シグナル・グリーン!

文字数 4,886文字

ワタクシは最終リハーサルに向けての詰めの工作を続けていた。シグナルデコーダーSE8Cとの格闘が始まった。
え、あれってそんなに難しかったですか?
さふなり。特にLEDのアノードやカソードをまとめて配線すると付き方の規則性が訳わかんなくなる。しかしブレッドボードなどでアノードとカソードをそれぞれバラして点灯させると問題なく正常に点灯する。まったくイミがわからぬ。
え、もしかするとそれって……。
カオルくんはさすが明晰であるのう。さふなり。アノードコモン、アノードをまとめてカソードをオン・オフするモードのSE8Cにカソードコモンの信号機を10ピンコネクタで接続してしまっておったのだ!!
そりゃまともにつくわけがないですね。アノードとカソード、どっちをまとめてどっちをオン・オフするかが一致してなきゃおかしいです。でももう配線しちゃった信号機、どうします?
一瞬はんだ付け全部やり直しかと思ったが、SE8Cの英文マニュアルを見ていて気づいた。

8つあるDRVのうち、上4つと下4つをアノードコモン・カソードコモンにそれぞれ切り替える設定ができるのだ。


ボード上のオプションタクトスイッチを押しつづけ、LEDが規則的な点滅を始めたら手を離し、あとはDCCコマンドステーションからマニュアル規定のスイッチのアドレスを「t」もしくは「c」に切り替えるのだ。それで設定できる。

ダミーではこんなしょんぼりである。まさに添え物に過ぎぬ。しかし!
点くとこんなに派手で楽しいぞ!
まさに光り物の威力発揮ですね!
しかし、それゆえいい加減な点き方をするとそれも目立ってしまうのだ。がんばらねばならぬところなり。
これが制御に使うRail&Co.の信号機の画面なり。現在4灯信号を設定中なのだ。Without Connectionになっているが、DCCとPCがLoconet接続するとこの表示が変わる。そしてその下のアドレスが信号機に割り振るDCCアドレス。現在は1になっているが、これを変更する。アドレス2つで3/4灯信号を制御できるとあるが、実際にはその4現示は赤青黄と黄色点滅なので日本型の4灯信号には使えぬ。それゆえ工夫して2つの3灯信号を使って4灯信号機を作るのだ。
ひー、むずかしくてわかんないようー!!
ワタクシもわからなかったのだ。それゆえトグルスイッチを使ってこの中継信号機を切り替えておったのだが、ON-ON-ONのトグルスイッチもそれはそれで難しいのだ。しかも配線が長くなったら大変である。
シグナルデコーダー使うのはそういうところではありですね。PCで一元管理できるし、条件分岐させたり連動させたりできるのは大きな利点です。
入換信号機もポイントデコーダーとシグナルデコーダーを使うことで複数の分岐器と複数の信号機をワンクリックで動作させられるのだ。やはり基盤むき出しだといえ、既成品はよくできておる。とくに円が1ドル100円台だった頃に個人輸入できたのでお買い得であった!
これがシグナルデコーダーSE8Cなり。この虹色の10ピンケーブルが信号機につながっておる。
最終的にRail&Co.のスイッチボードはこのようになった。実際の配線に近い図にできた。分岐器の個別操作もこの画面からできるぞ。
CTCの制御盤みたい。ヒドイっ!
あれと発想はほとんど同じであるからのう。これにDCCであれば車両のIDを判定してどの列車がどこにいるかを表示し、それにあわせて分岐器の動作の連動を組むこともできる。それに列車に発車や停車の命令も出せる。
それって自動運転ですよね。
さふなり。追兎電鉄さんはこれを駆使してBトレの自動運転を行っておる。ワタクシも教わって真似をしたのだが、結局Bトレ連接車をDCC化したところで力尽きてしもうたのだ。Bトレは省スペースで運転できてよいのだが、オリジナル車両が作れぬ。それが辛いところであり、ゆえ今回はDCC機器とアナログのオリジナル車両の組み合わせとしたのだ。
でも、そうギミックを連動させられるのは楽しいですよね。発着アナウンス流したりできそう。
実際今回の引込線では風祭駅で録音した分岐器の転轍音をPCから流すことにしたのである!
でもTOMIXやKATOの分岐器ではぱちっと切り替わってしまいますわ。ゆっくり切り替わるスローアクションポイントのほうが音と同期して望ましいと思いますが。
それはそうなのだが、ワタクシのコンセプトはお座敷運転にプラスアルファの楽しみを、なので、大きな埋込み式のスローアクションポイントを使うことはできぬのだ。でも、実際やってみるとそれはそれで楽しいぞ。
そうですわね。模型は模型の楽しみと心得ます。そもそもNゲージ、架線集電ではなくレール集電ですし、しかも車重もスケール換算だととんでもなく重く、プラ車体も壁の厚みが戦車並みになってしまいます。やりたいことをしっかり見極めて、その上でやれることをやるのがいい方法に思いますわ。
入換信号機、これもなかなかハッタリが効いてヨイぞ!
ダミー大洗駅と風祭駅を接続してみた。こんなことも模型だからできるのだ。
少しずつ細密化を図っていく。ホームの端の点字ブロックと滑り止めをやり直したのだ。細密感が増えると楽しいぞ。
そしてプラン図も変更した。具体性が増えていくのである!
7月14日改正ってことは、いよいよ最終リハーサルですね!!
さふなり。ゲスト3名をお迎えしての試験運転会である!!
ゲストの中にtomy Hiratsukaさんもいるのである。以前レンタルレイアウト「夢空間」でご一緒したツワモノ鉄道YouTuberである!
ちゃ、チャンネル登録者22000人超え!? すごいっ!!
tomy Hiratsuka - YouTubeチャンネル


 ↑リンクです。ぜひご参照を。

彼は自由形車両模型も作っているぞ。独特の色彩が鮮やかで丁寧な作風は実に見習いたいものである。撮影技術も素晴らしく、2万人の登録があるのも首肯できるのだ。
すごいですね。その人が来てくれるってのはありがたいですね。
さふなり。駄目な点を洗い出すことが目的であるから、どんどんトラブルが出てくれたほうがヨイのだ。その分本番のトラブルが減らせるからのう。
そして最終リハーサル試運転会、開催日である! これはもうひとりの参加者さんのクルマである!
はなかぜ、って、すみ鉄さんの自由形ジョイフルトレインに総裁がデザインしたヘッドマーク!
彼は熱烈な北急電鉄のファンなのだ。ありがたい存在である! しかも家から公民館への輸送を手伝ってくれるのだ!
心強い援軍ですね!!
その彼と、tomyさん、もうひとりは未成年の少年ファン。お母様が引率できてくれた!
この神奈川の田舎まで遠路はるばるありがたいですね!
さふなり。そしてまず設営開始なのである!
なんとか部屋にすべての荷物を運び込んだ。
同じ和室なのに狭く感じますわ。もしかすると荷物が増えてませんか?
本番を想定して完全に本番と同じものを持ち込んだのである。前回より確かに荷物は多い。
じゃあ、いろいろとまた違った問題が出てきますね。
さふなり。まずパワーパックの整理が甘く、そこで設営がすごく手間取った。この問題は解決する必要が判明した。
そして試験走行に進めたのである。このE235系はtomyさん持ち込み、DF200牽引の客レは北急ファンの彼の持ち込みである。


しかしここで問題が発生した。第2菖蒲トンネルモジュールの接続部でこの客レがどうしても脱線するのである!

原因はわかったんですか?
それは鉄道事故のいつもとおなじく、いくつもの原因が複合したのだ。まず第2菖蒲トンネルモジュールの接続部に段差があった。これが最大の原因であろう。それが彼の客レのボディマウントカプラーと競合して脱線を誘発する。事実E235と線路を交換したところ、E235も客レもどちらもトラブルがほぼ無くなったのだ。
段差をなくすことはできるんですか?
レールをはんだ付けして削って整形するロングレール化が一つの手であったのだが、このときなんとその整形のための棒ヤスリを忘れておった。これもまた改善必要点である!
またよねカーブベースの角が若干突出する可能性があった。これもカットせねばならぬ。
気づけてよかったですね、ヒドイっ!
しかし3人共、このレイアウトを存分に楽しんでくれた。ツカミはバッチリである!
ダミー大洗駅もダミー奇車工場も無事設置できた。tomyさんはこの試運転会で撮影アングルをためし、JAMコン開催時の撮影をシミュレートしておった。我々はこうして頼もしいカメラマンに撮影してもらえることになった!


また、高架複線に地上2複線は一人では管理できないが2人だと管理可能なのもわかった。分岐器トラブル時の手の届き方も確認できた!

ステキなピンク色のリゾート21ですね!
tomyさんの作った「河津」という自由形列車なり。これにもトラブルがあった。地上外回り複線のS字で特定の中間車がコケてしまうのだ。tomyさんは自分の車両の組付け不良とおっしゃっていたが、ワタクシの線路管理にも改善点がありそうだった。
こういう運転会ではそういう、トラブルの責任のありかを巡ってもめてしまうことがありますね。でもそれは互いのリスペクトと技量向上に活かせればいいんだけど、それで揉めっぱなしになったらサイアクですね。
責任追及より原因究明と再発防止に努めるのは実際の交通機関と同じである。そういうイミでもこういう運転会は教育的機能を持つのだ。
そういえば総裁、編成分離とか脱線の復旧のとき、連結の手前で一時停止して、そこからゆっくり連結しますね。あれ、なんか面白いですね。
トラブルの復旧もまた運転操作の見せ場にしてしまえばいいのだ。安全を確認したら手を上げて合図、なども実際の安全確認にもいいし、第一プロっぽくてカッコいいのだ。
耐久レースのピットクルーみたいでカッコいいですね。ひどいっ。
それはひどくないよー。
またパークタワーなどの巨大建造物や信号機などの光り物はバカウケであった。tomyさんは本番に向けてこのリハーサルの動画ではこの光ものネタをあえて封印するといっておった。本番時のネタ的破壊力をまそうという戦術である。
tomyさんさすがだなあ。考えてるなあ。
そして存分に運転を楽しみ、畳敷きに寝そべってローアングルの列車を楽しんで、そのあと片付けとなったのである。
うわっ、ほんと荷物多い!
北急ファンの彼がここでばっちり荷造りしてくれたのが素晴らしかった。それで片付けにもたついたワタクシを助けてくれた。


なにしろ場所代が無料である。tomyさんもまたなにかJAMコンとは別にtomyさんのモジュールを持ち込んで合同運転会したい、と言ってくれた! この縁がまた大収穫である!!

すごく強力な援軍が期待できますね!!
tomyさんがこのとき撮影した動画を編集してくれた。実に素晴らしい動画である。視聴回数もすでに8月27日時点で39700回を超えておる。この人気も納得であるので、ぜひ読者諸賢もご検討くださりたく。
この上の文字はワタクシの撮影した最終リハーサルの様子である。趣旨が違うとはいえ再生回数たったの400回ちょっと。動画編集技術でここまで差がつくのである!
こんなに差がついちゃうんだねえ。
tomyさんの撮影技術にはぜひ弟子入りしたいものである。学ぶところは多いぞ。
総括すると、バグ出しもいくつもできましたし、大成功ですわね。

あとは本番に向けてバグ取りをしながら頑張る感じですか?

うむ。そのとおりである。がんばるしかないのだ。

そして、ミエくんの奮闘も続いておる!

この成功を聴いて、私も奮い立ちました!
我々の工作はいよいよ大詰めである! 決戦が近づいてきたのだ!!

その詳細については、つづくのである!!

つづきます!!
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。

武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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