第34話 マルトリートメント(不適切な養育)について

文字数 1,519文字

 ここ1週間くらい、マルトリートメント(不適切な養育、避けるべき子育て)についてぼんやり思っています。
児童福祉に携わる作家さんの作品に触れてから。

 虐待には、①身体的虐待②性的虐待③ネグレクト(育児放棄)④心理的虐待の4つの種類があるとされますが、今回取り上げるのは身近で起きている④心理的虐待です。

 心理的虐待は、虐待をする側からすると、「(しつけ)の一環だ」「そんな些細(ささい)なことまで虐待と言われたらキリがない」というような反論が生まれます。
マルトリートメントという言葉は、虐待する側の言い分は抜きにして、「その子育ては子供の脳に悪影響を及ぼすかどうか」が着眼点になるような気がします。


 マルトリートメントが子どもの脳に及ぼす影響は、世間の認識よりはるかに大きいとされています。

心理的マルトリートメントに挙げられるのは、
・言葉により脅かし。
・子どもを無視、拒否的な態度を示す。
・子どもの心を傷つけることを繰り返し言う。
・子どもの自尊心を傷つける言動。
・他の兄弟と著しく差別的な扱いをする。
・親の気分で子供を叱る。大声で叱る。

 そして今回マルトリートメントを通じて知ったのが「面前DV」という言葉でした。それは、
・子供の前で夫婦喧嘩をする。暴力をふるう。
・子供に配偶者に対する文句を聞かせる。
・夫婦間で支配関係がある。

 などというもの。
長期に渡るマルトリートメントは子供の脳の発達を阻害します。福井大学の友田明美博士の研究が有名です。それによると、

・面前DV、性的虐待
⇒視覚野の萎縮(いしゅく)
(見たくないものを見続けなくてもいいようにするため。そのため他人の表情が読みにくくなり対人関係が困難になりやすい)

・暴言
⇒聴覚野の一部が肥大・変形
(後述します)

・体罰
⇒前頭前野の一部が萎縮
(痛みの感知を鈍らせる。認知能力を低下させる)

・ネグレクト
脳梁(のうりょう)の萎縮
(喜びや快楽を生む「線条体」の働きを弱める。認知能力の低下。集団行動が苦手になる)

 暴言については、聴覚野が“肥大”するんですね。萎縮ではなく。それが気になり調べたところ……。

 本来、脳は効率的に情報処理をするため、シナプスが増えた後は刈り込みをします。が、暴言による虐待を受けると、その刈り込みがなくなります。
すると聴覚野のシナプスは伸び放題になり肥大することに。

 その結果、聞きたくないことを聞こえにくくし、音を拾えない状態になるのだそうです。
長期間の虐待、苦痛に適応し生きのびるため、脳が自己防衛して変形するんですね。
しかしそれは、通常の会話の際にも脳に余分な負担がかかるようになります。


 私は聴力検査は異常無しですが、上記みたいなことはあるあるです。
相手が何を言っているのか届かないときがある、そして自分の言葉も相手に届いていない感覚がする。自分の耳にも上滑りする時があるし。(もしかしてこれは別の問題!?)

 それから人間には嗜虐性(しぎゃくせい)が潜んでいるように思います。
ニュースになるようなケースは別にして、虐待は特別な人が行うものではないような気がします。
だから虐待がエスカレートする。躾ではない。
自分より立場の弱い人間を攻撃することが快感なんですよ。子どもをサンドバッグにして、自分のストレス発散をしている。

 ついでにつけ加えると、一時期流行った『子どもは親を選んで生まれてくる』というとんでもスピリチュアル、苦手なんですよ。
虐待親、毒親を持つ子ども、そして不妊治療を受けている方への配慮が無い。
「胎内記憶」というワードは、ニセ科学・ニセ医学・反ワクチンにつながるのでご注意ください。
脱線が止まらないので、このへんで。


 もう遅いと思うけど、読んだ方を嫌な気分にさせたと思うので、せめてお花を置きました……。


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