第26話

文字数 1,124文字

  私は、先にもいったが、同性愛者であろうがなかろうが、社内恋愛するほど、仕事をなめてはいない。そうすることが、どれだけめんどくさく、公私混同しがちかを、20代で、嫌というほど思い知った。
時々みかけるが、「いや、僕/俺、あの人に、興味がない/嫌いだ/好きだ」という人は、黒だ。興味があるからそういう言動になる。そして、どうにか気になる女性と話すきっかけを作ろうと、頭をひねる。私の父は自営業者で、やはり仕事には厳しい。
「社内恋愛する人間は、そっちに気を取られるから、仕事が一律できない」
幼少のころからの、父の教育のおかげもあって、私も、そう思う
 YESでもNOでもない、「どうでも良い」が、全くの白だ。
 私は、私自身の自制心を揺るがしそうな人がいるとき、突き放すため、わざと気のあるふりをし、アラームを鳴らす。どうしたら傷つけずに、遠ざけることができるかを探るためだ。私の計算高さは半端ない、且つ、相当性格が悪い。でも、私が目の前の仕事をこなそうとするとき、恋愛感情は、私にとって邪魔だ。同じ会社であくせく働いている人がいる、そういう感情をもつこと自体がどうかと、個人的には思う。職場で恋愛しようとは、思えない。社内恋愛をする人たち、器用だな、と思う。
 人のプライベートに干渉し、それを泡立てる人、なんの得があるのか、全く分からないし、自分がされたらどうなんだろうって思わないのかなと。
 自分でいうのもなんだが、私は、恋愛には程遠い思考回路をしている。人に執着できない。自分なりに、好きに自由に生きればよい。だから命は一人に一つなんだと思う。もちろん法や倫理/道徳に触れているときや触れそうなときは、私もガツンと指摘する。
 友人であろうが家族であろうが恋人であろうが、束縛するものでもされるものでもない、人の人生だ。その代わり、学ばせていただくところは学ばせていただく。
 面白半分、興味本位で、人の人生に立ち入る人間は、自分の人生を見つめる時間が間違いなく削られ、人としての質が落ちる。
 人を人として尊重すべきではなかろうか。
 私は、もててきた。女性からもてまくった。顔も悪いし、背も低いし、太っているし、不器用だし、何も特別でないが、吹奏楽にしろ、仕事にしろ、それだけに没頭し続けたのは今までの足跡だ。
 私自身、女の人に襲われたり、大変な目にもあったし、傷ついたりもした。でも、思う、
「あなたの周りにいた男性たちよりも、あなたの生き方のほうが、まだましよ」
という、メッセージを女性たちは送ってくれた。ある意味光栄なことだ。人として、私の生きざまに共感してくれたのだから。その賞賛が、この傲慢なグレーゾーン人間を、生み出していることは間違いない。

 
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