第53話風間組総裁 風間平蔵①

文字数 1,015文字

芳樹たちは大混乱の横浜アリーナを出て、駐車場に着いた。
黒ベンツのワンボックスカーが2台停まっていた。

清水亜里沙が芳樹に説明した。
「総裁が芳樹にお会いしたいとのこと」
「由紀お嬢様と同じ車に乗って」
(芳樹は意味不明だったが、由紀に手を握られ、同じ黒ベンツワンボックスカーに乗り込んだ)
(夏子、麻友、茜は事前に聞いていたらしく、素直に別の黒ベンツワンボックスカーに乗った)

黒ベンツワンボックスカーが走り出したところで、運転手の君澤浩二が補足説明。
「次はコンサート爆破だろ?」
「総裁も、芳樹の覚悟を聴きたいらしい」

芳樹は、冷静に返した。
「確かに、アイドルコンサートの馬鹿連中を見ていると、イラついて焼き殺したくなるが」
「俺個人的には、何の恨みもない人たち」
「無差別テロか・・・ただの鬼畜かもしれないよな」

由紀は芳樹の手を握り続けている。
「今までは、恨みがある奴らへの復讐だった」
「私もアイドル嫌いだけど、イマイチ乗らないの」

清水亜里沙は別の考え。
「爆破予告して、脅せば、かなり金が入る」
「実際に爆破したら、死傷者が出るけれど」
「会場修繕で、組の息がかかった業者を使えば、金が入る」
「葬式屋も、実は組が経営しているのが、最大手」
「合同葬になれば、金が入る」
「どこかの宗教テロにしてしまえば、責任はない」

芳樹たちを乗せたワンボックスカーは、しばらく走り、浅草雷門の前を過ぎた。
実に様々な国籍の老若男女が歩いている。
日本人のほうが少ないほどだ。

由紀がつぶやいた。
「浅黒い人が増えた」
「イスラムの人も多いよ」
芳樹はじっと浅黒い人たちの集団を見た。
「俺自身、何の恨みもないが・・・」

芳樹たちを乗せた黒ベンツワンボックスカーは、少し走り、要塞のような屋敷に入った。

車を降りると、由紀が芳樹と腕を組んだ。
「いい?責任取って」
芳樹は意味不明。
「何のことだ?」
由紀は、花のような笑顔。
「私を好きにさせた責任」

由紀と芳樹は、風間組本家の玄関に入った。
(清水亜里沙と君澤浩二は、別の入り口から入った)
まるで料亭のような、ピカピカで広い玄関だ。

由紀
「芳樹、ビビってないね」
芳樹は、笑った。
「ビビりでピッチャーなんてやれるか」

二人は、広い廊下を歩き、リビングに入った。
大きな黒革のソファに、総髪、普段姿の男が、座っている。

由紀は、明るい声だ。
「父さん、帰ったよ」
「芳樹を連れて来た」

芳樹は、全く物怖じしない。
「芳樹です」と名乗り、風間組総裁 風間平蔵の前に座った。
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