第5話(2)

エピソード文字数 2,245文字

「兄様、お待たせ、致し……ました。皆さんも、すみません……でした」
「にゅむむんっ。あたしたちも、見てて楽しんでたよー」
「そうぜよっ。育月先生のおかげで、よい時間を過ごせたがよね」

 レミアちゃんとフュルちゃんは、にこやかに首を振る。
 この三人を色で表すと、極黒、純白、純白。モチロン黒は、月が付く人だ。

「まーとにかく、一つ目は終了だね。育月、次はどうする?」
「今度は、皆さんが、選んで……ください。わたしばかりは、いけま……せん」

 気を遣い、選択権を譲る従妹。という文字だけを見ると、微笑ましい。でも全体を見ると、胃がチクチクします。

「はぁ――ああいやなんでもないよ皆様。これは思い出し溜息だからね」

 こちらに密かに届いた、極黒な方からの視線。それがとっても怖かったので、咳払いをして本題に戻しますです。

「お、おほんっ。なら、その2は3人が決めてくださいな。皆はどこを覗いてみたい?」
「にゅむー。あたしは、『超鋼鉄フライパンΩ』の専門店さんがいーな。今大人気なんだよー」
「んなもんココにはねぇよ」
「ワシは、そうやにゃぁ。かの有名な、土佐勤王党のグッズの専門店先生やね!」
「それもココにはねぇよ」
「私は、そうね。ゲームセンターに行ってみたいわ」
「そっちもねぇよ――え? そんなんでいいの?」

 お兄さん、ビックリ仰天だ。変人が一番まともなのを言ったぞ。

「ソレは二階に行けばあるんだけど、ホントにそこでいいんですか? なにしたいの?」
「プリ○ラ、というモノを撮ってみたいのよ」(私達の世界にはなくってね。以前『遠見』で見て、面白そうと思っていたの)

 テレビ番組の次は、プリ○ラかよ。相変わらず、ドエライ魔法でフツーなモノを見てるなぁ。

「にゅむむっ。あたしも撮影(さつえー)してみたいなーっ」
「ワシも……えーと……右に同じぜよっ。師匠、えい?」
「今回の場合、旅の思い出にもなるしね。参りましょう」

 俺らはエスカレーターを用いて、お二階に移動。CDショップなどの横を通って明るい雰囲気のゲームセンターに入り、それがあるコーナーに足を踏み入れた。

「俺、こういう場所は初めてなんだよ。色んな機種があるけど、どれがいいんだろうね?」

 クレーンゲームコーナーを抜けたところにある、大きな筐体が並ぶプリ○ラエリア。そこでわたくしはキョロキョロする。
 こういうのにも、人気不人気があるのだろうか? その辺がさっぱりでございまする。

「わたしも、初体験……です。店員の方に、伺ってみましょう……か?」
「利用者が多いのは、そっちにある物なの。それにしましょう」

 シズナが微笑を携え、全員をその機械に誘導する。
 こ、この人、『遠見』でリサーチもしてるよ……! よっぽどやりたかったんだね。

「ほぉ、これがプリ○ラ先生ながかえっ。どうやって撮るがやろ?」
「ここに400円を入れて、中で撮影するの。ペンやスタンプを用いた落書きは勿論、瞳を大きくするなど色んなプラスαがあるのよ」
「へぇ~、そうなんだ。知らぬ間に進歩してるんだね」

 フュル達に混じって俺も感嘆の息を吐き、プリ○ラ業界に感心しつつ百円玉を4つ投入。そのあとはシズナに従い撮ったり細工? を施したりして、出来上がりを待つ。

「にゅっむむっむにゅー。にゅっむむっむにゅー」
「これ、いつ頃完成するがやろう? 五十分後ぜよ?」
「や、そんなにかからんでしょ。もうじきのはず――お、撮ったのが出てきたよ」

 機械さんが頑張って印刷してくださり、シール(これがプリ○ラ? あれっ、プリ○ラってマシンの名前? それともシールをプリ○ラって呼ぶんだったっけ?)が出てきて、シズナが人数分にカットしてくれる。ちなみに此度の構図は、


 前列ではレミア&フュルがニコニコ顔でピースをし、後方では従妹とニセ従妹が優星兄様に寄り添っている。


 となっております。
 一見すると『美少女に囲まれた男子』で、真実を見抜ける目で見ると『変な人と怖い人に挟まれた男子』。関係者を理解すると違う風に見えるという、名画並みに奥が深い一枚ですね。

「………………はい、切り分けたわよ。皆さんどうぞ」

 げんなりしていると変な人によるカットが終わり、これにて全ての作業が終了。かくして、地球人と異世界人が逆のような一時が終わりました。

「にゅむっ、撮影(さつえー)楽しかったねー。ラクガキも面白かったー」
「このシール? プリ○ラ? は、宝物にするぜよ!」

 ここにも仲間がいたっ。なんか今更聞くのは恥ずかしいんで、家に帰ったらプリ○ラの意味を調べてみるぜよ。

「わたしも、宝物に……します。初めてでしたし、大事な人達との、お写真……ですから」
「私も、一生大切にするわ。後日、ラミネート加工をする予定よ」

 シズナ、それやりすぎ。そこまでやると引く。

「従兄くんは、どうする? 当然加工するわよね?」
「しませんよ。するはずないでしょ」

 俺は呆れつつ即答し、スマートホンでもう一度時刻を確認する。この時間なら…………のんびりだと、あと2店舗。ちゃっちゃとだと、4~6店舗くらいは回れるな。

「じゃあ、お買い物に戻りましょうか。今度は育月が選んでいいんだけど、どこに行きたい?」

 本日2個目の『やりたいこと』が済んだので、その3へと移る。お次は、どこを目指すのかな?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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