第58話 花嫁の到着
文字数 487文字
フローレスを発って三カ月。アディーナ姫を乗せた水軍の船は西の大陸コーラリア、ラクシュの港に到着しようとしていた。
水平線の彼方に陸地が姿を現す。阿梨とアディーナ姫は甲板に並んで立ち、姫は熱心に前方を見つめている。
ラクシュの港まで着けばサマルディン王国の軍隊が姫を迎えに来ているはずだ。
花嫁を送り届ける──水軍の役目も終わろうとしている。
追い風を帆に受け、陸はどんどん近づき、やがて港のたたずまいがはっきりと見えてくる。
埠頭では正装したサマルディンの兵士たちが整列し、花嫁の到着を待っている。
その中でもひときわ目立つ白馬に乗った人物を認めた時、アディーナ姫は瞠目 し、声を上げた。
「ロジェさま……!」
姫の視線の先、栗色の髪をした若者が手を振る姿に、阿梨は笑みを浮かべた。なるほど、彼が花婿というわけか。
その晴れやかな笑顔に、心の隅にあった懸念がきれいに払拭されていく。あの誠実そうな青年なら、きっとアディーナ姫を幸せにしてくれるだろう。
水平線の彼方に陸地が姿を現す。阿梨とアディーナ姫は甲板に並んで立ち、姫は熱心に前方を見つめている。
ラクシュの港まで着けばサマルディン王国の軍隊が姫を迎えに来ているはずだ。
花嫁を送り届ける──水軍の役目も終わろうとしている。
追い風を帆に受け、陸はどんどん近づき、やがて港のたたずまいがはっきりと見えてくる。
埠頭では正装したサマルディンの兵士たちが整列し、花嫁の到着を待っている。
その中でもひときわ目立つ白馬に乗った人物を認めた時、アディーナ姫は
「ロジェさま……!」
姫の視線の先、栗色の髪をした若者が手を振る姿に、阿梨は笑みを浮かべた。なるほど、彼が花婿というわけか。
その晴れやかな笑顔に、心の隅にあった懸念がきれいに払拭されていく。あの誠実そうな青年なら、きっとアディーナ姫を幸せにしてくれるだろう。