お呼びでないのよ

文字数 1,676文字

失望!? どういうことだ!
そのままの意味です、村人の中にはソラリス教の名を聞いただけで虫唾が走る者も居るくらいで
ふざけるな! こうして助けに来てやってるのに何て言い草だ! 私たちが何をしたというのだ!
ちょ、ちょっとポティマスさん、落ち着いて……
何をしたのではなく、何もしてくれなかったのですよ
え?
 この村の近くに次元の裂け目ができたのはつい最近のことではありません。すでに半年近く経過しています

 村には金がなく、民間のギルドに依頼することができない……かと言って自分たちでどうこうできるレベルではない

 途方に暮れた我々に、首都ライゼンのソラリス教なら何とかしてくれるかもしれないと情報が入りました。慈善事業の一環として平民の悩みを無料で受け入れていると聞いたのです

 すぐさま申請しに村の代表がライゼンまで赴きました。申請は無事通り、『用意でき次第、すぐにでも騎士団を派遣する』との回答に、村のみんなは涙して喜びました

 ですが待てど暮らせど騎士団がやってくる気配がない。問い合わせても『もう少し準備にかかる』『調整中だ』とのらりくらりかわす様な答えばかり

 おかしいと思った矢先に、隣街の噂が入ってきたのです。そこにもごく小さな次元の裂け目が発生し、すぐにソラリス聖騎士がやってきて塞いでくれた、と

 これで分かりました。ヤツらは民衆の人気を得るためだけに動いているのだと。被害の度合いなど確かめもせずに、見返りの大きい方を優先していたのです

 何が慈善事業だ。助ける気がないのなら中途半端な期待を持たせないで欲しい、口先だけの約束など死人が出ているこちらには要らないのですよっ

 ……絶望した我々は腹をくくり金策に走りました。なんとか民間のギルドに依頼できるまでの金の目処がついたのです。そんな今になってあなた方が来るとの知らせが入った
いまさら何の御用でしょう。何をたくらんでいるのですか?
そ、そんな、私はただ純粋に……
残念ながら、村の若い衆にそれが伝わるとは思えませんね。これでお分かりになったでしょう。幸い、村の者たちはまだ気づいていない。袋叩きに遭う前にお帰りなさい
……っ!
あっ、ポティマスさんどこへ!?
それで良いのです。さぁあなた方もお引取り下さい。愉快なショーをどうもありがとうございました『大道芸人』さん
村長……っ、あぁもう! 僕ポティマスさん捕まえてきます! お二人はここで大人しく――あぁうん無理だな! 穴でも掘って埋まっててください!
お、おい
うぉぉぉ呻れ! 僕のアキレス腱んんん!!
アイツ、俺らのこと何だと思ってんだ……
ツッコミも一周回るとボケになるわね
なぁ、どう思う今回の件。最初からキナ臭ぇとは思ってたが、いよいよ怪しくなってきてねーか
私は最初から怪しいと思ってたわよ。ただポチは本当に何も知らなかったと思う。ソラリス教はそういう集団だもの
ふーん
なに?
やけに知った風な口きくじゃねーか
……
お前、ソラリス教の何を知ってる?
……
あー、何か急に思い出してきたぜ。3年前だったか、橋の下でボロキレみてーなガキを拾ったな、そういや
……
そのままギルマスに押し付けたが、いったい何があったらあそこまで――
ヴェルナー
お。
……
おぁ!?
その子供は幸せになったの。蒸し返す話でもないでしょ
おまっ、今っ、俺の名前! 何! 怖ッッ
そろそろ行くわよ。いつまでもこんなところで立ってても、何の解決にもなりゃしないわ
あっ、おい待て! 俺の聞き間違いか!? 脳が足りてねーのは自覚あるがついに耳までおかしくなったのか!? 助けてヒーラーぁぁぁ!!
呼んだ?
ちゃんとしたヒーラーぁぁぁ!!
***
名 前:ポティマス・タゴン
出 身:(非公開)
職 業:僧侶(ヒーラー)
装 備:禍根の杖
    ソラリス上位騎士制服
    くつろぎセット

特殊スキル・称号
「慈愛」「暗黒魔法 Lv.7」「回復魔法 Lv.3」「戦闘初級講座 Lv.2」「奇人」

金髪ロン毛眼鏡の美形ヒーラー。ただし先天性属性は「闇」
周囲の環境に影響されやすく染まりやすいが、
その根底にあるのはどこまでも己が信じる正義のようだ
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