持ちの仲間に──めぐりあえたって、そう思ったのに!」
ずっと仰々しい口調で話していた魔王が、まるで駄々をこねる幼い少年のように口ぶりを変え、みのりは目を見開く。
──ひとりは寂しい。
悲痛な面持ちでそう訴えてきたあの子が、脳裏をよぎった。
だが、ロダンは驚く素振りもない。石になったエリザベートや王子、アカデミーの後輩たちに目をやり、そして魔王をまっすぐに見据えた。その瞳の色は、ロダンの感情をのせて、刻々と変化していく。
「おまえに度重なる悪夢を見せられて──そして闇に堕とされて、よくわかったよ。オレは今まで、オレを大事に思ってくれる人たちから、目を背けていた。向き合おうとしなかった。強さへの妄執や、オレを傷つけた奴らへの憎しみに囚われるばかりで。でも、そんな意味のないことを繰り返すのはもうやめだ。もう、目をそらさない。そばにある大事なもの、感謝すべき人を見つめながら生きたい。生きていきたいんだ!」
力強い言葉が溢れてくる。ロダンの心の底から。
過去との決別と未来へ進む意思に満ちた彼の宣言に、みのりの胸は震えた。
──本当のなりたい自分、見つけたんだ。ロダン……!!
あ、と思わず声が漏れる。石になったエリザベートが、かすかな光を発していた。
まるで魔王の呪いにあらがい、ロダンの本当の気持ちに応えるように。
それは、隣のノエル王子へ、王子から四方八方の、石にされた王国の民たちへ……そして真っ二つになった勇者像へ拡散し。
集まったたくさんの光がロダンへ、みのりへ──向かっていく。
「──みのり、手を貸してくれるか? 今ならうまくいくかもしれない。一生に一度きりしか使えない究極の魔法だ。オレが詠唱するから、しっかりつかまってろ」
「あ──うん!」
みんなの光を宿したロダンと、膝をついたみのりは支え合い、魔王に向き合った。
「おのれ、ふざけおって──」
魔王は憎悪に顔を歪める。彼はいつのまにか、邪悪な青年に戻っていた。
この期に及んでなお、態度を変えない彼を憐れむように、ロダンは静かに言う。
「チェーザレ。恨みに取り憑かれて、何百年も暴れまくって──いい加減疲れただろ。こんなことはもう、終わりにしよう。もう、解放されていいんだ」
「貴様ら、諸共に消し去ってくれる!」
憤怒の表情で、魔王が襲いかかってくる。詠唱を始めたロダンの足元に、あのときのように魔法陣が出現したのをみのりは見た。
「万物に宿りしマナよ──」
魔王がロダンやみのりに飛びかかろうとする寸前、眩い光がはじけ、黄金の粒子が散らばる。
「我、汝らの加護を求める者なり。我が声に応え、導きたまえ。天に光を、地に祝福を、怒れる魂に安らぎを── 」
「!」
「Finfina sorĉo.《究極の魔法、いまここに!》」
ロダンがそう叫んだ瞬間。一陣の風が巻き起こり、みのりは思わず手で目をかばう。
弱まりゆく風の中、目を開けたみのりは、言葉を失った。
──なんて、綺麗……
風と光の粒の中から生まれたのは、一羽の不死鳥。
金色の輝きを纏うその姿からは、強い意志と気高さ、優しさ、希望が伝わってくる。
まるで、ロダンの想いを具現化したかのように。
不死鳥はロダンとみのりを見つめ、力強くうなずいたように見えた。
「さあ、頼むぜ不死鳥! カペラ王国は、オレたちが守るんだ!」
ロダンの声に応えるように、不死鳥は翼を広げ、雄叫びのような鳴き声をあげた。
その声が、羽ばたきが、生み出す温かな光は、まっすぐに魔王へ向かっていく。
「な、何をする──やめろ! 僕は──……」
光のシャワーをもろに浴びた魔王は、次第に力を失って、姿を保てなくなり始めた。
首のエーテルハートが、音をたててひび割れ、砕けて霧散していく。
「ああ──」
──あたたかいな、
魔王の姿は強い光にかき消され、やがて完全に消滅した。
しかしみのりは、少年の──きっと本来の姿に戻った魔王が。
天に手を伸ばし、安らかな微笑みを浮かべていたのを見た気がした。
役目を終えた不死鳥は魔王の最期を見届けると、自らも光の中へ還っていき──
あとには、みのりとロダンだけが残された。
「ロダン──私たち、魔王に勝ったんだよね?──たぶん」
「ああ──終わったんだよ……たぶん」
しばらく無言だったふたりは、ようやく気の抜けた声で言葉を交わした。
「今ならわかる。あいつも──チェーザレも、オレと同じだったんだな……何もかも許せなくて受け入れられなかった、あの頃のオレと……」
魔王は、チェーザレは、最期に何を見たのだろう。
もう誰もいなくなった空間を見つめ、ロダンはぽつりとつぶやく。
彼は究極の魔法で魔王を消し去るのではなく、その魂が救われることを願ったのかもしれない、とみのりは思った。
「あ──」
真っ暗だった世界に、一筋の光が射していく。見上げると、姿を消していた太陽が──再び現れんとしている。
「ロダン……見て。街が──」
もうひとつの奇跡が起ころうとしていた。
街のあちこちで燃えていた炎は消え、崩壊した時計塔や建物、ジークフリート像も美しい姿を取り戻しつつある。
魔王に破壊された街がいま、再生しようとしているのだ。
「あ……あれ? 私、生きてる?」
「エルフリーデ……! よかった、よかった──!!」
「ちょ、お姉ちゃん! 痛いって!」
魔王の呪いを解かれ、再び動き出したエルフリーデ。いつのまにやってきていたのか、泣きながら妹に抱きつくソフィー。彼女らをはじめ、石にされた人々が少しずつ元に戻っていく。
「ん──これは……どうしたことだ。私は、魔王にやられたのではなかったのか──?」
「殿下。どうやらロダンと彼女が魔王を倒し、王国を救ってくれたようですわ……」
解放され、困惑しながら自身の手を見つめる王子に、同じく自由を取り戻したエリザベートが涙ながらに語りかける。
傷だらけのふたりは、カペラ王国を救ったロダンとみのりに目を向けた。
「オレ──なんてことをしちまったんだ」
こちらに走ってくるエリザベートと王子を見ながら、ロダンは耳を伏せた。みのりはそんなロダンの頭を優しくなでる。
「いいんだよ……魔王に勝って、カペラ王国も、みんなも、元に戻った。ハッピーエンドだよ」
そうだ私、エリザベートさんに謝らなきゃ。私を守ろうとして、魔王に石にされてしまったんだから……
エリザベートに手を振ろうとしたみのりは、突然強い胸の痛みに襲われて、その場に崩れ落ちた。
「うっ──痛……ロダン──」
目の前が真っ暗になる。気が遠くなる中、ロダンの呼ぶ声が聞こえたような気がした──