(二)‐14

文字数 269文字

 俺は驚いた。いわゆる口上というやつだ。昔のやくざ映画で見たことがあった。しかし、現代の暴力団などでそんなことをする人間などいるわけないと思っていたから、驚かずにはいられなかった。
 すると玄関の方から二人の刑事が入ってきた。そしてリビングの入口にいる俺を押しのけて部屋に一歩入ったところで「阿仁! 何やっている! 逮捕するぞ!」と大声で怒鳴った。
 阿仁は舌打ちをして妹に深々と頭を下げてリビングから出て行った。リビングの入口に立っていた刑事にはガンを飛ばしつつ、俺を見ると、礼儀正しく姿勢を正して深く一礼してから玄関を出て行った。

(続く)
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